ブラックフライデーはなぜ「黒い」?意味の変遷と由来

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ブラックフライデーの意味と由来

「ブラックフライデーって、言葉は聞くけど、どういう意味?」

「なんで『ブラック(黒)』って言うんだろう?ちょっと怖いイメージ…」

「セールなのはわかるけど、いつから始まるの?」

11月になると、街やネットで「ブラックフライデー」という言葉をたくさん見かけますよね。

なんとなく「お得なセール」だとはわかっていても、その正確な意味や、なぜ「ブラック」と呼ばれるようになったのか、その由来を知っている人は少ないかもしれません。

この記事では、「ブラックフライデー」という言葉の意味や由来、そして日本での広まり方まで、中学生にもわかるように、言葉の森の編集部がやさしく解説します。

この記事でわかること
  • 「ブラックフライデー」の本当の意味と言葉の由来(2つの説)
  • なぜ「ブラック」という言葉がポジティブな意味に変わったのか
  • 2025年の開催時期や、日本でいつから始まったのか
目次

ブラックフライデーとは?意味を中学生にもわかりやすく解説

ブラックフライデーとは、毎年11月に行われる大規模なセールのことです。アメリカの「感謝祭(かんしゃさい)」の翌日(金曜日)から始まるのが特徴です。元々は「真っ黒になるほど混雑する日」という少しネガティブな意味でしたが、今では「お店が黒字になるほど売れる日」というポジティブな意味で広く使われています。

ブラックフライデーは「11月の大規模セール」のこと

「ブラックフライデー(Black Friday)」と聞くと、多くの人が「お得なセール」をイメージすると思います。その通り!

ブラックフライデーは、1年に1度開催される、とても大きなセールイベントのことです。

洋服や家電、おもちゃ、日用品まで、さまざまなお店が大幅な割引を行うため、この日を狙って買い物をする人もたくさんいます。

もともとはアメリカの文化(感謝祭がスタート)

このブラックフライデー、もともとはアメリカの文化です。

アメリカには、毎年11月の第4木曜日に「感謝祭(Thanksgiving Day)」という祝日があります。日本のお正月に少し似ていて、家族や親戚が集まって七面鳥(しちめんちょう)などのごちそうを食べる、大切な日です。

ブラックフライデーは、この感謝祭の「翌日」の金曜日を指します。

感謝祭の翌日は、多くの人が休暇を取ることが多く、クリスマスプレゼントの準備を始める時期とも重なるため、お店にとっては「お客さんがたくさん来てくれる絶好のチャンス」なのです。

ポイント:「ブラック」の意味は時代とともに変わった

でも、なぜ「ブラック(黒)」という名前がついているのでしょうか?

「セールなら『ハッピーフライデー』とか、明るい名前でも良さそうなのに…」と思いますよね。

実は、この「ブラック」という言葉には、2つの説があり、時代とともにその意味合いが変化してきたという面白い歴史があります。

次のコーナーで、その由来を詳しく見ていきましょう。

なぜ「ブラック(黒)」なの?由来となった2つの説

「ブラック」と呼ばれるようになった由来には、大きく2つの説があります。一つは「お店が黒字になるから」というポジティブな説、もう一つは「人が多すぎて警察が嘆いた」というネガティブな説です。実は、歴史的に見ると②のネガティブな説が先に生まれました。

説1:お店の帳簿が「黒字」になるから(ポジティブな意味)

みなさんが一番よく聞くのは、この説かもしれません。

お店の会計(お金の計算)では、利益が出て儲かっている状態を「黒字」、逆に損をしている状態を「赤字」と呼びます。

ブラックフライデーは、この日を境に「年間で赤字だったお店も一気に黒字に転換できるほど、モノが売れる日」という意味で「ブラック」と呼ばれるようになった、という説です。

とてもポジティブで、商売繁盛を願うような意味合いですね。

説2:フィラデルフィア警察の嘆き「真っ暗な金曜日」(ネガティブな意味)

しかし、歴史をさかのぼると、元々はまったく違う、ネガティブな意味で使われていたという説が有力です。

1960年代のアメリカ・フィラデルフィアでのこと。

感謝祭の翌日は、セールのために街に繰り出す買い物客や、週末のイベントに向かう人々で、道路もお店も大混雑。

人や車があふれかえり、交通整理やトラブル対応に追われる警察官たちは、その日のことを「(仕事が大変すぎて)真っ暗な金曜日(Black Friday)」と皮肉を込めて呼ぶようになりました。

「ブラック」は、彼らにとって「憂鬱(ゆううつ)な日」の象徴だったのです。

言葉の意味が変わった歴史【ここがポイント!】

「ブラックフライデー」という言葉は、元々のネガティブな意味(警察の嘆き)から、現在のようなポジティブな意味(お店の黒字)へと、意図的に「言い換え」られて広まっていきました。

1960年代:フィラデルフィアで「大渋滞で大変な日」として使われ始める

先ほどの「説2」の通り、この言葉は1960年代にフィラデルフィアの警察官たちの間で、隠語(仲間内だけで通じる言葉)のように使われ始めました。

当時は「大渋滞や人混みで大変な日」という、ネガティブなニュアンスが強い言葉だったのです。

1980年代:「赤字から黒字へ転換する日」という解釈が広まる

この「ブラックフライデー」という言葉を、お店の人たち(小売業界)はあまり快く思っていませんでした。「真っ暗な日」なんて呼ばれるセールに、お客さんは来たくなくなってしまいますよね。

そこで、彼らはこの言葉の意味を「上書き」することを考えます。

「大変な日」ではなく、「お店が黒字になる、素晴らしい日なんだ!」というポジティブな解釈(説1)を、新聞やメディアを通じて積極的に広めていきました。

言葉の意味は「ネガティブ」から「ポジティブ」へ上書きされた

この「言い換え」作戦は見事に成功します。

1980年代後半になると、「ブラックフライデー=黒字になる日」というポジティブな意味がアメリカ全土に広まり、元々のネガティブな意味はだんだんと忘れられていきました。

コトクマ

言葉の意味は、時代や使う人によって変化することがあります。「ブラックフライデー」はその典型的な例ですね。元々は「大変だ」という嘆きだった言葉が、今では「お得!」というワクワクする言葉に変わったのです。元々の意味を知ると、今のセールがより興味深く見えてきませんか?

【2025年】ブラックフライデーはいつからいつまで?

アメリカのブラックフライデーは「感謝祭(11月第4木曜)の翌日」と決まっています(2025年は11月28日)。しかし、日本では「勤労感謝の日(11月23日)」に合わせて少し早めに始まったり、期間も1日だけではなく1週間~10日間ほど続いたりと、独自の広まり方をしています。

アメリカの場合:感謝祭(11月第4木曜日)の翌日

本場アメリカでは、ルールは明確です。

「感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日の金曜日」、この1日を指します。

(※最近では、その前日(感謝祭当日)の夜からセールを始めるお店も増えています)

  • 2025年のアメリカのブラックフライデーは11月28日(金) です。

日本の場合:11月中旬~下旬ごろ

一方、日本ではアメリカと少し事情が異なります。

まず、日本には「感謝祭」の文化がありません。そのため、日付を固定しづらいという背景があります。

そこで、多くの企業が注目したのが、11月23日の「勤労感謝の日」です。

この祝日に合わせたり、祝日前の金曜日からスタートしたりするケースが多く見られます。

セール期間は1週間~10日間ほど続くこともアメリカでは「1日(+その週末)」が基本ですが、日本では「ブラックフライデー・セール」と称して、1週間や10日間など、長めの期間で開催することが一般的です。11月中旬ごろから「ブラックフライデー」の文字を見かけることも増えましたね。

日本ではいつから始まった?

日本では、2014年に「トイザらス」が初めて本格的なブラックフライデー・セールを開催したのがきっかけとされています。その後、2016年に「イオン」が大規模に開催したことで、日本国内での知名度が一気に高まりました。

きっかけは2014年の「トイザらス」

日本で「ブラックフライデー」という言葉を使ったセールが本格的に始まったのは、比較的最近のことです。

2014年に、おもちゃ販売大手の「トイザらス」が開催したのが、大きなきっかけとされています。

2016年に「イオン」が本格開催し、一気に広まる

その後、2016年に総合スーパーの「イオン」が大規模なブラックフライデー・セールを開催しました。

テレビCMなども大々的に行われたため、ここで「ブラックフライデー」という言葉と「お得なセール」というイメージが、一気に日本中に広まることになりました。

なぜ日本で広まったの?

日本では、11月は年末年始のセールの前で、大きなセールイベントが少ない時期でした。

お店にとっては「年末商戦を盛り上げるきっかけ」として、また消費者にとっては「一足早くお得に買い物をしたい」というニーズに、このブラックフライデーがうまく合致したのですね。

コトクマ

日本では「感謝祭」の文化がないため、代わりに11月の祝日「勤労感謝の日」と関連付けて広まっていきました。海外の文化や言葉を、自分たちの暮らしに合うように上手に取り入れながら、新しい習慣として定着させていくのは面白いですね。

サイバーマンデーとは何が違うの?

ブラックフライデーとよく似た言葉に「サイバーマンデー」があります。元々、ブラックフライデーは「実店舗」のセール、サイバーマンデーは「オンラインストア」のセールとして始まりました。現在ではその区別はあいまいになりつつあります。

ブラックフライデーの時期になると、もう一つ「サイバーマンデー」という言葉も耳にしませんか?

この2つは、何が違うのでしょうか。

ブラックフライデー:感謝祭の「翌日の金曜日」(実店舗がメイン)

ブラックフライデーは、先述の通り「感謝祭の翌日の金曜日」です。

元々は、人々が実店舗(実際のお店)に足を運んで買い物をする、昔ながらのセールでした。

サイバーマンデー:感謝祭の「翌週の月曜日」(オンラインストアがメイン)

一方、「サイバーマンデー(Cyber Monday)」は、

「感謝祭の休暇明けの月曜日」を指します。

「サイバー」という言葉がつく通り、こちらは「オンラインストア(ネット通販)」のセールのことです。

感謝祭の週末に実店舗で買い物ができなかった人や、休暇中に下見だけしておいた商品を、週明けに会社のパソコンなどからネット注文する、という動きから生まれました。

最近の違いは?(Amazon、楽天など)

ただし、これは元々の始まりの話です。

今では、

  • ブラックフライデーの日にも、オンラインストアで大規模なセールが行われる
  • サイバーマンデーがブラックフライデー・セールの一部として組み込まれる

というように、実店舗とオンラインの区別は、ほとんどなくなってきています

Amazonや楽天などの大手ECサイトでは、ブラックフライデーからサイバーマンデー(あるいはそれ以降)まで、長期間のセールとしてまとめていることも多いです。

【一覧表】ブラックフライデーと関連セールの違い

ブラックフライデー以外にも、日本には様々なセールがあります。それぞれのセールの時期や特徴を表にまとめました。

ブラックフライデーとサイバーマンデーは、元々アメリカの感謝祭に関連したセールでした。

日本でよく聞く他のセールと、時期や特徴を比べてみましょう。

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セール名主な時期特徴(始まり)
ブラックフライデー11月第4金曜日(※)アメリカ感謝祭の翌日。元々は実店舗のセール。
サイバーマンデー11月第4金曜の翌月曜(※)元々はオンラインストアのセール。
Amazonプライムデー7月頃(変動あり)Amazonプライム会員向けの限定セール。
楽天スーパーセール3月、6月、9月、12月楽天市場が開催する大規模なポイント還元・割引セール。

(※)日本での開催時期は、これと異なる場合があります。

ブラックフライデーを楽しむための準備(心構え)

言葉の意味や由来を知った上で、セールを賢く楽しむための準備も大切です。「安いから買う」ではなく「必要だから買う」という意識を持つために、事前に欲しいものをリストアップしたり、予算を決めたりしておきましょう。

ブラックフライデーの言葉の意味や由来がわかると、セールの見方も少し変わってくるかもしれませんね。

元々は「警察官が嘆くほどの大混雑」だったわけですから、その熱狂ぶりに飲み込まれて「つい、いらないものまで買ってしまった…」と後悔するのは避けたいものです。

セールで後悔しないために、以下の準備リストをチェックしてみましょう。

セールで後悔しないための準備リスト

  • [ ] 本当に必要なものかリストアップする(「安くなったら買う」ではなく「必要だから買う」ものを書き出します)
  • [ ] セール前の価格を調べておく(本当に安くなっているか確認するために、今の価格をメモしておきましょう)
  • [ ] 各ショップのルール(ポイント還元など)を確認する(Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど、お店によってポイントアップの条件が違います)
  • [ ] 予算を決めておく(「今回は合計〇〇円まで」と、上限を決めておくと安心です)

「安いから買う」ではなく「必要だから買う」という意識を大切にすることが、賢い買い物につながります。

コトクマ

セールは「お祭り」のようなもの。言葉の由来を知ったように、買い物の背景(本当に必要か)もしっかり考えて、賢くお買い物を楽しんでくださいね。言葉の意味を知ることも、賢く生きるヒントになるんですよ。

よくある質問(FAQ)

ブラックフライデーに関して、特によくある疑問や、言葉の背景にある文化的な疑問について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。

Q. ブラックフライデーの「ブラック」は、ブラック企業と関係ありますか?

A. 関係ありません。

「ブラック企業」の「ブラック(黒)」は、法に反するような労働環境や、「黒い(=悪い)」イメージから来ています。

一方、ブラックフライデーの「ブラック」は、元々は「大混雑(ネガティブ)」、現在は「黒字(ポジティブ)」という意味で使われており、言葉の由来がまったく異なります。

Q. なぜアメリカでは感謝祭の翌日にセールをするのですか?

A. クリスマスプレゼントの準備を始める人が多いからです。

感謝祭(11月第4木曜)が終わると、アメリカは一気にクリスマスシーズンに入ります。多くの人が休暇を取るこの金曜日は、クリスマスプレゼントや冬支度のための買い物をするのに、ちょうど良いタイミングだったのです。

Q. ブラックフライデーで安くなるのはどんな商品ですか?

A. 家電、おもちゃ、ファッション、日用品など、あらゆる商品が対象になります。

特にアメリカでは、大型テレビなどの家電製品が大幅に値下がりすることで有名です。日本でも、Amazonのデバイス(Fire TV StickやKindleなど)、冬物の衣料品、おもちゃなどが人気です。

Q. 日本のブラックフライデーとアメリカのブラックフライデーは違いますか?

A. はい、少し違います。

アメリカでは感謝祭の翌日(11月第4金曜)という「日付」が重要ですが、日本では「勤労感謝の日」に合わせるなど「時期」が柔軟です。

また、アメリカでは1日で終わることが多いですが、日本では1週間以上続く「セール期間」として定着しています。

Q. ブラックフライデーの次は、どんなセールがありますか?

A. 「サイバーマンデー」や、年末の「クリスマスセール」、年明けの「新春セール(初売り)」などが続きます。

特に12月は、ボーナス商戦やクリスマス商戦で、引き続きお得なセールが開催されることが多い時期です。

まとめ

この記事で解説した「ブラックフライデー」の重要なポイントを、箇条書きでおさらいします。言葉の意味の変遷を知って、買い物を楽しんでください。

今回は、「ブラックフライデー」の意味と由来について解説しました。

  • ブラックフライデーとは、元々アメリカの感謝祭(11月第4木曜)の翌日から始まる大規模なセールのこと。
  • 「ブラック」の由来は、元々はフィラデルフィア警察が「大混雑で仕事が大変(ネガティブ)」と呼んだことが始まり。
  • 後に、小売業界が「お店が黒字になる日(ポジティブ)」という意味に「言い換え」て広まり、現在のイメージが定着した。
  • 日本では2016年頃からイオンなどが本格的に開催し、「勤労感謝の日」に合わせて11月中旬~下旬に開催されることが多い。
  • 「サイバーマンデー」は、元々ブラックフライデー明けの「オンラインストア」のセールを指す言葉だった。

言葉の意味が時代とともに変わっていった歴史を知ると、セールの見え方も少し変わってきますね。

由来を知って、今年のブラックフライデーを賢く楽しんでください。

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