「面接のときに、緊張してつい『貴社』って言っちゃった……これってもしかして不合格?」
「メールを書いているんだけど、相手の会社のこと、『御社』でいいんだっけ?」
就職活動やビジネスの場面で、ふと立ち止まってしまうのが「貴社(きしゃ)」と「御社(おんしゃ)」の使い分けですよね。
どちらも相手の会社を敬う大切な言葉ですが、使い方を間違えると「マナーを知らないのかな?」と思われてしまうかも……なんて不安になることもあるかもしれません。
でも、大丈夫です!
実はこの2つ、たった一つのシンプルなルールさえ覚えてしまえば、もう一生迷うことはありません。
この記事では、言葉の専門サイト「コトバノモリ」編集部が、以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 一瞬で覚えられる!「貴社」と「御社」の決定的な違い
- もう迷わない! 面接、メール、電話などシーン別の正解
- 銀行や病院は? 相手に合わせた正しい呼び方リスト
これを読めば、自信を持って相手への敬意を伝えられるようになりますよ。それでは、一緒に見ていきましょう!
まずは結論!「貴社」と「御社」の決定的な違い
さっそく結論からお伝えします。この2つの違いは、ズバリ「話すか、書くか」だけです。
- 話すとき(口頭) = 御社(おんしゃ)
- 書くとき(文章) = 貴社(きしゃ)
基本的にはこれだけでOKです!
面接や電話で「お話しする」ときは「御社」、履歴書やメールを「書く」ときは「貴社」を使います。
一瞬で覚えられる魔法のルール
「あれ? どっちがどっちだっけ?」とパニックになってしまった時のために、コトバノモリ流の簡単な覚え方をご紹介します。
- 御社(おんしゃ) は 「音(オン)」 で伝えるから、話し言葉。
- 貴社(きしゃ) は 「書き(カキ)」 言葉。
覚え方のイメージ
- 🗣️ 御社(オンしゃ) ➡ 音(オン)に出して言う
- 📝 貴社(キしゃ) ➡ キ(=記)す、書き言葉
これでもう、迷うことはありませんよね!
なぜ使い分ける必要があるの?
「どっちも丁寧な言葉なんだから、一つに統一してくれればいいのに」と思ったことはありませんか? 実は、使い分けるのには日本語ならではの深い理由があるんです。
書き言葉である「貴社(きしゃ)」を会話で使うと、同音異義語と混ざって聞き間違いが起きやすくなります。
- 新聞などの「記者」
- 電車の「汽車」
- 会社に帰る「帰社」
例えば、面接で「キシャの将来性に惹かれました」と言うと、一瞬「え? 記者のこと? 汽車のこと?」と脳内で変換する手間がかかってしまいますよね。
相手にストレスを与えず、スムーズに意味を伝えるために、話し言葉では音の響きが異なる「御社」が使われるようになったのです。
コトバノモリ編集部より:マナーの本質
マナーと聞くと「形式を守らなきゃ」と身構えてしまいますが、本来は「相手に心地よく過ごしてもらうための気遣い」です。 「貴社」と「御社」の使い分けも、相手が聞き取りやすいように、読みやすいようにという「思いやり」から生まれています。
もし間違えてしまっても、その思いやりや敬意自体が伝わっていれば、大きなマイナスにはなりません。形式にとらわれすぎず、心を込めて伝えることを大切にしましょう。
「御社(おんしゃ)」を使う具体的なシーン【話し言葉】
それでは、実際のシーンに合わせて具体的に見ていきましょう。まずは「話すとき」に使う「御社」からです。
1. 就職活動・転職活動の「面接」
最も「御社」を使う機会が多いのが、面接です。
入室してから退室するまで、面接官との会話の中では一貫して「御社」を使います。
【会話の具体例】
- 志望動機を伝えるとき「私が御社を志望した理由は、〇〇という理念に深く共感したからです。」
- 逆質問をするとき「御社で活躍されている若手社員の方には、どのような共通点がありますか?」
- 入社後のイメージを語るとき「御社の一員として、1日も早く貢献できるよう努力いたします。」
面接練習のときから「御社」と言う癖をつけておくと、本番でも自然と口から出るようになりますよ。
2. 電話対応・受付での挨拶
社会人になってからも頻繁に使うのが電話対応や、他社を訪問した際の受付での挨拶です。これらもすべて「会話」なので「御社」を使います。
【会話の具体例】
- 会社訪問の受付で「本日14時に、御社の佐藤様とお約束をいただいております、コトバノモリの鈴木と申します。」
- 電話でアポイントを取るとき「ぜひ一度、御社の新サービスについてお話を伺えればと思っております。」
3. 社内会議・プレゼンテーションの口頭説明
少し応用編ですが、プレゼンなどの場面でも注意が必要です。
例えば、プロジェクターに映しているスライド資料(書き言葉)には「貴社」と書いてあっても、それを口頭で説明するときは「御社」と言い換えるのがスマートな大人の対応です。
- スライドの文字: 「貴社の課題解決に向けて」
- 口頭での説明: 「それでは、御社の課題解決に向けたプランをご説明します」
書かれている文字をそのまま読むのではなく、相手の耳に届く言葉として「御社」を選ぶ。これができると、「おっ、この人は慣れているな」と一目置かれるポイントになります。
「貴社(きしゃ)」を使う具体的なシーン【書き言葉】
次に、「書くとき」に使う「貴社」の出番を見ていきましょう。文字として残るものは、基本的にすべて「貴社」です。
1. 履歴書・職務経歴書・エントリーシート(ES)
就職活動で提出する書類はすべて書き言葉です。志望動機欄や自己PR欄では必ず「貴社」を使いましょう。
【文章の具体例】
- 「貴社の掲げる『顧客第一』という理念に感銘を受け……」
- 「貴社の営業職として、私の強みである粘り強さを活かしたいと考えております。」
2. ビジネスメール・手紙・お礼状
取引先にメールを送る際や、面接後のお礼状(ハガキや封書)を書く際も「貴社」を使います。
【文章の具体例】
- メールの冒頭挨拶「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
- 面接のお礼メール「本日はご多忙の中、貴社の面接にお時間をいただき誠にありがとうございました。」
3. 企画書・プレゼン資料
先ほどお話しした通り、プレゼン資料の中の文字は「書き言葉」なので「貴社」と記載します。
資料を読む人が、パッと見て「(記者などではなく)相手の会社のことだ」と分かるようにするためです。
コトバノモリ編集部より:メールの件名に注意!
メールの件名(タイトル)で会社名を入れる場合、「貴社新サービスについて」と書くこともありますが、少し堅苦しい印象になることも。
最近では「御社新サービスについて」と書いたり、誤解を避けるために「株式会社〇〇様 新サービスについて」と具体的な社名を書くほうが丁寧で確実な場合も多いですよ。
【迷いやすい!】ビジネスチャットやSNSではどっち?
最近はSlackやChatwork、LINE WORKSなどの「ビジネスチャット」を使う機会も増えましたよね。
「チャットは文字だから『貴社』? でも会話みたいだから『御社』?」と迷う方がとても多いです。
基本は「書き言葉」だけど……?
チャットであっても文字で打つ以上、基本は「貴社」を使うのがマナーとしては無難です。
特に、初めて連絡を取る相手や、目上の方に対しては「貴社」を使いましょう。
関係性が深い場合の「御社」
ただし、チャットはメールよりも「会話」に近いスピード感でやり取りするツールです。
すでに何度もやり取りをしていて関係性ができている場合や、会話の流れでポンポンとメッセージを送り合っている場合は、「御社」を使っても不自然ではありません。
- 文脈例: 「そういえば、御社のオフィスの近くに美味しいランチのお店があるんですよ!」
このように、フランクな会話の流れであれば、あえて堅苦しい「貴社」を使わず、話し言葉の「御社」で親近感を出すのも一つのコミュニケーションスキルです。迷ったら「貴社」にしておけば間違いありません。
【保存版】銀行・病院・学校…業界別の呼び方一覧リスト
「一般企業は『貴社・御社』だけど、銀行や病院はどう呼べばいいの?」
これも非常によくある悩みです。実は、相手が「会社」ではない場合、呼び方が変わるんです。
よく使うものをリストにまとめましたので、困ったときにチェックしてくださいね。
| 相手の種類 | 話すとき(口頭) | 書くとき(文章) |
|---|---|---|
| 一般企業 | 御社(おんしゃ) | 貴社(きしゃ) |
| 銀行 | 御行(おんこう) | 貴行(きこう) |
| 信用金庫 | 御庫(おんこ) | 貴庫(きこ) |
| 病院 | 御院(おんいん) | 貴院(きいん) |
| 学校・学園 | 御校(おんこう) | 貴校(きこう) |
| 組合・協会 | 御組合・御会 | 貴組合・貴会 |
| 省庁・役所 | 御省・御庁 | 貴省・貴庁 |
| 店舗・お店 | 御店(おんてん) | 貴店(きてん) |
| 郵便局 | 御局(おんきょく) | 貴局(ききょく) |
どうしても分からない時の「魔法の言葉」
もし、上記のどれにも当てはまらない場合や、とっさに出てこない場合は、無理に「御〇〇」と言わなくても大丈夫です。
- 「そちら様では」
- 「こちらの施設では」
- 「〇〇(具体的な組織名)様では」
このように、丁寧な言葉で言い換えれば十分敬意は伝わります。無理をして間違った言葉を使うよりも、自然な言葉で伝えましょう。
自分の会社のことは何て言う?「弊社」「当社」「自社」
相手の呼び方だけでなく、自分の会社の呼び方(一人称)も整理しておきましょう。
相手を立てるへりくだった言い方「弊社(へいしゃ)」
社外の人に対して、自分の会社をへりくだって(謙遜して)言うときに使います。
面接、営業、メールなど、ビジネスシーンの9割はこれでOKです。
- 「弊社のサービスをご提案いたします」
- 「弊社の都合で申し訳ございません」
客観的・強気な言い方「当社(とうしゃ)」
主に社内の人に向けて話すときや、自社の実績を強くアピールしたいときに使います。
また、就活生が「(入社したら)当社の一員として~」と言うのは、まだ入社していないので少し違和感があります。「御社」または「貴社」を使いましょう。
- 「当社の売上は前年比120%です(決算発表など)」
- 「当社の強みは技術力にあります(強気なプレゼン)」
もしも間違えてしまったら? 対処法と心構え
最後に、一番気になる「間違えてしまった時」のお話です。
面接で「貴社」と言ってしまっても不合格にはならない
面接中に緊張して「あ、貴社の……あ、いえ、御社の……」となってしまうこと、ありますよね。
結論から言うと、言い間違えただけで不合格になることは、まずありません。
面接官が見ているのは、あなたの「言葉の正しさ」ではなく「人柄」や「熱意」です。
小さな言い間違いよりも、その後の話の内容のほうが100倍大切です。
間違えた時の対処法
- 気づいたらサラッと言い直す「貴社の……失礼しました、御社の」と軽く言い直せばOKです。
- 気づかなかったらそのままでOK後から「あ!さっき間違えた!」と気づいても、わざわざ「先ほど言い間違えました」と謝る必要はありません。堂々としていましょう。
二重敬語に注意!「御社様」「貴社様」はNG?
「御社」や「貴社」には、すでに敬語の意味が含まれています。
ですので、「御社様(おんしゃさま)」と言うと、敬語を重ねる「二重敬語」になり、文法的には誤りです。
ただ、会話の流れで丁寧さを出そうとして「御社様では……」と言ってしまうことはよくありますし、それを聞いて「失礼だ!」と怒る人はまずいません。
「基本は『様』はいらない」と覚えておきつつ、もし言ってしまっても気にしすぎないことが大切です。
まとめ:言葉は「気持ち」を届けるためのツール
いかがでしたか? 最後に今回のポイントを振り返りましょう。
- 話すときは「御社(音)」、書くときは「貴社(書き)」。
- 銀行は「御行・貴行」、病院は「御院・貴院」など変化する。
- 自分の会社は、社外には「弊社」、社内やアピール時は「当社」。
- 間違えても焦らない! 大切なのは相手への敬意と熱意。
言葉遣いは大切ですが、それはあくまで相手に気持ちを届けるための「ラッピング」のようなものです。
一番中身にある「この会社で働きたい」「良い関係を築きたい」という熱い想いがあれば、多少の言葉のミスはカバーできます。
このガイドが、あなたの就職活動やビジネスの助けになれば嬉しいです。
自信を持って、あなたの言葉で伝えてきてくださいね! 応援しています。
よくある質問(FAQ)
Q. メールで「御社」と書いて送信してしまいました。訂正メールを送るべき?
A. いいえ、送る必要はありません。
意味は通じますし、相手もそこまで細かく気にしていません。わざわざ「訂正:御社→貴社」というメールを送ると、かえって相手の時間を奪ってしまいます。次から気をつければ大丈夫です。
Q. 面接官が自分の会社のことを「うちの会社」と言いました。私も合わせていいですか?
A. いいえ、あなたは「御社」を使い続けましょう。
面接官はフランクな雰囲気を作ろうとしてくれていますが、あくまでこちらは選考を受ける立場。「御社」と丁寧に呼ぶことで、誠実さや礼儀正しさが伝わります。
Q. アルバイトの面接でも「御社」を使うべき?
A. はい、使ったほうが好印象です。
アルバイトやパートの面接であっても、相手は企業やお店です。「御社」や「御店(おんてん)」を使うことで、「しっかりした人だな」「責任感がありそうだな」というポジティブな印象を与えられます。
Q. エントリーシートで「貴社」と「御社」が混ざってしまいました。書き直すべき?
A. 提出前なら、できるだけ書き直して統一しましょう。
ただ、すでに提出してしまった後に気づいても、それだけで不合格になることはありません。面接で挽回すれば大丈夫ですので、気に病む必要はありませんよ。
Q. 相手が「一般社団法人」の場合、「御社」でいいですか?
A. 会話では「御社」でも通じますが、「御法人(おんほうじん)」や「御会(おんかい)」と言うのがより正確です。
迷った場合は、「こちらの法人では……」や「そちら様では……」と言い換えるのが最もスムーズでおすすめです。

