「年の瀬が迫り、なんだか気忙(きぜわ)しくなってきましたね」
テレビのニュースや、人との挨拶でこんな言葉を耳にすることが増えませんでしたか?
「年の瀬」は年末の慌ただしさを表す便利な言葉ですが、「そもそも、なんで“瀬”っていうんだろう?」「いつから使っていいの?」と疑問に思うかもしれません。
言葉の意味がわかると、挨拶やメールにも自信が持てますよね。
この記事では、「年の瀬」の正しい意味や由来、使う時期の目安、さらには年末にやるべきことまで、中学生にもわかるように優しく解説します。
この記事でわかること
- 「年の瀬」の正確な意味と、「瀬」と呼ばれるようになった面白い由来
- 「年の暮れ」との違いや、使い始める時期の目安
- 年の瀬の挨拶例文や、年内にやるべきことのチェックリスト
「年の瀬」とは?意味と「瀬」の由来をわかりやすく解説
ポイント:「年の瀬」とは、年が終わりを迎えようとする差し迫った時期のこと。由来には「川の流れ」や「世間の慌ただしさ」など複数の説があります。
年の瀬の「瀬(せ)」という漢字に注目すると、言葉の持つニュアンスがよくわかります。
「年の瀬」の基本的な意味
「年の瀬」とは、年末の差し迫った、慌ただしい時期を指す言葉です。「年が(川の)瀬のように流れ着く先=終わり」といったイメージですね。
単に「年末」というだけでなく、「新年を迎える準備で忙しい」「支払いや仕事の締め切りが近い」といった、少し切迫した慌ただしさを含むのが特徴です。
なぜ「瀬」と呼ぶの?気になる由来
なぜ年末を「瀬」と呼ぶのでしょうか。これにはいくつかの説があり、どれも年末の様子をうまく表しています。
説①:川の「瀬」のように慌ただしいから
最も有力な説の一つです。
川の流れが速く、浅くなっている場所を「瀬」と呼びます。年末の、時間が慌ただしく過ぎていく様子や、世間がせかせかしている様子を、この川の瀬に例えたという説です。
- 急流の瀬 = 慌ただしく過ぎる時間
- 浅い瀬 = 年の終わり(水流が尽きる場所)
説②:「世(せ)わしない」が転じたから
年末は誰もが忙しく、「世(よ)の中が騒がしい」=「世騒(せそう)」。
これが転じて「世(せ)わしない」となり、その「せ」に「瀬」の字を当てたのではないか、という説です。
説③:支払いが差し迫る厳しさから
昔は、年末に「ツケ(掛け売り)」の支払いをまとめて行う習慣がありました。
支払いができなければ年を越せない、という厳しい状況を、流れが速く渡るのが困難な「瀬」に例えた、という説です。まさに「差し迫った」状況ですね。
コトクマどの説が絶対的に正しい、というわけではありません。ですが、どの説も「年末の慌ただしさ」や「切迫感」を「瀬」という言葉で表現しているのは共通していますね。
「年の瀬」はいつからいつまで?使う時期の目安
「年の瀬」は、いつ頃から使い始めるのが自然なのでしょうか。
結論:明確な決まりはない
実は、「年の瀬は12月〇日から」というような、カレンダー上の明確な定義はありません。
あくまで、年末の慌ただしさが感じられるようになってきたら、という感覚的なものです。
一般的な目安は「12月中旬~下旬」
とはいえ、12月に入ってすぐに「年の瀬ですね」と言うのは、少し気が早いかもしれません。
一般的には、**12月の中旬(15日頃)から、クリスマスが過ぎて大掃除や新年の準備が本格化する下旬(25日頃~31日)**にかけて使われるのが最も自然です。
- 12月上旬:まだ早いかも?(「師走」や「年の暮れ」が一般的)
- 12月中旬:使い始めても自然な時期
- 12月下旬:最も「年の瀬」がしっくりくる時期
「年の瀬が迫る」と感じる具体的な時期
人によって「年の瀬だなぁ」と感じる瞬間は違いますが、例えば以下のような時期が目安になります。
- 会社の「仕事納め」の日程が知らされる頃
- テレビで年末特番のCMが増え始める頃
- お歳暮や年賀状の準備を始める頃
- 街がクリスマスから一気にお正月モードに切り替わる頃



挨拶で使う場合は、相手が慌ただしくなる「12月20日頃」を目安にすると、お互いに「いよいよ年末ですね」という共感が生まれやすいですよ。
「年の瀬」「師走」とは違う?似た言葉との意味比較
年末を表す言葉はいくつかあり、微妙にニュアンスが異なります。使い分けができるとスマートですよ。
「年の瀬」と「年の暮れ」のニュアンスの違い
- 年の暮れ(くれ)「年が暮れようとしている頃」という意味で、12月に入ってから年末まで幅広く使えます。「年の瀬」よりも少しゆったりとした、時間が過ぎていく様子を表すことが多いです。
- 年の瀬(せ)「年末が差し迫った時期」という意味。前述のとおり、慌ただしさや「もうすぐ年が終わってしまう」という切迫感を含みます。
どちらも年末の挨拶に使えますが、「年の瀬」のほうが「忙しいですね!」という共感の気持ちが強くなります。
比較表:「年の瀬」「年の暮れ」「歳末」「師走」の違い
年末の類語を、時期やニュアンスの違いで表にまとめました。
| 言葉 | 主な意味 | 時期の目安 | ニュアンス・使われ方 |
| 年の瀬 | 年末の差し迫った時期 | 12月中旬~下旬 | 慌ただしさ、切迫感。「年の瀬が迫る」 |
| 年の暮れ | 年が暮れようとする頃 | 12月全般(特に下旬) | 時が過ぎる様子。日常会話でもよく使う。 |
| 歳末 | 年の終わり(「歳」=年) | 12月下旬 | 主に商業用。「歳末セール」「歳末大売出し」など。 |
| 師走 | 12月の異名(旧暦) | 12月全般 | 師(お坊さん)も走るほど忙しい月。やや古風な表現。 |



「師走」は12月そのものを指す言葉(Decemberのようなもの)、「年の瀬」「年の暮れ」「歳末」は12月の中の「時期」を指す言葉、と覚えるとわかりやすいですね。
年の瀬の「やること」チェックリスト
「年の瀬が迫ると、何をしたらいいか焦ってしまう!」という方のために、主な「やること」をリストアップしました。
新年を迎えるための準備
- □ 大掃除(いつ頃までに?:ゴミ収集の最終日や、お正月飾りを飾る前(28日頃)までに終わらせるのが理想です)
- □ お歳暮の手配(時期:一般的に12月13日~20日頃までに届くようにします)
- □ 年賀状の準備(投函時期:12月15日~25日に投函すれば元旦に届きやすいです)
- □ お正月の飾りつけ(松飾り・しめ縄など。28日までに飾るのが吉。29日(二重苦)、31日(一夜飾り)は避ける風習も)
- □ お年玉(新札)の準備(銀行の窓口が混む前に準備しておきましょう)
年内に済ませておきたいこと
- □ 仕事納め、取引先への挨拶回り
- □ 年越しそばの手配・予約
- □ おせち料理の準備・予約
- □ ふるさと納税(該当者)(寄付の申し込みは12月31日までですが、決済方法によっては早めの手続きが必要です)
- □ 不要品の処分(粗大ごみの申し込みは早めに)



すべてを完璧にやろうとすると大変です。リストを見て「これだけはやっておこう」という優先順位を決めて、無理のない範囲で進めるのがコツですよ。
【シーン別】年の瀬の挨拶・使い方例文集
「年の瀬」は、年末の挨拶(結びの言葉)として非常によく使われます。シーン別に例文を見てみましょう。
使う時期と相手(目上・友人)
- 時期:12月中旬~下旬(相手が忙しくなる頃)
- 相手:目上の人(上司、取引先)に使っても失礼にはあたりません。友人にも使えます。
①ビジネスメール・手紙での使い方
メールの冒頭(時候の挨拶)や、末尾(結びの言葉)で使います。
取引先への年末の挨拶
(冒頭)
拝啓
年の瀬を迎え、ご多用のことと存じます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
(結び)
年の瀬ご多忙の折ではございますが、どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながら書中をもちまして、年末のご挨拶とさせていただきます。
敬具
社内・上司への挨拶
(結び)
年の瀬を迎え、お忙しいことと存じますが、どうぞご自愛ください。
まずは本年のお礼まで。
②対面での会話(挨拶回り)
相手の状況を気遣う一言を添えると、より丁寧な印象になります。
(例)
「〇〇様、年の瀬のお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます」
「いよいよ年の瀬も迫り、慌ただしくなってまいりましたね。本年は誠にお世話になりました」
「(別れ際に)年の瀬でご多用かと存じますが、よいお年をお迎えください」
③友人とのLINEやカジュアルな会話
堅苦しくない、自然な表現で使えます。
(例)
「もう年の瀬だね!大掃除終わった?」
「年の瀬でバタバタしてるけど、体に気を付けてね。よいお年を!」



「年の瀬」を使う挨拶は、「忙しい時期ですが、お体に気を付けて。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」という感謝と気遣いの気持ちを伝えるための言葉です。
「年の瀬」に関するよくある質問(FAQ)
「年の瀬」について、よく疑問に思われることをまとめました。
Q1. 「年の瀬」は季語ですか?
はい、「年の瀬」は冬の季語(時候の季語)です。
俳句や短歌、手紙の時候の挨拶などで使われます。「年末」「年の暮れ」なども同様に冬の季語です。
Q2. 年の瀬の挨拶はいつから始めるのが適切ですか?
明確な決まりはありませんが、12月中旬(15日頃)から、仕事納めや年末の挨拶回りが行われる12月20日~28日頃までに使うのが一般的です。大晦日(31日)に「年の瀬ですね」と言うのは少し遅い印象になるかもしれません。
Q3. 「年の瀬」を目上の人に使っても失礼になりませんか?
いいえ、失礼にはあたりません。
「年の瀬ご多忙の折」のように、ビジネスメールやフォーマルな手紙でも使われる伝統的な日本語です。丁寧語や謙譲語と組み合わせれば、目上の方への挨拶として適切です。
Q4. 「年の瀬」の英語表現はありますか?
「年の瀬」の持つ「慌ただしさ」や「差し迫った感じ」をそのまま表す、ぴったり一言の英語はありません。
文脈に応じて、以下のように表現するのが一般的です。
- the end of the year (年末)
- (例)It’s almost the end of the year. (もうすぐ年の瀬だね)
- the year-end rush (年末の慌ただしさ)
- (例)We are in the middle of the year-end rush. (年の瀬の忙しさの真っ只中です)
- the hectic year-end season (慌ただしい年末の時期)
まとめ:年の瀬の意味を知り、慌ただしい時期を乗り切ろう
「年の瀬」は、単なる「年末」ではなく、新年を迎えるための準備で慌ただしく、どこか切迫感のある時期を表す、日本らしい情緒のある言葉です。
- 意味:年末の差し迫った慌ただしい時期
- 由来:「川の瀬」や「世間の慌ただしさ」など諸説あり
- 時期:12月中旬~下旬が目安
- 挨拶:「お忙しい中ありがとうございます」「よいお年を」という気遣いを込めて使う
言葉の意味や背景を知ることで、年末の挨拶にも心がこもります。
やるべきことをリストアップして計画的に進め、慌ただしい年の瀬を元気に乗り切り、気持ちよく新年を迎えましょう。

