師走の意味と由来【5つの説】有力なのは?「師」は誰か解説

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師走 由来 説

「師走」という言葉を聞くと、なんだか急に年末感がやってきますよね。

「ああ、もう12月か。忙しくなるなぁ…」

「そういえば、なんで『師走』っていうんだろう?」

「お坊さんや先生が走るって聞いたことあるけど、本当なのかな?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?

12月のカレンダーを見ると当たり前のように書いてある「師走」ですが、その由来や意味を詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、「師走」という言葉の由来や語源とされる様々な説、そして現代での正しい使い方まで、中学生にもわかるように、やさしく解説していきます。

この記事でわかること

  • 師走の由来とされる「主な説」と「有力な説」
  • 「師」が走ると言われるけど、「師」って結局だれのこと?
  • 師走の現代での使い方や、12月の他の呼び方(異名)
目次

そもそも「師走(しわす)」とは?

「師走」は、日本の旧暦(太陰太陽暦)における12月の呼び名(和風月名)です。

現在は新暦(グレゴリオ暦)が使われていますが、師走は「12月」の異名として最も有名な言葉の一つですね。

「師走」が指す時期は「12月」

旧暦と新暦では1ヶ月ほどのズレがあることもありますが、現代の日本では「師走=12月」として広く認識されています。

「師走」の基本的な意味

「師走」と聞くと、多くの人が「年末の忙しさ」をイメージするのではないでしょうか。

実際、年末はクリスマスやお正月の準備、大掃除、仕事納めなど、何かとやることが多く慌ただしい時期です。

「師走」という言葉には、まさにその「年末の慌ただしく忙しい様子」という意味が込められています。

コトクマ

12月になると、テレビのニュースや新聞でも「師走の街は…」といった表現がよく使われますね。言葉自体が「年末の忙しさ」のシンボルになっています。

「師走」の由来・語源とされる主な説

なぜ「師走」と呼ばれるようになったのか、その由来にはいくつかの説があります。どれが絶対に正しいという決定的な証拠はないのですが、有名な説をいくつかご紹介します。

説①:【最有名】お坊さん(師)が走り回る説

これが一般的に最もよく知られている説ですね。

「師」とは「お坊さん(僧侶)」のこと。年末になると、お坊さんたちは家々を回ってお経をあげたり、法事を行ったりと大忙しになります。

その忙しさのあまり、普段は落ち着いているお坊さん(師)までもが走り回る月、ということで「師馳す(しはす)」となり、「師走」になったという説です。

説②:【有力?】「為果つ(しはつ)」が変化した説

これは、語源(言葉の音)に注目した説です。

「しはつ」は「為果つ」と書き、「(年が)終わる」「(仕事を)し終える」という意味があります。

一年の最後の月であり、やるべきことを全てやり終える月、という意味の「為果つ(しはつ)月」が、時代とともに音が変化して「しわす」になったのではないか、という説です。

説③:「四季の終わり(四極)」からきた説

「し」を「四季」、「はつ」を「果つ」と解釈する説です。

四季(春夏秋冬)の最後の月、つまり「四季の果てる月」という意味で「しはつ」→「しわす」になったというものです。

説④:先生(師)が走り回る説

「師」を「学校の先生」と解釈する説もあります。

年末になると、先生たちも成績をつけたり、冬休みの準備をしたりと忙しく走り回るから、というものです。

ただ、これはお坊さんの説と比べると、後から出てきた解釈ではないかとも言われています。

説⑤:御師(おし)が走り回る説

「師」を「御師(おし)」とする説もあります。

御師とは、伊勢神宮や富士山などの大きな神社に所属し、その神社の信者を増やしたり、参拝客のお世話をしたりする人のことです。

年末になると、御師たちが全国の信者の家を訪れて、お札を配ったり、カレンダーを配ったりして走り回ったことから「師走」と呼ばれるようになった、という説です。

コトクマ

いろいろな説があって面白いですね!どの「師」も、年末に忙しくなる職業であることは共通しています。

結局、師走の由来で一番有力な説はどれ?

「師が走る」という漢字は後からの当て字(俗説)である可能性が高いです。語源としては、「為果つ(しはつ)」など、音から意味をたどる説も有力とされています。

これだけ説があると、「結局どれが本当なの?」と気になりますよね。

「師が走る」説は江戸時代からの俗説(当て字)?

実は、「師走」という言葉自体は古くから(一説には平安時代から)使われていたようですが、「師(お坊さん)が走る」という解釈が広まったのは、江戸時代に入ってからではないか、と言われています。

もともと「しわす」という音の言葉があり、それに後から「師が走るほど忙しい月」という意味を込め、「師走」という漢字が当てられた(当て字)のではないか、という見方です。これを「俗説(一般に信じられているが、根拠が定かでない説)」と呼ぶこともあります。

語源としては「為果つ(しはつ)」説も有力

言葉の歴史を研究する専門家の間では、むしろ説②で紹介した「為果つ(しはつ)」や、説③の「四極(しはつ)」のように、音(しわす・しはつ)が先にあり、そこから意味(年の終わり)が生まれたとする説も有力視されています。

結論として

  • 最も有名なのは「お坊さん(師)が走る」説。
  • ただし、これは後からの当て字(俗説)の可能性も高い。
  • 語源としては「為果つ(しはつ)」説なども有力。

「これが絶対に正しい!」と断言できる説はありませんが、どの説も「年末の忙しさ」「一年の終わり」という共通のイメージを持っていますね。

コトクマ

「嘘」や「俗説」と聞くと残念に思うかもしれませんが、それだけ多くの人が「年末は忙しいよね!」と共感し、この言葉が広まっていった証拠とも言えますね。

「師走」の「師」って結局だれのこと?

「師が走る」説が有名になったことで、「じゃあ、その『師』って具体的にだれのこと?」という疑問もよく聞かれます。これも、説によって異なります。

▼「師」とされる主な人たち

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「師」の候補どんな人?なぜ忙しいとされるか
1. お坊さん(僧侶)仏教のお坊さん年末の法事やお経をあげるために家々を回るから
2. 学校の先生学校の先生、教師年末の成績処理や行事、冬休みの準備などで忙しいから
3. 御師(おし)神社に所属し、信者のお世話をする人年末にお札やカレンダーを配るために全国を回るから

現代では「師走」という言葉から「お坊さん」を連想する人が一番多いかもしれませんが、昔の先生(師匠)や御師も、年末はとても忙しかったようです。

コトクマ

どの説が正しくても、「普段は尊敬される立場の人(師)でさえ、バタバタと走り回ってしまうほど忙しい月」というニュアンスが、この言葉を面白くしていますね。

現代での「師走」の使い方と例文

現代では「12月」そのものを指すほか、「年末の慌ただしい様子」を表す言葉として使われます。時候の挨拶としても便利です。

「師走」は、由来を知るとさらに深く使えるようになります。現代での主な使い方を例文とともに見てみましょう。

例文①:年末の忙しさを表すとき

「師走」という言葉自体に「忙しい」というニュアンスが含まれています。

  • 「師走に入り、仕事が急に忙しくなった。」
  • 「まさに師走の忙しさで、休みが取れそうにない。」
  • 「師走の慌ただしさに、つい忘れ物をしてしまった。」

例文②:時候の挨拶として(12月上旬~中旬)

手紙やビジネスメールの冒頭で使う「時候の挨拶」としても便利です。

  • 「師走の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。」
  • 「師走を迎え、ご多忙のことと存じます。」
  • 「寒さも本格的になり、師走の足音が聞こえてまいりました。」
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「12月になりましたね」と言うよりも、「師走ですね」と言ったほうが、年末の慌ただしい雰囲気を共有できる感じがしますよね。

師走(12月)の他の呼び方(異名)は?

「師走」は12月の異名として最も有名ですが、ほかにも素敵な呼び方があります。

  • 極月(ごくげつ、ごくづき)「極」は「きわまる」という意味。年が極まる、つまり一年の最後の月という意味です。
  • 春待月(はるまちづき)寒い冬が終わり、新しい春(新年)を待つ月、という意味です。素敵な響きですね。
  • 暮来月(くれこづき)「くれ」は「暮れ(年末)」のこと。年が暮れていく月、という意味です。
  • 除月(じょげつ)「除」は、古い年から新しい年へ移るという意味。大晦日のことを「除夜(じょや)」と言うのと同じです。
コトクマ

「春待月」なんて、寒い中にも希望が感じられていいですね。手紙の最後に「春待月、どうぞご自愛ください」なんて書くと、おしゃれかもしれません。

まとめ:師走の由来は諸説あるが、年末の忙しさを表す言葉

「師走」の由来や意味について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

▼ 師走の由来おさらい

  • 有名な説: お坊さん(師)が走り回るから。
  • 有力な説: 「為果つ(しはつ=年が終わる)」が変化した説など。
  • 結論: 「師が走る」は後からの当て字(俗説)の可能性もあるが、どの説も「年末の忙しさ」を反映している。

由来がはっきりしないからこそ、昔の人たちが「12月は本当に忙しい!」と感じていた共通の思いが、この言葉に込められているのかもしれません。

忙しい師走ですが、体調を崩さないように、新年を迎える準備を少しずつ進めていきたいですね。

「師走の由来」に関するよくある質問(FAQ)

「師走」に関して、特によく聞かれる質問をまとめました。

Q1. 師走の由来で一番有力な説はどれですか?

A. 「これが絶対に正しい」という説はありません。

一般的に一番有名なのは「お坊さん(師)が走り回る説」です。しかし、語源としては、一年の終わりを意味する「為果つ(しはつ)」という言葉が変化したという説も有力とされています。

Q2. 師走の由来が「嘘」や「俗説」と言われるのはなぜですか?

A. 「師が走る」という漢字の組み合わせが、後から作られた「当て字」である可能性が高いからです。

もともと「しわす」という音があり、その音に対して「年末の忙しさを表す漢字」として「師走」が当てられた、という解釈です。そのため、由来としては根拠が弱い「俗説」だと言われることがあります。

Q3. 「師走」の「師」は、先生のことですか? お坊さんのことですか?

A. 説によって異なります。

最も有名な説では「お坊さん(僧侶)」を指します。

ほかにも「学校の先生」や、神社の「御師(おし)」を指す説もあります。どの「師」も年末に忙しい職業とされていました。

Q4. 師走はいつからいつまでのことですか?

A. 現代では「12月」のことを指します。

もともとは旧暦の12月を指す言葉でしたが、今では新暦の12月(12月1日~12月31日)の異名として使われています。

Q5. 師走の類語や言い換えはありますか?

A. 12月の異名(別の呼び方)としては、「極月(ごくげつ)」「春待月(はるまちづき)」「暮来月(くれこづき)」などがあります。

また、「年末の忙しい時期」という意味での言い換えであれば、「年末」「年の瀬」「歳末(さいまつ)」などが近い表現になります。

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