年末になると、日頃お世話になっている方から「お歳暮」が届くことがあります。心のこもった贈り物、とても嬉しいですよね。
でも、ふと「あれ? お歳暮ってお返しした方がいいのかな?」「お礼状だけでいいの?」と迷ってしまうことはありませんか?
特に初めてお歳暮を受け取ったときや、相手が目上の方だと、マナー違反にならないか不安になるものです。
この記事では、そんなお歳暮のお返しに関する基本的なマナーや疑問を、中学生にもわかるように優しく解説します。
この記事でわかること
- お歳暮のお返しが「必要か不要か」の判断基準
- お礼状の書き方(すぐに使える文例付き)
- お返し(返礼品)を贈る場合の時期や相場、のしのマナー
この記事を読めば、もうお歳暮のお返しで迷うことはありません。自信を持って、感謝の気持ちを伝えられるようになりますよ。
【早見表】お歳暮のお返し、基本マナーと対応
お歳暮が届いて「どうしよう!」と迷ったら、まずはこの表をご覧ください。お歳暮のお返し(お礼)でやることは、大きく分けて「お礼状」と「返礼品」の2つです。
| 対応 | 時期 | 相場(返礼品) | のし(返礼品) |
| 1. お礼状(必須) | 3日以内 | 不要 | 不要 |
| 2. 返礼品(任意) | 年明け(松の内以降) ※寒中見舞いとして | 半額~同額程度 | 表書き:御礼、寒中御見舞 水引:紅白の蝶結び |
コトクマ一番大切なのは「お礼状(お礼の連絡)」です。品物を贈るかどうか(返礼品)は、その後の判断で大丈夫ですよ。
お歳暮のお返しは必要?不要?迷ったときの判断基準
この見出しでは、お歳暮のお返し(返礼品)が本当に必要なのか、その判断基準を解説します。結論から言うと、基本的には「お礼状」だけで問題ありません。
基本は「お礼状(お礼の連絡)」だけでOKです
「お歳暮」は、一年間の感謝の気持ちを伝えるための贈り物です。お祝い事とは違い、「ありがとう」の気持ちを示すものなので、基本的にお返し(返礼品)は必須ではありません。
一番大切なのは、「品物が無事に届きましたよ。ありがとうございます!」という感謝の気持ちを、できるだけ早く相手に伝えることです。
ですから、お歳暮が届いたら、まずは「お礼状」や「お礼の連絡(電話・メール)」をすることを最優先に考えましょう。
【チェックリスト】返礼品(お返し)を贈った方が良いケース
とはいえ、「これはお返しした方がいいかな?」と迷うケースもありますよね。以下のような場合は、お礼状に加えて「返礼品(お返し)」を贈ることを検討してみましょう。
- [ ] 受け取った品物が、明らかに高額(1万円以上など)である
- [ ] 今後のお付き合いを辞退したい・お断りしたい相手から届いた(※「今後は結構です」という意思表示のため)
- [ ] 相手が自分よりも目下(部下など)で、毎年恒例になっている
- [ ] 取引先など、ビジネス上の関係で「お返し」をする慣習がある
- [ ] その他、自分が「どうしても何かお返ししたい」と強く感じた
こんな場合は「お返し不要」のサインかも?
逆に、相手が「お返しは気にしないでくださいね」という意思を示している場合もあります。
- お歳暮の送り状(手紙)に「お心遣いは不要です」「お返しはご辞退申し上げます」といった一文がある
- 会社の方針で「贈答品(お歳暮やお中元)は禁止」と伝えている取引先から届いた
このような場合は、相手のご厚意に甘えて、丁寧なお礼状だけを送るのがスマートな対応です。



マナーは「相手を不快にさせないための思いやり」です。ルールに縛られすぎず、「ありがとう」の気持ちをどう伝えたら相手が喜ぶかを考えてみましょう。
ステップで解説!お歳暮を受け取ったら「まずやること」
この見出しでは、実際にお歳暮が届いた後、どのような順番で対応すればよいかを3つのステップで解説します。慌てないように、流れを掴んでおきましょう。
ステップ1:【3日以内】まずはお礼状(電話・メール・手紙)で感謝を伝える
何よりも優先すべきは「感謝を伝えること」です。品物を受け取ったら、できれば3日以内に「無事に届きました、ありがとうございます」という連絡を入れましょう。
- スピード重視なら「電話」か「メール」すぐに「受け取りました」と伝えられるので、相手を安心させることができます。親しい間柄や、ビジネスで急ぐ場合はこちらがおすすめです。
- 丁寧さを伝えるなら「手紙」か「はがき」目上の方や、特にお世話になっている方へは、手書きの手紙やはがきが一番丁寧です。メールや電話で一旦お礼を伝えた上で、後日改めて手紙を送るのも良いでしょう。
ステップ2:返礼品を贈るか判断する
お礼の連絡を済ませたら、次に「返礼品(お返しの品物)を贈るかどうか」を考えます。
前の見出しで紹介した【チェックリスト】を参考に、相手との関係性や受け取った品物の金額などを考えて判断しましょう。
迷った場合は、無理に返礼品を贈る必要はありません。心のこもったお礼状だけで十分気持ちは伝わります。
ステップ3:返礼品を贈る場合の「時期」は年明けが基本
返礼品を贈ることにした場合、贈る時期に注意が必要です。
お歳暮(12月中)が届いてすぐに「お返し」として贈ると、「あなたからのお歳暮は受け取れません(お付き合いをやめたい)」というネガティブな意味(※)に取られてしまう可能性があります。
(※これを「突き返す」といい、失礼にあたるとされています)
そのため、お返しは年が明けてから、「松の内」が明ける時期(関東では1月7日、関西では1月15日以降が一般的)に「寒中御見舞(かんちゅうおみまい)」として贈るのがスマートです。遅くとも立春(2月4日頃)までには届くようにしましょう。



「すぐに返さなきゃ!」と焦る必要はありません。お歳暮のお返しは、むしろ「年明けにゆっくり」が正解です。年末はまずお礼状の準備をしましょう。
【すぐに使える文例集】お歳暮のお礼状の書き方
この見出しでは、お歳暮のお礼状(手紙・メール)に使える文例をご紹介します。コピペして使えるので、ぜひ参考にしてください。
お礼状に含めるべき「4つの要素」
お礼状を書くときは、以下の4つの要素を入れると、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。
- お歳暮への感謝:「この度は、心のこもったお品をいただき、誠にありがとうございました」
- 受け取った報告:「家族一同、大変喜んでおります」「早速、美味しくいただきました」
- 相手の健康を気遣う言葉:「寒い日が続きますので、どうぞご自愛ください」
- 結びの挨拶:「良いお年をお迎えください」「来年もどうぞよろしくお願いいたします」
【手紙・はがき】丁寧さが伝わる文例
例文1:目上の方(上司・恩師)向け
拝啓
師走の候、〇〇様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度は結構なお歳暮の品を頂戴し、誠にありがとうございました。いつもながらのお心遣いに、心より感謝申し上げます。
寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈りしております。
どうか良いお年をお迎えください。
まずは略儀ながら書中をもちまして、御礼申し上げます。
敬具
令和〇年十二月〇日
(自分の氏名)
(相手の氏名)様
例文2:親戚・知人向け
(冒頭の挨拶)
寒い日が続いておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、この度はご丁寧にお歳暮の品をお送りいただき、本当にありがとうございました。
〇〇さん(相手)の大好きなりんご、家族みんなで「美味しいね」と喜んでいただきました。
年末ご多忙の折ではございますが、皆様お揃いで良いお年をお迎えください。
まずは取り急ぎ、お礼まで。
(日付・自分の氏名)
【メール】スピード重視の文例
例文1:ビジネス(取引先)向け
件名: お歳暮の御礼(株式会社〇〇・自分の氏名)
株式会社〇〇
〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の(自分の氏名)です。
本日、お歳暮の品(〇〇)が届きました。
この度は、結構なお品をご恵贈いただき、誠にありがとうございます。
部署のメンバーでありがたく頂戴いたします。
貴社の皆様も、どうぞ良いお年をお迎えください。
来年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、メールにて御礼申し上げます。
(署名)
例文2:親しい友人・知人向け
件名: ありがとう!
〇〇さん
こんにちは。(自分の名前)です。
今日、送ってくれた〇〇(品物名)が届きました!
いつも美味しいものをありがとう。
まさか〇〇が届くとは思わず、びっくり&とても嬉しかったです。
これから家族でいただきますね。
寒くなってきたから、〇〇さんも風邪ひかないように気をつけてね。
良いお年を!
(自分の名前)



相手との関係性に合わせて、言葉遣いを変えるのがポイントです。メールでお礼を伝えた場合でも、特に目上の方へは、年賀状などで一言お礼を添える(※喪中でなければ)と、より丁寧ですよ。
知っておきたい!お返し(返礼品)を贈る場合のマナー
この見出しでは、お礼状だけでなく「返礼品」も贈ることを決めた方向けに、金額の相場や「のし」の書き方など、失敗しないためのマナーを解説します。
お返しの相場(金額)はどれくらい?
お歳暮のお返し(返礼品)の相場は、いただいた品物の「半額(半返し)」から「同額程度」が一般的です。
ただし、明らかに高額(例えば5万円)のお歳暮に対して同額(5万円)のお返しをすると、「もう結構です」という意味に取られかねません。
高額な品物をいただいた場合は、半額程度のお返し(寒中御見舞)を贈り、次のお中元やお歳暮の時期に、こちらからも同額程度の品物を贈るようにして、バランスを取るのが良いでしょう。
相手に気を遣わせない、お菓子やコーヒー、洗剤などの「消えもの(消耗品)」が人気です。
のし(熨斗)の書き方【表書き・水引】
返礼品を贈る際は、必ず「のし(熨斗)紙」をかけましょう。
- 表書き(上段):
- 「御礼」:時期を問わず使えます。
- 「寒中御見舞」:年明け(松の内が明けてから)に贈る場合の一般的な書き方です。
- 水引(みずひき):
- 紅白の「蝶結び」(花結び)を選びます。「何度あっても嬉しいこと」に使われる水引です。
- 名前(下段):
- 自分の「姓(名字)」または「フルネーム」を表書きより少し小さく書きます。
【要注意】お返しにふさわしくないNGな品物
お返しには、避けた方が良いとされる品物があります。理由も一緒に覚えておきましょう。
- 履物(スリッパ、靴下、靴など)
- 理由:「相手を踏みつける」という意味を連想させるため。
- 下着類(肌着など)
- 理由:「生活に困っている人への施し」という意味があるため。
- 現金・商品券
- 理由:金額がはっきりわかってしまい、特に目上の方には失礼にあたる可能性があります(※相手が選べる「カタログギフト」は問題ありません)。
- ハサミ、包丁、ナイフなど
- 理由:「縁を切る」という意味を連想させるため。
- ハンカチ
- 理由:日本語で「手巾(てぎれ)」と書くことから、「手切れ(別れ)」を連想させるため(※ただし、最近では気にしない人も増えています)。



NGな品物も、理由を知ると「なるほど」と思いますよね。相手が気にしない間柄なら良い場合もありますが、マナーとして贈る場合は、避けておくのが一番安心です。
【ケース別】こんな時どうする?お歳暮のお返しQ&A
この見出しでは、「自分が喪中の場合は?」「お礼が遅れたら?」など、ちょっと困ったケースの対応方法をQ&A形式で解説します。
自分が喪中の場合
(自分が喪中(家族が亡くなってから約1年間)の時)
- お歳暮を受け取るのはOKお歳暮は「お祝い」ではなく「感謝」を伝えるものなので、喪中でも受け取って問題ありません。
- お礼状は「寒中見舞い」として送る年賀状は出せないため、年明け(松の内が明けてから)に「寒中見舞い」としてお礼状を出します。その際、「喪中のため年末のご挨拶を控えておりました」と一言添えると丁寧です。
- 返礼品も「寒中御見舞」として贈る返礼品を贈る場合も、時期をずらし「寒中御見舞」の「のし」で送ります。
相手が喪中の場合
(相手が喪中だと知っている場合)
- 「お歳暮」として贈るのは避ける相手が大変な時期ですので、お歳暮の時期(12月中)に贈るのは控えるのがマナーです。
- 「寒中御見舞」として年明けに贈る年明け(松の内が明けてから)、時期をずらして「寒中御見舞」として品物を贈ります。
お礼やお返しが遅れてしまった場合
- 気づいた時点ですぐに!一番いけないのは、何もしないことです。遅れたことを気まずく思っても、必ず連絡を入れましょう。
- お礼状には、遅れたお詫びを一言添える「お礼のご連絡が遅くなり、大変失礼いたしました」といった一言を添えれば大丈夫です。
- 返礼品も時期をずらすお返しが年明け(立春)を過ぎてしまったら「寒中御見舞」として、もし夏近くなってしまったら「暑中御見舞」として贈るなど、時期に合わせた「のし」で対応します。
会社(法人)宛に届いた場合
- 会社(部署)としてお礼状を出す基本的には、会社名(または部署名)で、お礼状(手紙やメール)を送ります。
- 返礼品は不要なケースが多いビジネス上の慣習として、返礼品は贈らない(お互い様)としている会社が多いです。まずは自社のルール(総務部など)を確認してみましょう。
- 担当者名で「御礼」のメールを送る相手の担当者がわかっている場合は、お礼状とは別に、担当者個人からもメールで「(担当の)〇〇様からもいただきました」とお礼を伝えるとスムーズです。



喪中や遅れた場合など、イレギュラーな時は「時期をずらす」のが基本です。「寒中御見舞」という言葉は、こういう時にとても便利なので覚えておきましょう。
まとめ
お歳暮のお返しについて、基本的なマナーを解説してきました。
- お歳暮が届いたら、まず「お礼状(連絡)」を3日以内に出すことが最優先。
- お返し(返礼品)は必須ではない。
- 返礼品を贈る場合は、相場は「半額~同額」。
- 返礼品を贈る時期は「年明け(寒中御見舞)」として贈るのがスマート。
- のしは「御礼」や「寒中御見舞」、水引は「紅白の蝶結び」を選ぶ。
- 喪中や遅れた場合は、時期をずらして「寒中御見舞」として対応する。
一番大切なのは、ルールを守ることよりも、贈ってくれた相手への「ありがとう」の気持ちです。この記事を参考に、あなたの感謝の気持ちを上手に伝えてみてくださいね。
お歳暮のお返しに関するよくある質問(FAQ)
最後に、お歳暮のお返しに関してよく寄せられる質問をまとめました。
Q1. お歳暮のお返しはいつまでにすればいいですか?
A1. 「お礼状(お礼の連絡)」は、品物を受け取ってから3日以内が目安です。
もし「返礼品(お返しの品物)」を贈る場合は、年明けの「松の内」が明けてから(関東1月7日以降、関西1月15日以降)立春(2月4日頃)までに、「寒中御見舞」として贈るのが一般的です。
Q2. お歳暮のお返しの相場はいくらですか?
A2. いただいた品物の「半額(半返し)」から「同額程度」が相場とされています。ただし、あまりに高額な品物のお返しは、かえって相手に気を遣わせるため、半額程度にとどめるのが無難です。
Q3. お歳暮のお返し(返礼品)に商品券は失礼ですか?
A3. 相手が目上の方(上司や恩師など)の場合、金額がはっきりとわかる商品券や現金は失礼にあたるとされています。親しい友人や、相手の好みがわからない同僚などへは問題ない場合もありますが、迷った場合は「カタログギフト」を選ぶ方が安心です。
Q4. お歳暮のお礼状はメールだけでも大丈夫ですか?
A4. 親しい間柄や、ビジネスでスピードが求められる取引先へは、メールだけでも問題ありません。ただし、目上の方や、特に丁寧に対応したい相手へは、ひとまずメールで受け取りの連絡をした後、改めて手紙やはがきのお礼状を送ると、より感謝の気持ちが伝わります。
Q5. お歳暮のお返しに「お年賀」として贈ってもいいですか?
A5. 「お年賀」は、こちらから相手へ新年のご挨拶として持参するものです。お歳暮のお返しとして「お年賀」の「のし」で贈る(配送する)のは、マナーとして適切ではありません。年明けに贈る場合は、必ず「寒中御見舞」として贈りましょう。

