年末が近づくと、「そろそろ年賀状の準備をしないと…」と考え始める方も多いのではないでしょうか。でも、年齢を重ねたり、生活スタイルが変わったりして、「もう年賀状のやり取りをやめたいな」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時に知っておきたいのが「年賀状じまい」です。
とはいえ、いざやめるとなると「失礼にあたらないかな?」「どう伝えればいいんだろう?」と不安になりますよね。
この記事では、「年賀状じまい」の意味や背景、送る側・受け取る側それぞれの基本的なマナー、そして相手を不快にさせないための具体的な文例まで、わかりやすく徹底解説します。
この記事でわかること
- 「年賀状じまい」の正しい意味と、失礼にならないための基本マナー
- 相手や理由に合わせた、そのまま使える文例集(高齢、現役世代、メール/LINE別)
- 「年賀状じまい」を受け取った側のスマートな返信方法
年賀状じまいとは?いつから始まった文化?
ここ数年でよく聞かれるようになった言葉ですが、主に以下のような背景から広まってきました。
- 終活の一環として: 70代や80代になり、人生の整理(終活)を始めるタイミングで、年賀状の準備が負担になってきた方。
- 人間関係の変化: 退職や引っ越しなどで、お付き合いが疎遠になった方。
- デジタル化(SNSの普及): LINEやメール、SNSで新年の挨拶をするようになり、はがきでのやり取りが必要なくなったと感じる方。
「年賀状をやめるなんて失礼じゃない?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。
大切なのは、「やめる」という事実だけを伝えるのではなく、これまでの感謝の気持ちと、「今後も良い関係を続けたい」という想いを込めて、丁寧にお知らせすることです。
コトクマ「やめる」ことには、少し勇気がいりますよね。でも、お互いの負担を減らし、より自分たちらしいお付き合いを続けるための「前向きな区切り」だと考えてみてくださいね。
【送る側】年賀状じまいのマナー:いつ・誰に・どう送る?
- 時期: 相手が年賀状を準備する前(11月~12月上旬)がベストです。
- 方法: 最後の年賀状として伝えるか、年明けに寒中見舞い(1月8日以降)で伝えます。
- 相手: 基本的に全員ですが、「一部だけ」やめる場合は相手に配慮が必要です。
年賀状じまいを決めたら、次に悩むのが「いつ、誰に、どうやって伝えるか」ですよね。相手に失礼だと思われないための、3つの基本マナーを押さえましょう。
送るタイミングはいつがベスト?
タイミングは大きく分けて3つあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、ご自身の状況に合わせて選びましょう。
- パターン1:最後の年賀状として送る(12月15日~25日頃)最も一般的で、相手に受け入れられやすい方法です。新年の挨拶と同時に、「この年賀状が最後です」と伝えます。
- パターン2:年明けに寒中見舞いとして送る(1月8日~立春まで)年賀状をいただいた方へのお返事として、「ありがとうございました。実は今年から…」と伝える形です。
- パターン3:年賀状シーズンより前に送る(11月~12月上旬)相手が年賀状を準備(購入・印刷)する前に伝えられるため、最も親切な方法とも言えます。ただし、年賀状とは別にはがきを送る手間がかかります。
【早見表】年賀状じまいのタイミング
| 送る時期 | 使うはがき | メリット | デメリット |
| 11月~12月上旬 | 通常はがき | 相手が年賀状を買う前に伝えられる | 準備が早い人は行き違いになるかも |
| 12月中旬 | 年賀はがき | 最も一般的。新年の挨拶と兼ねられる | 特になし |
| 1月8日~立春 | 寒中見舞い | 年賀状をくれた人にだけ伝えられる | 相手は既に年賀状を送ってしまっている |
誰に送る?「全員」と「一部だけ」の使い分け
基本的には、これまで年賀状をやり取りしていた方全員に送るのがマナーです。
「Aさんには送るけど、Bさんにはやめる」というように、「一部の人だけ」をやめたい場合もあるかもしれません。
その場合は、相手に「自分だけやめさせられた」と寂しい思いをさせないよう、細心の注意が必要です。
例えば、「親戚だけは続ける」「会社関係だけやめる」といった明確な線引きがあるなら伝えやすいですが、そうでない場合は、相手との関係性を見極めて慎重に進めましょう。



「一部だけ」やめるのは、人間関係の整理にもつながります。もし伝えにくい場合は、無理に「年賀状じまい」を宣言せず、こちらから送るのを静かにやめる(フェードアウトする)という方法を選ぶ人もいますよ。
【ケース別】そのまま使える!年賀状じまいの文例集
- 年賀状じまいの文例は「①新年の挨拶」「②やめる理由」「③これまでの感謝」「④今後のお付き合いのお願い」で構成されます。
- 理由は具体的すぎず、相手を不快にさせない「高齢」「終活」「ライフスタイル」などの言葉を選びましょう。
いざ書こうとすると、どんな言葉を選べばいいか迷ってしまいますよね。失礼にならず、感謝が伝わる文例を、送る相手や理由別に紹介します。
基本の構成要素
どんな文例でも、以下の4つの要素を入れるのが基本です。
- 新年の挨拶(または季節の挨拶)(例)謹んで新春のお慶びを申し上げます
- 年賀状じまいを伝える言葉(例)誠に勝手ながら、本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく存じます
- やめる理由(簡潔に)(例)寄る年波を感じ(高齢の場合)、人生の節目を迎え(終活の場合)
- これまでの感謝と、今後のお付き合いをお願いする言葉(例)長きにわたり賜りましたご芳情に厚く御礼申し上げます。今後とも変わらぬお付き合いのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
【相手・理由別】文例フレーズ集(はがき・手紙)
理由や相手に合わせて、フレーズを組み合わせて使ってみてください。
| 相手 | 理由 | 文例(抜粋) |
| 目上の人 | 高齢 | 誠に勝手ながら、寄る年波を感じ、皆様への年頭のご挨拶を本年限りとさせていただきたく存じます。 |
| 友人・知人 | 終活 | 人生の節目を迎え、これからのことを考え始め、年賀状によるご挨拶を皆様に控えさせていただくことといたしました。 |
| ビジネス関係 | 全般 | 諸般の事情により、誠に勝手ながら、年賀状でのご挨拶は本年を最後とさせていただく所存です。 |
| 全般 | 理由をぼかす | 誠に勝手ながら、今後は年賀状でのご挨拶を控えさせていただきたく存じます。皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。 |
40代・50代(現役世代)向けの文例
40代や50代でやめたい場合、「高齢」や「終活」という言葉は使いにくいですよね。
その場合は、「ライフスタイルの変化」や「デジタルのご挨拶への切り替え」を理由にするのがおすすめです。
例文(40代・50代向け)
謹んで新春のお慶びを申し上げます
さて 誠に勝手ながら、近年のライフスタイルの変化に伴い、
年賀状でのご挨拶を本年限りとさせていただきたく存じます。
今後はメール(SNS)などでご挨拶をさせていただければ幸いです。
これまで賜りましたご厚情に心より感謝申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願いいたします。
【ツール別】メール・LINEでの伝え方と文例
親しい友人や、普段からメールやLINEでやり取りしている相手には、デジタルで伝えても問題ありません。ただし、はがきより少しカジュアルな印象になるため、言葉遣いは丁寧にしましょう。
- メールの場合
- 件名: 新年のご挨拶と年賀状じまいのお知らせ(〇〇[自分の名前])
- 本文: はがきの文例とほぼ同じ構成でOKです。「皆様に」ではなく「〇〇様に」と個別に送る形がより丁寧です。
- LINEの場合(親しい友人向け)
- 新年の挨拶スタンプやメッセージと一緒に送ります。
- 例文:「あけましておめでとう!ところで突然なんだけど、今年から年賀状でのご挨拶は終わりにしようと思ってるんだ。これからはLINEで気軽にやり取りできたら嬉しいな!今年もどうぞよろしくね!」



一番大切なのは「感謝」の気持ちです。どの文例を選ぶにしても、「今までありがとう」という気持ちを込めてくださいね。手書きで一言添えるのも、温かみが伝わっておすすめです。
【受け取った側】年賀状じまいの挨拶状をもらったら?返信マナー
- 「年賀状じまい」の挨拶状を受け取っても、返信は必須ではありません。
- もし返信する場合は「寒中見舞い」として、相手の決断を尊重し、感謝を伝える内容を送ります。
今度は、自分が「年賀状じまい」の挨拶状を受け取った側のマナーです。「返信したほうがいいの?」と迷いますよね。
返信は必要?送る場合の時期
結論から言うと、返信はしなくても失礼にはあたりません。
相手は「これで終わりにします」と伝えてきているので、その意思を尊重し、静かに受け止めるのが基本です。
もし、ご高齢の方や、特にお世話になった方で、「どうしても一言お返事したい」「これからも関係は続けたい」という場合は、返信しても構いません。
その場合は、年賀状ではなく「寒中見舞い」として、1月8日以降(松の内が明けてから)~立春(2月4日頃)までに送るのがマナーです。
返信の文例
返信する場合は、「相手の決断を尊重する言葉」と「これまでの感謝」を伝えることが大切です。「やめないでほしい」といった、相手を困らせる内容は避けましょう。
返信文例(寒中見舞い)
寒中お見舞い申し上げます
この度は ご丁寧なご挨拶状をいただき 誠にありがとうございました
〇〇様からの年賀状を毎年楽しみにしておりましたので
少し寂しい気持ちもいたしますが、〇〇様のお気持ち 謹んで承りました
これまでのお心遣いに 心より感謝申し上げます
寒さ厳しき折 ご自愛専一にてお過ごしください
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます



相手は「失礼じゃないか」と不安に思いながら送ってきているかもしれません。「寂しいけれど、わかりました。今までありがとう」という優しい気持ちが伝わると、相手もホッと安心できますよ。
年賀状じまい「やること・やらないこと」チェックリスト
年賀状じまいをスムーズに進めるために、やるべきことと注意点(やらないこと)をリストにまとめました。
年賀状じまいをするときの「やることリスト」
- [ ] やめる相手を決める(全員か、一部か)
- [ ] 送る時期を決める(年内か、年明けか)
- [ ] 挨拶状(はがき・メール)の文面を作成する
- [ ] 送る相手のリストを最終確認する
- [ ] (年明けに送る場合)いただいた年賀状をチェックする
- [ ] 住所録を整理する(「来年から送らない」印をつける)
年賀状じまいをした後の「やらないこと」(注意点)
- [ ] やめた相手に翌年うっかり年賀状を送らない(住所録の整理が重要です!)
- [ ] SNSなどで「年賀状やめてスッキリした」「準備が面倒だった」など、ネガティブな発信をしない(誰が見ているかわかりません。年賀状を続けている人を不快にさせる可能性もあります)
- [ ] 返信を強要するような内容を書かない



一番やりがちなミスが、「やめたのに翌年送ってしまう」こと。せっかく丁寧にお断りしたのに、これでは台無しです。住所録の管理はしっかり行いましょう。
年賀状じまいでよくある質問(FAQ)
年賀状じまいに関して、多くの方が疑問に思うことをまとめました。
Q. 年賀状じまいは失礼にあたりますか?
A. いいえ、失礼にはあたりません。
大切なのは「伝え方」です。「①やめること」「②これまでの感謝」「③今後のお付き合いのお願い」の3点を丁寧に伝えれば、相手もきっと理解してくれます。
Q. 年賀状じまいは何歳から(40代・50代でも)始めていいですか?
A. 年齢に関係なく、ご自身のタイミングで始めて問題ありません。
40代や50代の場合は、「高齢」や「終活」ではなく、「ライフスタイルの変化」や「デジタルへの移行」などを理由にすると、相手に伝わりやすいです。
Q. 年賀状じまいをしたのに年賀状が届いたらどうすればいいですか?
A. 相手が挨拶状を見ていないか、忘れている可能性があります。
その場合は、改めて「寒中見舞い」を送り、その中で「年賀状じまいをしたこと」と「年賀状をいただいたお礼」を伝えましょう。
Q. 喪中の場合、年賀状じまいはどうすればいいですか?
A. 喪中はがき(年賀欠礼状)で年賀状じまいを兼ねることは、マナー違反ではありません。
ただし、お悔やみの挨拶と区切り(年賀状じまい)の挨拶が一緒になるため、文面はより丁寧にしましょう。
「(喪中の挨拶)… なお、誠に勝手ながら、皆様への年頭のご挨拶もこれを機に控えさせていただきたく存じます」といった一文を加えます。
Q. 年賀状じまいの理由で「終活」と書いてもいいですか?
A. はい、使っても問題ありません。
特にご高齢の方にとっては、相手に事情を察してもらいやすい、一般的な理由の一つとなっています。「人生の節目」や「これからのことを考え」といった言葉に置き換えても良いでしょう。
まとめ
年賀状じまいは、決して「冷たい」「失礼な」行為ではありません。
これまでの感謝をきちんと伝え、今後も良い関係を続けたいという気持ちを丁寧に表現すれば、お互いにとって前向きな「区切り」になります。
送る側は、相手への配慮を忘れずに。
受け取った側は、相手の決断を温かく受け止めて。
年賀状という形は終わっても、大切な人とのご縁は続いていきます。この記事が、あなたの新しい一歩を後押しできれば幸いです。



長年の習慣を変えるのは勇気がいりますが、これを機に、メールや電話、たまに会ってお茶をするなど、自分にとって心地よい新しいお付き合いの形を見つけてみてくださいね。

