年末が近づくと、お世話になった方へ感謝の気持ちを伝える「お歳暮」の準備が始まりますね。 デパートやお店で品物を選ぶのは楽しいですが、「かけ紙(のし紙)はどうするんだっけ?」「包装って、内のしと外のし、どっちが正しいの?」と、マナーの面で不安になることはありませんか?
特に、配送する場合と手渡しする場合でマナーが違うと聞くと、よけいに迷ってしまいますよね。
この記事では、お歳暮の「かけ紙」と「包装」の基本マナーから、シーン別の使い分け、意外と知らない包装紙の選び方まで、中学生でもわかるように、図解を交えてやさしく解説します。
この記事でわかること
- お歳暮に使う「かけ紙(のし紙)」の正しい選び方と書き方
- 「内のし」と「外のし」の使い分け(配送・手渡しの違い)
- 失礼にあたらない「包装紙」の選び方や最近の傾向
この記事を読めば、自信を持ってスマートにお歳暮を手配できるようになりますよ。
お歳暮の「かけ紙」と「包装」とは? 知っておきたい基本のマナー
お歳暮を贈る際、品物そのものと同じくらい大切なのが「かけ紙(のし紙)」と「包装」です。これらは、相手への敬意や感謝の気持ちを形にするための、日本の大切な文化です。まずは、それぞれの役割と基本のマナーをしっかり押さえましょう。
そもそも「かけ紙(のし紙)」って何?
「かけ紙(のし紙)」とは、贈り物にかける紙のことで、一般的に「のし紙」と呼ばれているものです。 厳密には、「のし」とはかけ紙の右上にある小さな飾りのことを指します。
お歳暮で使うかけ紙には、主に3つの要素があります。
- のし(熨斗): 右上の飾り。もともとはアワビを薄く伸ばしたもので、「生もの」の象徴でした。お歳暮(生ものを除く)には、この「のし」がついたものを使います。
- 水引(みずひき): 中央にある飾り紐のことです。
- 表書き・名入れ: 水引の上段に「御歳暮」などの目的を、下段に贈り主(自分)の名前を書きます。
これらをまとめて「かけ紙」または「のし紙」と呼びます。
包装紙の役割とマナー
包装紙は、品物を汚れや傷から守るだけでなく、「まだ誰も開けていませんよ」という証(封印)や、相手への「改まった気持ち」を示す役割があります。
お店で「ご自宅用ですか?ご贈答用ですか?」と聞かれるのは、このためです。贈答用の場合、お店の包装紙で丁寧に包んでもらうのが一般的です。
最近では、環境に配慮した「エコ包装(簡易包装)」も増えていますが、お歳暮のようなフォーマルな贈り物では、完全に包む「全体包装」が基本とされています。
コトクマかけ紙や包装は、単なる飾りではありません。「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを伝える、大切なツールなんですよ。
お歳暮に使う「かけ紙(のし紙)」の選び方・書き方
お歳暮に使うかけ紙には、守るべきルールがあります。特に「水引」の種類と「表書き」の書き方は間違えやすいポイントです。ここでしっかり確認しておきましょう。
水引は「紅白の蝶結び」を選びましょう
水引には色や結び方で意味があります。
- 色: 紅白(または金銀、赤金)
- 本数: 5本または7本
- 結び方: 紅白の蝶結び(花結び)
「蝶結び」は、何度も結び直せることから、「何度あっても嬉しいお祝いごと(出産、入学、お中元、お歳暮など)」に使います。 結婚祝いなどで使う「結び切り(一度きりのお祝い)」とは違うので、注意しましょう。
「表書き」の書き方(「御歳暮」が一般的)
水引の上段(のし上)には、贈る目的を書きます。
- 御歳暮: 最も一般的です。
- 御年賀: 年始(松の内、一般的に1月1日~7日)に贈る場合に使います。
- 寒中御見舞: お歳暮の時期を逃した場合や、喪中の相手に贈る場合に使います。(目上の方へは「寒中御伺」)
「名前」の書き方(個人・連名・会社名)
水引の下段(のし下)には、贈り主(自分)の名前を「表書き」よりも少し小さめに書きます。
- 個人の場合: 姓名(フルネーム)を書きます。
- 連名(夫婦や家族)の場合:
- 夫婦: 夫の姓名を中央に書き、その左側に妻の名前のみを書きます。
- 3名まで: 目上(または年長)の人から順に、右から左へ書きます。
- 4名以上: 代表者の名前を中央に書き、その左側に「他 一同」と書きます。別紙に全員の氏名を書いて同封するのが丁寧です。
- 会社名の場合:
- 会社名のみ: 中央に書きます。
- 役職と名前を入れる場合: 中央に名前を書き、その右上に小さく会社名を書きます。役職は名前の上に小さく書くか、名前の右側に書きます。



名前書きは、相手に「誰からの贈り物か」を伝える大切な部分です。楷書(かいしょ)で丁寧に書きましょう。毛筆や筆ペンを使うのが正式ですが、サインペンでも心を込めれば大丈夫ですよ。
お歳暮は「内のし」「外のし」どっちが正解? 包装との順番
かけ紙(のし紙)をかけるタイミングには、「内のし」と「外のし」の2種類があります。これは、包装紙との順番の違いです。どちらを選ぶかは、主に「どのように贈るか」によって変わってきます。
「内のし」とは? 包装紙の内側にかける方法
「内のし(うちのし)」は、品物に直接かけ紙をかけ、その上から包装紙で包む方法です。
- 見た目: 包装紙を開けるまで、「御歳暮」などの表書きが見えません。
- 特徴: 気持ちを控えめに伝えたい時や、内祝い(お返し)の際によく使われます。
「外のし」とは? 包装紙の外側にかける方法
「外のし(そとのし)」は、品物を包装紙で包んだ上から、かけ紙をかける方法です。
- 見た目: ひと目で「誰から」「何の目的で」贈られたかが分かります。
- 特徴: 贈り物を強調したい時や、多くの贈り物が集まる場合に適しています。
【ポイント】配送?手渡し?迷ったときの選び方
「内のし」と「外のし」、どちらを選ぶか迷ったときは、以下の基準で使い分けるのが一般的です。
「内のし」と「外のし」の使い分けチェックリスト
- 【内のし】がおすすめなケース
- [配送] 宅配便などで送る場合(配送伝票がかけ紙に直接貼られたり、かけ紙が途中で汚れたり破れたりするのを防ぐため)
- [控えめ] 気持ちを奥ゆかしく伝えたい場合(内祝いなど)
- 【外のし】がおすすめなケース
- [手渡し] 相手に直接持参する場合(すぐに「お歳暮です」と目的が伝わるため)
- [アピール] 贈り物の目的をはっきりさせたい場合
地域によって慣習が異なる場合もありますが、現代では「配送なら内のし、手渡しなら外のし」と覚えておくと、大きな失敗はありません。
デパートやお店ではどう伝えたら良い?
デパートやオンラインショップでお歳暮を注文する際は、必ず「内のし」か「外のし」かを選ぶ項目があります。
- 配送をお願いする場合: 「内のし」を指定しましょう。指定しなくても、お店側が「配送=内のし」として手配してくれることがほとんどです。
- 手渡し用に持ち帰る場合: 「外のし」を指定すると良いでしょう。紙袋に入れる際も、かけ紙が汚れないよう配慮してくれます。



この使い分けは、相手への配慮の表れです。配送中にかけ紙が破れてしまったら、せっかくの気持ちが台無しですよね。「内のし」は、大切な贈り物を守る知恵でもあるんです。
意外と知らない? お歳暮の「包装紙」選びのポイント
かけ紙のマナーは気にしても、包装紙については「お店にお任せ」という方が多いかもしれません。しかし、包装紙にも避けたほうが良い色柄や、最近の傾向があります。
避けたほうが良い色や柄はありますか?
基本的にお歳暮はフォーマルな贈り物なので、あまりに奇抜なデザインや、カジュアルすぎるものは避けるのが無難です。
- 色: お祝い事なので、黒一色や白黒の組み合わせ(お悔やみ事を連想させる)は避けましょう。落ち着いた色味や、おめでたい紅白、金銀などが入ったものが好まれます。
- 柄: 派手すぎるキャラクターものや、ドクロなどの縁起が悪いとされる柄はNGです。
- 素材: あまりに安っぽい紙や、シワだらけの紙も失礼にあたります。
デパートやギフト専門店の包装紙であれば、まず間違いありません。お店のロゴが入った包装紙は、それ自体が「きちんとしたお店で選んだ」という信頼の証にもなります。
最近の「エコ包装」や「リボン」は失礼にあたる?
最近は、環境への配慮から「エコ包装(簡易包装)」も増えています。これは、包装紙の使用量を減らしたり、箱に直接リボンやシールを貼ったりするスタイルです。
- エコ包装:
- とても親しい友人や家族へのお歳暮であれば、問題ないでしょう。
- しかし、目上の方、取引先、礼儀を重んじる方へのお歳暮には、まだ避けたほうが無難です。エコ包装は「略式」と捉えられる可能性があるため、伝統的な全体包装を選びましょう。
- リボン:
- 「かけ紙(のし紙)」と「リボン」は、一緒には使いません。
- かけ紙(水引)がリボンの代わりです。日本の伝統的な贈答マナーでは「かけ紙」を使い、西洋式のカジュアルなプレゼントでは「リボン」を使います。
- お歳暮には、リボンではなく「かけ紙」を使うのが正しいマナーです。



迷ったら「伝統的な全体包装」を選ぶのが一番安心です。特に目上の方には「丁寧すぎる」くらいが、ちょうど良いんですよ。
お歳暮の「かけ紙・包装」に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、お歳暮のかけ紙や包装について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q. お歳暮にかけ紙(のし)は必ず必要ですか?
A. はい、お歳暮はフォーマルな贈り物ですので、かけ紙(のし紙)をつけるのが正式なマナーです。 ただし、例外もあります。例えば、生魚や生肉などの「生もの」を贈る場合は、「のし(右上の飾り)」がついていない「かけ紙」(水引と表書きのみ)を使います。「のし」自体が生ものの象徴(アワビ)だからです。
Q. かけ紙と包装紙はどこで買えますか?
A. 百円ショップ、文房具店、ホームセンター、デパートの文具売り場、オンラインショップなどで購入できます。 「お歳暮用」として、紅白蝶結びの水引が印刷されたものがセットで売られています。ただし、品物を購入したお店(デパートやギフトショップ)でお願いすれば、無料でかけてもらえることがほとんどです。
Q. 配送と手渡しで、かけ紙や包装は変えるべきですか?
A. かけ紙自体の種類(紅白蝶結びなど)は変える必要はありませんが、包装との順番(内のし・外のし)を変えるのが一般的です。 前述の通り、配送の場合は「内のし」(かけ紙が汚れないように)、手渡しの場合は「外のし」(目的がすぐ伝わるように)を選ぶとスマートです。
Q. 会社名と個人の名前を連名で書きたい場合はどうすればいいですか?
A. 水引の下段中央に個人の姓名を書き、その右上に少し小さく会社名を書くのが一般的です。 もし会社名と役職も入れたい場合は、「(中央)山田 太郎」「(右側)株式会社〇〇」「(名前の上)代表取締役」のようにバランス良く配置します。文字数が多くなる場合は、名刺を添えるなどの方法もあります。
Q. 包装紙だけの「包装のみ」で贈るのはマナー違反ですか?
A. お歳暮の場合、かけ紙(のし紙)をつけずに包装紙だけで贈るのは、マナー違反と受け取られる可能性があります。 「誰から」「何の目的で」贈られたのかが分からないため、相手を困らせてしまうかもしれません。親しい友人へのカジュアルなギフトでない限り、お歳暮には必ずかけ紙をつけましょう。
まとめ:お歳暮は「かけ紙」と「包装」で感謝の気持ちを丁寧に包みましょう
お歳暮の「かけ紙」と「包装」には、一つひとつに意味があり、相手への敬意や感謝を伝える大切な役割があります。
お歳暮の「かけ紙・包装」おさらいポイント
- かけ紙: 「紅白の蝶結び」の水引を選び、「御歳暮」と贈り主の名前を丁寧に書く。
- 内のし: 【配送】で送る時。かけ紙が汚れないための配慮。
- 外のし: 【手渡し】する時。目的がすぐに伝わるための配慮。
- 包装紙: 落ち着いたデザインを選び、リボンは使わない。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、基本のルールさえ押さえれば大丈夫です。マナーを守ることは、あなたの「いつもありがとうございます」という大切な気持ちを、より正確に、より深く相手に届けることにつながります。
この記事を参考に、自信を持って素敵なお歳暮を贈ってくださいね。


