上司からの急なチャット、「了解です!」と返してしまってから、「あれ? これって失礼だったかな…?」と冷や汗をかいた経験はありませんか?
あるいは、先輩には「承知しました」でいいけれど、部長には「かしこまりました」じゃないとダメ? と、スマホを握りしめたままフリーズしてしまったり。
「わかった」という意思を伝えるだけなのに、日本語の敬語って本当に難しいですよね。でも、安心してください。この「返事の使い分け」さえマスターしてしまえば、あなたのビジネスコミュニケーションは劇的にスムーズになります。
この記事では、編集者として数多くのビジネスマナーを見てきた私が、以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 一目でわかる! 3つの言葉の「決定的な違い」
- 上司に「了解」を使ってはいけない本当の理由
- どんな相手にも絶対に失敗しない「万能な返事」
教科書的なマナーだけでなく、「チャットツールではどうする?」「うっかり間違えた時のリカバリーは?」といった、現場ですぐに使えるリアルなテクニックもお伝えします。
さあ、自信を持って返信ボタンを押せるようになりましょう!
1. 【一目でわかる】「了解・承知・かしこまりました」の違い比較表
この章のまとめ
- 了解:同僚や部下向け。「OK!」に近いカジュアルさ。
- 承知:上司・社外向け。最も汎用性が高い「標準装備」の敬語。
- かしこまりました:お客様・役員向け。最上級の敬意を示す。
まずは結論から。3つの言葉の違いをパッと見てわかる表にまとめました。
迷ったときは、この表を思い出して「相手との距離感」で言葉を選んでみてください。
| 言葉 | 丁寧度 | 分類 | 使う相手(例) | イメージ |
|---|---|---|---|---|
| 了解 | ★☆☆ | 丁寧語 | 同僚、部下、後輩 | 「OK!わかったよ」 |
| 承知 | ★★☆ | 謙譲語 | 上司、先輩、取引先 | 「はい、わかりました」 |
| かしこまりました | ★★★ | 謙譲語 | お客様、社長、役員 | 「謹んでお受けします」 |
言葉の「温度感」をつかもう
言葉の意味以上に大切なのが、その言葉が持つ「温度感」です。
- 「了解」は、作業着で「ラジャー!」と敬礼するような、キビキビとした現場の温度感。
- 「承知」は、スーツを着て背筋を伸ばし、相手の目を見て頷くような、真面目な温度感。
- 「かしこまりました」は、ホテルのコンシェルジュが深くお辞儀をするような、最高級のおもてなしの温度感。
このイメージを持っておくと、TPO(時と場所と場合)に合わせて自然と言葉が出てくるようになりますよ。
編集者からのワンポイント
ビジネスの現場では、「迷ったら『承知』を使う」のが一番の安全策です。「了解」は失礼になるリスクがあり、「かしこまりました」は仰々しすぎることがありますが、「承知」は誰に使っても失礼にならず、よそよそしくもならない魔法のバランスを持っています。
2. 「了解」:仲間内や部下に使う「OK!」の合言葉
この章のまとめ
- 「了解」は「内容を理解して承認した」という上から目線が含まれる言葉。
- 目上の人に使うと「許可された」と感じさせてしまうリスクがある。
- 「了解いたしました」と丁寧に言っても、言葉自体のカジュアルさは消えない。
2-1. 「了解」の本当の意味とニュアンス
普段何気なく使っている「了解」ですが、辞書的な意味を見てみると「物事の内容や事情を理解して、それを認めること」とあります。
ここでのポイントは「認める」というニュアンスが含まれている点です。
「了解」はもともと、無線通信や軍隊などで「通信内容を受け取った(Roger)」という確認のために使われていた言葉とも言われています。
つまり、「あなたの言ったことはわかった。許可する」という、対等、あるいは少し上からのニュアンスを秘めているのです。
だからこそ、チームメンバーや後輩に対して「了解!」「了解です」と使うのは、テンポが良くて親しみやすいので全く問題ありません。
2-2. なぜ上司に「了解です」は失礼なの?
では、なぜ上司に使うと失礼になるのでしょうか?
それは、先ほど説明した「認める(許可する)」というニュアンスが、「部下が上司の発言を評価・許可している」ように響いてしまうからです。
想像してみてください。
上司があなたに仕事を頼んだとき、あなたが「了解です(=あなたの言ったことを認めてあげるよ)」と返したら……?
もちろん、そこまで厳密に言葉の意味を気にしない優しい上司も多いですが、マナーに厳しい方だと「ん? 友達じゃないんだけどな」とムッとしてしまうかもしれません。
具体的なNGシーン:
- 部長:「明日の会議、資料準備しておいて」
- あなた:「了解です!」
- 部長の心の中:(元気はいいけど、ちょっと軽いなあ……)
2-3. 「了解いたしました」なら丁寧じゃないの?
よくある質問に、「『了解です』はダメでも、『了解いたしました』と謙譲語(いたす)をつければ大丈夫ですよね?」というものがあります。
結論から言うと、「間違いではないけれど、避けたほうが無難」です。
確かに「いたしました」をつけることで敬語としては成立しています。しかし、「了解」という言葉自体が持つ「対等・カジュアル」な響きは完全には消えません。
あえてリスクを冒して「了解いたしました」を使うくらいなら、最初から目上の人に使うための言葉である「承知」や「かしこまりました」を使うほうが、スマートで安心です。
3. 「承知」:ビジネスで最も万能な「王道の返事」
この章のまとめ
- 「承知」は「承る(うけたまわる)」+「知る」。相手の言葉を受け入れる姿勢を示す。
- 「承知いたしました」は上司・社外問わず使える最強の返信。
- 依頼、日程変更、謝罪など、あらゆるビジネスシーンに対応可能。
3-1. 「承知いたしました」と「承知しました」の違い
ビジネスマンとしてデビューしたら、まず口癖にしたいのがこの「承知」です。
「承知」には、「承る(つつしんで聞く・受ける)」という意味が含まれており、相手の言葉を大切に受け止める姿勢が伝わります。
では、「承知しました」と「承知いたしました」はどう違うのでしょうか?
- 承知しました:丁寧語。「わかりました」よりキリッとした印象。直属の先輩や、親しい上司に最適。
- 承知いたしました:謙譲語。「いたす」をつけることで、自分を低めて相手を立てる表現。目上の人、取引先、お客様など、誰に使ってもOK。
基本的には、社内なら「承知しました」、社外や目上の人なら「承知いたしました」と使い分けると完璧ですが、迷ったら「承知いたしました」と言っておけば間違いありません。
3-2. どんなシーンでも外さない!「承知」の活用例
「承知」のすごいところは、ただ「わかった」と伝えるだけでなく、「引き受けた」「納得した」というニュアンスまでカバーできる点です。
シーン別の活用例を見てみましょう。
ケースA:仕事を依頼されたとき
- 上司:「このデータ入力、今日中にお願いできる?」
- あなた:「はい、承知いたしました。17時までに提出します。」
- (意訳:ご命令をしかと受け止め、実行します)
ケースB:日程変更を打診されたとき
- 取引先:「打ち合わせの日程ですが、来週の水曜に変更可能でしょうか?」
- あなた:「日程変更の件、承知いたしました。問題ございません。」
- (意訳:変更の内容を理解し、受け入れます)
ケースC:こちらのミスでお詫びをする流れのとき
- お客様:「もっと早く連絡してほしかったよ」
- あなた:「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。ご指摘の件、承知いたしました。以後は徹底いたします。」
- (意訳:あなたのおっしゃる通りだと理解し、心に刻みます)
このように、「承知」は相手の言葉を「受け止める」シーンすべてで使える万能選手なのです。
3-3. 迷ったら「承知いたしました」を選べば間違いない理由
新人のうちは、「この人には『了解』? それとも『かしこまりました』?」と迷うことが多いと思います。
そんな時、脳内の第一候補を「承知いたしました」に設定しておいてください。
なぜなら、「承知いたしました」は:
- 敬語として完璧(謙譲語+丁寧語)
- 仰々しすぎない(「かしこまりました」ほど重くない)
- 失礼がない(「了解」のような上から目線がない)
まさに、全方向に対応できる「守備力最強」の言葉だからです。
口癖にするだけで、「お、この子は言葉遣いがしっかりしているな」という信頼感にもつながりますよ。



チャットツールなどで急いでいるときは、「承知いたしました」と打つのが大変なこともありますよね。そんな時は「承知しました!」とビックリマークをつけるのもテクニックの一つ。
「!」をつけることで、「元気よく引き受けた」というポジティブな感情が伝わり、文字だけの冷たさをカバーできます。(詳しくは第5章で解説します!)
4. 「かしこまりました」:相手を敬う気持ちを最大に伝える言葉
この章のまとめ
- 「かしこまりました」は「承知」よりもさらに丁寧な最高敬語。
- お客様、社長、役員など、絶対に粗相があってはならない相手に使う。
- 親しい先輩に使うと「水くさい」と思われる可能性も。
4-1. 「承知」よりもさらに丁寧な「最高敬語」
「承知いたしました」が標準装備の武器だとすれば、「かしこまりました」はここぞという時に使う特別な装備です。
これは「謹んで(つつしんで)お受けする」という意味で、相手への敬意を最大限に表現します。
主に、お客様(クライアント)、自社の社長や役員など、非常に目上の人に対して使います。
4-2. 言葉の由来からわかる「つつしみ深さ」
「かしこまりました」は、漢字で書くと「畏まりました」。
「畏(おそ)れる」という字が使われている通り、「あなたの前では身がすくむほど、敬意を持っています」というニュアンスが語源です。
時代劇で家来が殿様に向かって「ははーっ!」と平伏するシーンがありますが、あれがまさに「畏まる」のイメージです。
4-3. 逆に使わない方がいいケースとは?
それなら「常に『かしこまりました』を使えば完璧では?」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。
例えば、毎日顔を合わせる直属の課長や、年齢の近い先輩に対して「かしこまりました」と言うと、「えっ、なんか距離を感じるな…」「慇懃無礼(丁寧すぎて逆に失礼)だな」と思われてしまうことがあります。
- お客様・役員 → 「かしこまりました」
- 直属の上司・先輩 → 「承知いたしました」
この使い分けができると、コミュニケーション上級者です。
5. 【シーン別】スマホ時代・チャット時代の使い分けマナー
この章のまとめ
- ビジネスチャットでは「承知いたしました!」やリアクション機能も活用する。
- 電話ではテンポ重視。「はい、承知いたしました」と短く返す。
- メールでは件名や本文の冒頭に配置し、読み手を待たせない。
最近はSlackやTeams、LINE WORKSなどのチャットツールで仕事をすることも増えましたよね。ここでは「現代のビジネスシーン」に合わせた使い分けを紹介します。
5-1. SlackやTeamsなどのビジネスチャットでは?
チャットはメールよりも会話に近いスピード感が求められます。
- 基本: 「承知いたしました。」
- 少し急ぎの時: 「承知しました!」(「!」でスピード感を出す)
- 相手がスタンプを送ってきた時: こちらもスタンプや「リアクション(✅や👀)」で返してOKな場合が多いです。
注意点:
いくらチャットでも、上司に対して無言で「リアクションだけ」で済ませるのは、会社によってはNGとされることもあります。
最初は「承知いたしました」+「リアクション」のセットで行い、周りの様子を見て徐々に簡略化していくのが賢い方法です。
5-2. 電話での咄嗟の返事、何て言うのが自然?
電話で指示を受けた時、長々と「かしこまりました」と言うと会話のテンポが悪くなることがあります。
電話では「はい、承知いたしました」「はい、承知しました」と、短くリズムよく返すのが正解。
「了解しました」は電話だと特に軽く聞こえてしまうので、口をついて出ないように注意しましょう。
5-3. メールの件名や本文でのスマートな配置
メール返信では、相手が「メールを開かなくても伝わる」配慮ができると素敵です。
件名の例:
件名:【承知いたしました】プロジェクト資料の修正について(氏名)
このように件名に【承知いたしました】と入れておけば、相手は受信トレイを見ただけで「あ、伝わったな」と安心できます。
6. ワンランク上の印象を与える「プラスα」のテクニック
ただロボットのように「承知いたしました」と言うだけでなく、そこに「思いやり」をトッピングする方法を紹介します。
6-1. クッション言葉を添えて温かみを出す
依頼を受ける時、一言添えるだけで印象がガラリと変わります。
- 通常: 「承知いたしました。」
- アレンジ: 「お忙しいところ恐縮ですが、承知いたしました。」
- アレンジ: 「ご連絡ありがとうございます。承知いたしました。」
6-2. 復唱(オウム返し)で「安心感」をプラス
単に「わかりました」と言うだけだと、相手は「本当に内容まで理解してるかな?」と不安になることがあります。
そこで、相手の指示を要約して復唱しましょう。
- 上司:「会議室Aを15時から予約しておいて」
- あなた:「会議室Aの15時からのご予約の件、承知いたしました。」
これなら「聞き間違い」も防げますし、相手も「ちゃんと話を聞いてくれているな」と安心できます。
7. まとめ:言葉の使い分けは「相手への思いやり」
最後に、今回のポイントを振り返りましょう。
- 同僚には「了解」でOK! 元気よくチームワークを高めよう。
- 上司や取引先には「承知いたしました」! これが最強の万能ワード。
- 大切なお客様には「かしこまりました」! 最上級のおもてなしを。
敬語のルールは確かに細かいですが、その根底にあるのは「相手を不快にさせたくない」「スムーズに仕事をしたい」という思いやりです。
「間違えたらどうしよう」と怖がる必要はありません。まずは明日のメールで、一回だけでも「承知いたしました」を使ってみてください。
その小さな一言が、あなたの「信頼」を積み上げていくはずです。
8. 解決!よくある疑問FAQ
読者の皆さんからよく寄せられる疑問に、Q&A形式でお答えします。
Q1. うっかり上司に「了解です」と言ってしまいました! どうすればいい?
A. 素直に訂正すれば大丈夫です。
気づいた時点ですぐに「失礼いたしました。承知いたしました」と送り直せば問題ありません。会話の中で言ってしまった場合は、その後の会話で「承知いたしました」を意識的に使い、丁寧な姿勢を見せることで挽回できます。
Q2. 「承知しました」は二重敬語になりませんか?
A. 二重敬語ではありません。正しい敬語です。
「承知」という名詞に、丁寧語の「しました」がついている形です。「承知いたしました」も、「承知」+謙譲語「いたす」+丁寧語「ます」の組み合わせで、こちらも正しい文法です。
Q3. バイト先のお客様にはどれを使うのが正解?
A. お客様には「かしこまりました」がベストです。
コンビニや飲食店などの接客業では、「かしこまりました」が基本マニュアルになっていることが多いです。店長への連絡なら「承知いたしました」でOKです。
Q4. 「了承(りょうしょう)しました」との違いは?
A. 「了承」は上司に使ってはいけません!
「了承」は「それでいいよ」と許可を与える意味合いが強い言葉です。上司が部下の申し出に対して「了承した」と言うのが正しい使い方。部下が上司に使うと、「上から目線」と取られるので絶対に避けましょう。
Q5. 英語ではどう使い分ける?
A. ニュアンスによって使い分けます。
- 了解(カジュアル): “Roger”(ラジャー)や “OK”, “Got it”.
- 承知(標準): “Understood” や “Noted”.
- かしこまりました(丁寧): “Certainly” や “Surely”.
【付録】敬語の使い分けチェックリスト
メールやチャットを送る前に、このリストで最終確認!
- [ ] 相手は自分より目上の人ですか? → YESなら「了解」はNG!
- [ ] 相手は社外の人(お客様)ですか? → YESなら「かしこまりました」を検討。
- [ ] 相手との距離感は近いですか? → YESなら「承知しました」でOK。
- [ ] 文章が冷たく見えませんか? → クッション言葉や「!」を活用しよう。
- [ ] 誤字脱字はありませんか? → 「承知」を「周知」と打ち間違えがち!

