上司や取引先から依頼を受けたとき、「何と返信すればよいだろう」「『了解しました』と送っても大丈夫かな」と迷うことはありませんか。
迷ったときは、「承知しました」または「承知いたしました」に、確認した内容と次の対応を一言添えるのがおすすめです。
注文や依頼を丁重に受ける場面では、「かしこまりました」も使えます。
返事を整えるには、言葉の丁寧さに加えて、「今、どこまで引き受けられるか」を確かめることが大切です。対応できるか未定なら、確認してから返答する予定を伝えましょう。言葉の意味と具体的な例文から、今の状況に合う返信を選んでみてください。
了解・承知・かしこまりましたの意味と違い
三つの言葉には、相手の話を理解したり、依頼を受けたりする意味が重なっています。辞書の意味と使う場面の一例を整理すると、次のようになります。
| 言葉 | 中心の意味 | 使う場面の一例 |
|---|---|---|
| 了解(りょうかい) | 内容や事情を理解して認めること | 同僚との情報共有への返事 |
| 承知(しょうち) | 事情が分かること、依頼を聞き入れること | 上司や取引先の連絡・依頼への返事 |
| かしこまりました | 命令や依頼を謹んで受ける返事 | お客様の注文や、改まった依頼への返事 |
小学館デジタル大辞泉「了解」は、内容や事情を理解して承認する意味を示しています。同「承知」には、事情を知る意味と、依頼などを聞き入れる意味があります。
また、同「畏まる」では、命令や依頼を謹んで承る用法が説明されています。「かしこまりました」は、その意を丁寧に伝える返事です。
表は場面に応じた選び方の例です。単語だけで「了解は下、承知は中、かしこまりましたは最上位」と順位付けするより、相手との関係や返事の内容に合わせて使いましょう。
今の状況から、返事の一文を選ぶ
まず、今の連絡に近い状況を見つけてみてください。引き受けられる場合と、まだ確認が必要な場合を分けて考えます。
| あなたの状況 | 返事の例 | 詳しい説明・文例 |
|---|---|---|
| 上司や取引先の依頼を引き受けられる | 承知いたしました。【対象】を【時刻】までにお送りいたします。 | 上司・取引先への例文へ |
| お客様の注文や依頼を丁重に受ける | かしこまりました。【ご依頼の内容】で手配いたします。 | お客様への例文へ |
| 同僚からの情報共有を確認した | 共有ありがとうございます。内容、了解しました。 | 「了解」の使い方へ |
| 対応できるかまだ確認中・未定 | ご連絡ありがとうございます。対応できるか確認し、【時刻】までにお返事いたします。 | 判断できないときの返答へ |
【対象】や【時刻】は、実際の案件名や、ご自身が対応できる日時へ直して使ってください。職場で普段使う言葉に合わせ、同僚への返事を「承知しました」に置き換えることもできます。
「別の担当者に相談しないと分からない」「予定を確かめたい」という段階なら、引き受ける返事を急がず、確認中であることと返答予定を伝えましょう。
「了解しました」は失礼?相手と職場の言葉遣いに合わせる
「了解」という言葉の意味だけで、上司への使用を一律に失礼と決めつけることはできません。辞書にも、目上に使えないという意味の限定はありません。ただし、職場の言葉遣いや相手との関係によって、受け止め方は変わります。
相手の好む言葉遣いが分からない場合や、改まった場面で迷う場合は、「承知しました」「承知いたしました」を選ぶと返信を組み立てやすいでしょう。
一方、普段からチーム内で「了解しました」とやり取りしているなら、その関係や職場の運用に合わせて考えられます。後輩や同僚であっても、相手や内容に合う丁寧さを選びましょう。
「了解いたしました」はどう考える?
「了解いたしました」は、自分側を丁重に述べる「いたす」を使った形です。「了解」という語だけを理由に、敬語として成り立たないとする必要はありません。
ただ、語尾を丁重にすることと、相手に合う言葉を選ぶことは別です。どの表現が合うか迷うときは、「承知いたしました」を使う方法があります。
送ったあとで気になったとき
「了解しました」と送って気になったら、すぐに言葉遣いだけを訂正する連絡を重ねる前に、返事の中身を確認してみてください。
依頼内容や期限を伝え足りていないなら、「先ほどの【作業】は、本日【17時】までにお送りいたします」のように補足できます。誤りや相手からの指摘がある場合は、それに応じて必要な訂正やお詫びを伝えましょう。
「承知しました」と「承知いたしました」は語尾の丁重さが違う
「承知しました」は、丁寧語の「ます」を使って述べる形です。「承知いたしました」には、自分側の行為を相手へ丁重に述べる「いたす」が含まれます。
文化庁「第二話 敬語の基本」解答でも、「いたす」は謙譲語II(丁重語)、「です・ます」は丁寧語の例として示されています。
「承知」という単語だけで敬語の種類を決めるのではなく、返事全体を見てみましょう。「承知いたしました」は、「する」を「いたす」にして丁重に述べた形です。
同じ内容でも、次のように語尾を選べます。
承知しました。【資料】を本日【17時】までにお送りします。
承知いたしました。【資料】を本日【17時】までにお送りいたします。
「社内では必ず前者、社外では必ず後者」という固定ルールではありません。日常の連絡か、改まった依頼への返事かなど、やり取りの場面に合わせて選びましょう。
上司・取引先・お客様へ|内容と次の対応を添えた例文
対象や日時を一言添えると、どの件について返事をしたのかを相手と確認できます。ここからの例文は、内容を確認し、実際に対応できる場合に使ってください。
上司から資料作成の依頼を受けたとき
承知いたしました。【企画書】の【修正箇所】を直し、本日【17時】までに確認用のデータをお送りいたします。
作業の対象と、次に何を渡すかを具体的にします。まだ提出時刻を決められないなら、無理に約束せず、確認して返答する予定を伝えましょう。
取引先から日程変更の連絡を受けたとき
日程変更のご連絡、ありがとうございます。承知いたしました。
それでは、【○月○日(○)○時】に、貴社の【訪問先・会議室名】へ伺います。
変更後の日時や場所を書けば、双方で確認しやすくなります。曜日も書く場合は、日付と合っているか確かめてください。候補の打診に対して、都合がつくか未確認なら、この例で確定の返事をしないようにしましょう。
お客様からの注文・依頼を丁重に受けるとき
かしこまりました。【商品名】を【数量】、【ご指定の方法】で手配いたします。
「かしこまりました」は、依頼などを丁重に受ける姿勢を伝える返事の一つです。内容を受けたことに加え、商品名や数量など、取り違えたくない点を確かめます。
電話で数量などを聞き取れなかったときは、引き受ける前に確認しましょう。
恐れ入ります。商品名と個数を、もう一度お聞かせいただけますか。
確認できた内容を短く復唱してから、対応を進めるとよいですね。
まだ判断できないときは、受け取ったことと返答予定を伝える
「承知」には依頼を聞き入れる意味もあるため、対応可否を確認していない場面で一言だけ返すと、引き受けたと受け取られることがあります。
まだ判断できないときは、連絡を受け取ったことと、確認していつ返答するかを伝えましょう。今の段階を明確にすれば、実行の約束と確認中の連絡を分けられます。
対応できるか確認中の返信
ご依頼のご連絡をいただき、ありがとうございます。
対応できるか確認のうえ、本日【15時】までにあらためてお返事いたします。
少しお時間をいただきますが、よろしくお願いいたします。
返答予定は、確認にかかる時間を踏まえて決めます。社内の相談が必要な場合も、何を確認しているかを伝えられる範囲で添えましょう。
提示された日時では難しく、別の候補を伝える返信
ご連絡ありがとうございます。
あいにく【指定日時】は別の会議があり、参加が難しい状況です。
【候補日時】でしたら参加可能ですが、ご都合はいかがでしょうか。
この例は、候補日時に参加できることを確認できた場合の返事です。候補もまだ未定なら、「別の日時で調整できるか確認し、【時刻】までにお返事いたします」と現在の状況を伝えます。
返信前には、「何を確認したか」「引き受けられるか」「次にいつ何をするか」の3点を見直してみてください。言葉を丁寧に選びながら、今できることが伝わる一文に整えていきましょう。

