年末が近づくと、テレビCMやお店で「お歳暮」という言葉をよく耳にしますね。
「なんのために贈るんだろう?」
「お中元と何が違うの?」
「マナーが難しそう…」
そんなふうに思っている方も多いかもしれません。
お歳暮は、昔から続く日本の大切な文化ですが、その本来の意味を知ると、もっと気軽に、もっと心を込めて向き合えるようになりますよ。
この記事では、「お歳暮」という言葉の本当の意味から、知っておきたい基本のマナーまで、わかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 「歳暮」という言葉の本当の意味と、贈りものになった由来
- お中元との違いや、贈るのに最適な時期
- 金額の相場や、恥をかかないための基本マナー
「歳暮(せいぼ)」の本当の意味は?
もともとは「年の暮れ(年末)」を指す言葉
今でこそ「お歳暮=年末の贈り物」というイメージが強いですが、実は「歳暮」という言葉自体には、もともと「贈り物」という意味はありませんでした。
「歳暮」は、文字通り「歳(とし)」の「暮(くれ)」、つまり「年の終わり」「年末」を意味する言葉だったのです。
「歳(とし)」の「暮(くれ)」が変化した
「歳」は一年、収穫や実りを意味します。
「暮」は、一日が終わることを「日暮れ」というように、物事の終わりを意味します。
この二つが合わさって、「一年の終わり」を示す言葉として使われていました。
いつから「年末の贈り物」を指すようになったの?
では、いつから「年末の贈り物」を指すようになったのでしょうか。
それは、年末に「一年の感謝」を込めて贈り物をする日本の習慣と、「歳暮」という言葉が結びついたからです。
「歳暮(年末)に行うご挨拶」や「歳暮(年末)に贈る品物」が、だんだんと言葉が省略されて「お歳暮」と呼ばれるようになった、と考えられています。
コトクマ言葉の意味は、時代や文化と一緒に少しずつ変化していくんですね。お歳暮も、もとは時期を指す言葉だったのが、今では日本の大切な文化を指す言葉になっています。
【TV紹介されました♪】 純系 名古屋コーチン 燻製 4種 セット お歳暮 ギフト おつまみ プレゼント 人気 お取り寄せグルメ 100%国産
お歳暮の由来と歴史【なぜ贈るようになった?】
由来は一つじゃない?昔の風習が合わさったもの
お歳暮の習慣がどう始まったのかには、いくつかの説がありますが、主に二つの古い風習が合わさったものだと考えられています。
由来1:御霊祭り(みたままつり)
一つは、先祖を敬う「御霊祭り(みたままつり)」という風習です。
昔の日本では、お盆(夏)と年の暮れ(冬)の年二回、亡くなったご先祖様の霊をお迎えし、お供え物をする習慣がありました。この時にお供えした食べ物などを、親戚や近所の人たちに分けたことが始まりの一つとされています。
由来2:年神様(としがみさま)へのお供え物
もう一つは、お正月に迎える「年神様」へのお供え物です。
年神様は、新年の豊作や家族の健康をもたらしてくれる大切な神様です。年の暮れに、その年神様へのお供え物(お酒、お餅、魚など)を、本家や親元へ持っていく風習がありました。
今の形になったのは江戸時代から
これら「先祖への感謝」や「神様へのお供え」という風習が、現代のような「お世話になった人への贈り物」という形に変わったのは、江戸時代だと言われています。
特に商人の間で、「日頃お世話になっている得意先」や「取引先」へ、年末の挨拶回りとして品物を持っていく習慣が広まりました。
これが武士や一般庶民にも広がり、「一年の終わりに、感謝の気持ちを込めて品物を贈る」という、今のお歳暮の形が定着していったのです。
お歳暮に込められた「感謝の気持ち」
由来をたどってみると、お歳暮の根底にあるのは「感謝」の気持ちだということがわかりますね。
ご先祖様への感謝、神様への感謝、そして、日頃お世話になっている人への感謝。
ただの習慣やマナーとしてではなく、「今年も一年、ありがとうございました」「来年もどうぞよろしくお願いします」という温かい心を伝えるための、大切なコミュニケーションなんです。
お歳暮と「お中元」はなにが違うの?
ポイントは「時期」と「感謝の対象」
どちらも「お世話になった人へ感謝を伝える贈り物」という点は同じですが、大きな違いは2つあります。
- 贈る時期
- お中元:夏の時期(7月~8月頃)
- お歳暮:年末の時期(12月頃)
- 感謝の対象・意味合い
- お中元:夏の暑さを見舞い、上半期の感謝を伝える。
- お歳暮:一年の終わりにあたり、この一年間お世話になったことへの感謝を伝える。
お中元は「夏の終わり」のご挨拶
お中元は、もともと中国の「中元(ちゅうげん)」という行事に由来します。先祖を供養する日でしたが、これが日本に伝わり、お盆の時期と結びついて「お世話になった人へ品物を贈る」習慣になりました。
「上半期ありがとうございました」「暑いですがお元気ですか」という、夏の挨拶の意味合いが強いです。
両方贈るべき?どちらかだけでもいい?
もし迷ったら、お歳暮を優先するのが一般的です。
お歳暮は「一年の総まとめ」として感謝を伝える、最も大切なご挨拶とされているからです。
もちろん、両方贈っても問題ありません。もし両方贈る場合は、お歳暮のほうを少し高価にする(お中元と同等か、少し多めの金額にする)のが慣例とされています。



どちらか一方だけ贈る場合は、「今年一年、本当にお世話になりました」という気持ちを込めて、お歳暮を選ぶと良いでしょう。
【いつ贈る?】お歳暮の時期をチェック
一般的な時期は「12月初旬~12月25日頃」
お歳暮は、12月初旬(早いところでは11月末)から、12月25日頃までに相手に届くように贈るのがマナーです。
なぜ12月25日頃までかというと、それ以降はどの家庭もお正月の準備で忙しくなるため、かえって迷惑になってしまう可能性があるからです。
最近では「相手が確実に受け取れる日」を指定するために、配送が混み合う少し前の11月末頃から準備を始める人も増えています。
【一覧表】関東と関西で時期が違う?
厳密には、地域によって「事始めの日(お正月の準備を始める日)」が異なるため、推奨される時期に少しだけ違いがあります。
| 地域 | 時期(目安) | 備考 |
| 関東地方 | 12月初旬~12月25日頃 | 以前は12月13日からでしたが、早まっています。 |
| 関西地方 | 12月13日~12月25日頃 | 12月13日の「事始め」以降に贈るのが伝統的です。 |
| その他 | 12月初旬~12月25日頃 | 迷ったらこの期間に届くようにすれば安心です。 |
※最近は全国的に時期が早まる傾向があり、地域差は少なくなっています。
時期を逃したら?「寒中見舞い」として贈ろう
もし、うっかり年内に間に合わなかったり、年末ぎりぎりになってしまったりした場合は、お歳暮として贈るのは避けましょう。
年が明けてから、「寒中御見舞(かんちゅうおみまい)」として贈ります。
- 贈る時期:松の内(1月7日、関西などでは15日)が明けてから、立春(2月4日頃)まで。
- のし(表書き):「寒中御見舞」または「寒中御伺」(目上の人の場合)
【いくら?】お歳暮の相場と選び方のポイント
一般的な相場は「3,000円~5,000円」
お歳暮の金額で最も多い価格帯は、3,000円から5,000円程度です。
あまりに高価なものは、かえって相手に「お返しをしなければ」と気を遣わせてしまいます。逆に、安すぎるものも失礼にあたる場合があります。
大切なのは金額そのものよりも「感謝の気持ち」ですが、相手に余計な心配をかけないよう、相場を意識するのは大人のマナーです。
【相手別】相場の目安
贈る相手との関係性によって、相場は少し変わります。
- 家族・親戚
- 3,000円~5,000円程度
- 友人・知人
- 3,000円程度
- 上司・恩師
- 5,000円程度(特にお世話になった場合は10,000円程度)
- 取引先
- 5,000円~10,000円程度
何を選ぶ?喜ばれる品物のポイント
品物選びに迷ったら、以下のポイントを参考にしてみてください。
- 定番品:ハム、ソーセージ、ビール、ジュース、コーヒー、お菓子など
- 日持ちするもの:海苔、お茶、調味料、乾麺など
- 相手の好みに合わせる:お酒が好きな人には地酒、家族がいる人にはお菓子やジュースの詰め合わせなど
- 避けたほうが良いもの:現金、商品券(目上の人には失礼にあたる場合も)、履物(「踏みつける」という意味になるため)


【これだけ押さえる】お歳暮の基本マナー
お歳暮を贈る際は「のし(熨斗)」のルールを守ることが大切です。「紅白の蝶結び」の水引を選び、表書きは「御歳暮」とします。品物だけ送るのではなく、送り状やお礼状で気持ちを伝えることも忘れずに。
「のし(熨斗)」はどうする?
お歳暮には「のし紙」をかけるのが正式なマナーです。
水引(みずひき)は「紅白の蝶結び」
お歳暮は、一年間の感謝を伝え、来年以降も良いお付き合いを願うものです。
「何度あっても嬉しいこと」なので、**紅白の「蝶結び(花結び)」**の水引を選びます。
(結婚祝いなどで使う「結び切り」は、「一度きり」という意味なので使わないように注意しましょう)
表書き(おもてがき)の書き方
水引の上中央に、濃い黒墨の毛筆や筆ペンで「御歳暮」と書きます。
(もし時期を逃したら「寒中御見舞」と書きます)
名前の書き方
水引の下中央に、表書きよりも少し小さめに、自分の名前(送り主)を書きます。
- 個人の場合:フルネーム
- 会社の場合:会社名と代表者名
「送り状」は必要?
デパートやお店から直接配送する場合は、品物だけを送る(送りっぱなしにする)のではなく、事前に「送り状」と呼ばれる挨拶状を送るのが丁寧なマナーです。
- 送るタイミング:品物が届く数日前
- 内容:
- 日頃の感謝の言葉
- お歳暮の品物を送ったこと(いつ頃届くか)
- 「今後ともよろしくお願いします」という結びの挨拶
品物より先に手紙が届くことで、相手も受け取る準備ができますし、何より感謝の気持ちがより深く伝わります。
お歳暮をいただいたら「お礼状」を忘れずに
逆にお歳暮をいただいたら、できるだけ早く「お礼状」を出しましょう。
品物を受け取ったら、まずは電話やメールで「無事に届きました。ありがとうございます」と伝えるのが親切です。その後、改めてハガキや手紙でお礼状を送ると、より丁寧な印象になります。
お返し(返礼品)は基本的には不要ですが、もし贈る場合は「御礼」や「寒中御見舞」として、いただいた品物の半額~同額程度のものを後日送るとよいでしょう。
【もしも】喪中の場合はどうする?
自分が喪中の場合
自分が喪中の場合、お歳暮を贈ることは基本的にお祝い事ではないため、贈っても問題ないとされています。
ただし、相手が気にする場合もあるため、四十九日を過ぎてから、時期をずらして「寒中御見舞」として贈るのが最も安心です。
もし年内に贈る場合は、紅白の水引がついた「のし紙」は使わず、無地の白い短冊(たんざく)に「御歳暮」と書いて送るようにしましょう。
相手が喪中の場合
相手が喪中の場合、特に四十九日をまだ過ぎていない(忌中)場合は、お見舞い以外の贈り物は控えるのがマナーです。
年が明けて、松の内(1月7日頃)が過ぎてから、「寒中御見舞」として品物を送るようにしましょう。その際、お悔やみの言葉を添えるとより丁寧です。
四十九日を過ぎている場合は、お歳暮として贈っても問題ありませんが、相手の気持ちを考えて、こちらも紅白の「のし」は避け、無地の短冊を使うなどの配慮をするとよいでしょう。
お歳暮の意味や由来に関するよくある質問(FAQ)
Q. お歳暮はいつから始まったのですか?
A. 特定の「この年」というのは断定できませんが、原型となる風習(先祖供養やお供え物)は室町時代頃からあったとされています。現代のように「お世話になった人へ贈る」習慣として広まったのは、江戸時代(17世紀~19世紀頃)の商人の間からだと言われています。
Q. お歳暮は誰に贈るものですか?
A. 「今年一年、お世話になった」と感じる人に贈ります。具体的には、両親や親戚、会社の上司、恩師、習い事の先生、または日頃から懇意にしている取引先などです。決まりはありませんので、感謝を伝えたい相手に贈るとよいでしょう。
Q. お歳暮をやめたい時はどうすればいいですか?
A. 急にやめると相手に心配をかけてしまうため、少しずつフェードアウトするのが一般的です。例えば、お歳暮の金額を少しずつ下げていき、最終的には年賀状や暑中見舞いだけのご挨拶に変えていく、などの方法があります。
Q. お返し(返礼)は必要ですか?
A. 基本的に、お歳暮はお世話になったことへの「感謝」なので、お返し(返礼品)は不要です。目下の人から目上の人に贈るのが基本だからです。ただし、いただいたら必ず「お礼状」を出して、感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。もし品物でお返しをしたい場合は、いただいた品物の半額~同額程度のものを「御礼」や「寒中御見舞」として贈ります。
まとめ:お歳暮は、一年の感謝を伝える大切なコミュニケーション
お歳暮は、もともと「年の暮れ」を意味する言葉でした。
それが、ご先祖様や神様への感謝、そして「今年も一年ありがとうございました」という人々の温かい気持ちと結びつき、現代に伝わる大切な文化となりました。
マナーや相場も大切ですが、一番の基本は「相手への感謝の気持ち」です。
この記事を参考に、あなたの「ありがとう」の心を、お歳暮という形で伝えてみてはいかがでしょうか。

