「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」
ビジネスメールや企業の挨拶状で、こんな一文を目にしたことはありませんか? 「なんとなく丁寧な挨拶だろうな」とスルーしてしまいがちですが、いざ自分が書く側になると、「えっと、ごこうはい?読み方はこれで合ってる?」「部長に送るメールで使ってもいいの?」と、急に不安になってしまいますよね。
実はこの言葉、使う相手を間違えると「他人行儀だ」と思われたり、逆に恥をかいてしまったりする言葉なのです。
そこで今回は、コトバノモリ編集部が「ご高配」の意味を中学生でもわかるように噛み砕いて解説します。これを読めば、今日から自信を持ってメールが打てるようになりますよ。
この記事でわかること:
- 意味と語源がスッキリわかる:「ご配慮」との違いも解説!
- コピペで使える例文集:メールの冒頭から結びまで、シーン別に網羅。
- 恥をかかないマナー:上司に使ってはダメな理由とは?
「ご高配」の意味とは?中学生でもわかるように解説
「ご高配(ごこうはい)」とは、目上の人や取引先が、自分のために心を配ってくれることへの深い感謝を表す言葉です。「高(高いところからの敬意)」+「配(気配り)」という意味で、主に社外の人に向けた書き言葉として使われます。
「ご高配(ごこうはい)」の読み方と基本的な意味
まずは基本的な情報から確認していきましょう。
- 読み方:ごこうはい
- 辞書的な意味:他人を敬って、その配慮(はいりょ)をいう語。
これだけだと少し堅苦しいですよね。コトバノモリ流に「超翻訳」すると、以下のようになります。
「(私のようなもののために)高い立場にいるあなたが、わざわざ心を配ってくださり、本当にありがとうございます!」
というニュアンスです。 漢字を見てみましょう。「高」は相手への高い敬意を表し、「配」は「配る」、つまり「気配り」や「配慮」を意味します。 単なる「ありがとう」ではなく、「あなたのおかげで助かっています」「あなたの気遣いに感謝しています」という、相手の「行為」に対するリスペクトが込められているのです。
誰に対して使う言葉?(上司?取引先?)
ここが一番の重要ポイントです。「誰に使うか」で迷ったら、以下のルールを覚えておきましょう。
- 社外の人(取引先・顧客):◎ 大正解!
- 最も一般的な使い道です。普段お世話になっているクライアントや、商品を買ってくれたお客様に対して使います。
- 社内の上司(社長・部長):△ 基本的にはNG
- 間違いではありませんが、社内の人に使うと「他人行儀」な印象を与えてしまいます。「水くさいなあ」と思われかねないので、社内では「お気遣いありがとうございます」などが無難です。
- 同僚・部下:× 絶対にNG
- 目下の人や対等な関係の人には使いません。慇懃無礼(いんぎんぶれい:丁寧すぎて逆に失礼)になってしまいます。



「ご高配」は、ビジネスにおける必殺技のような言葉です。 普段のチャットや軽い連絡で連発すると、「定型文を貼り付けているだけかな?」と重みが薄れてしまいます。ここぞという重要なメールや、改まった挨拶の時に使うのが、デキる大人のテクニックですよ。
【シーン別】「ご高配」の正しい使い方と例文集
意味がわかったところで、実際のビジネスシーンでどのように使うのか、具体的な例文を見ていきましょう。 基本的には「書き言葉」(メールや手紙)で使う言葉だと覚えておいてくださいね。
定番!ビジネスメールの冒頭(挨拶)
ビジネスメールの書き出しで、「いつもお世話になっております」の代わりに使うと、グッと格調高い雰囲気になります。
基本の定型句
「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」 (いつも特別に気にかけてくれて、本当にありがとうございます)
少しアレンジしたい時
- 「日頃より多大なるご高配をいただき、誠にありがとうございます。」
- 「平素は」を「日頃より」に変えると、少し柔らかい印象になります。
- 「旧年中は一方ならぬご高配を賜り、深く感謝申し上げます。」
- 年賀状や年始の挨拶メールでよく使われます。
メールや手紙の結び(お願い)
メールの最後で、「これからも取引をお願いします」と伝えたい時にも便利です。「よろしくお願いします」よりも、相手を立てるニュアンスが強まります。
基本の定型句
「今後とも変わらぬご高配を賜りますよう、お願い申し上げます。」 (これからも変わらず、気にかけてやってください)
さらに強調したい時
- 「倍旧(ばいきゅう)のご高配を賜りますよう、お願い申し上げます。」
- 「倍旧」とは「これまで以上に」という意味。「もっと仲良くしてください!」という強いアピールになります。
挨拶状・御礼状・スピーチ(フォーマル)
メールだけでなく、紙の挨拶状(退職、事務所移転、周年記念など)や、式典のスピーチなどの「超フォーマル」な場面では、ほぼ必須の言葉です。
退職・異動の挨拶
「在職中は公私にわたり多大なるご高配をいただき、心より感謝申し上げます。」 (仕事でもプライベートでも、めちゃくちゃお世話になりました!)
周年行事・式典での挨拶
「弊社が創立10周年を迎えられましたのも、ひとえに皆様のご高配の賜物(たまもの)と深く感謝しております。」 (10年続いたのは、皆様の応援のおかげ以外の何物でもありません)
そのまま使える!コピペ用メールテンプレート
「意味はわかったけど、文章を一から考えるのは大変……」 そんな方のために、シーン別のメール文面をご用意しました。〇〇の部分を書き換えるだけで、すぐに送信できますよ。
【テンプレート1】年末年始の挨拶(取引先へ)
年末の最終営業日や、年始の最初のメールで使える、最もスタンダードな挨拶です。
件名:年末のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)
株式会社〇〇 〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。 株式会社〇〇の(自分の名字)です。
本年は多大なるご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 〇〇様のお力添えのおかげで、無事にプロジェクトを進行することができました。
来年も変わらぬご高配をいただけますよう、 社員一同、精一杯努めてまいる所存です。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。 よいお年をお迎えください。
(署名)
【テンプレート2】担当者変更・引き継ぎの挨拶
自分が異動したり、退職したりする際に、後任を紹介するメールです。
件名:担当者変更のご挨拶(株式会社〇〇 氏名)
株式会社〇〇 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。 私事で恐縮ですが、この度〇月〇日付で〇〇部へ異動することとなりました。
在任中は公私にわたり温かいご高配をいただき、心より感謝申し上げます。
後任は、同部署の〇〇(名前)が務めさせていただきます。 今後とも変わらぬご高配を賜りますよう、お願い申し上げます。
(署名)
「ご配慮」「ご厚情」との違いは?類語使い分けマトリクス
「ご高配」に似た言葉で、「ご配慮」「ご厚情」などがあります。「どれを使えばいいの?」と迷わないように、比較表を作成しました。
一目でわかる!使い分け早見表
| 言葉 | 重み・丁寧度 | ニュアンス | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| ご高配(ごこうはい) | ★★★★☆(重い) | ビジネス的な関係への感謝。「取引してくれてありがとう」 | 取引先・顧客(組織対組織) |
| ご配慮(ごはいりょ) | ★★★☆☆(標準) | 具体的な気遣いへの感謝。「席を譲ってくれてありがとう」 | 社内・社外(個人対個人) |
| ご厚情(ごこうじょう) | ★★★★★(最上級) | 深い思いやりへの感謝。「情けをかけてくれてありがとう」 | 目上の個人(退職時など) |
| ご芳情(ごほうじょう) | ★★★★★(最上級) | 心温まる親切への感謝。お祝いやお葬式などで使う。 | 冠婚葬祭(個人・組織) |
「ご配慮」と「ご高配」の決定的な違い
一番迷うのがこの2つです。
- 「ご配慮」は「具体的なアクション」に対して使う
- (例)日程を調整してもらった、わかりやすく説明してもらった、など。
- 社内の上司にも使えます。「お忙しい中、ご配慮いただきありがとうございます」
- 「ご高配」は「日頃の関係性全体」に対して使う
- (例)いつも取引してくれている、目をかけてくれている、という状態そのもの。
- 具体的な行動がなくても、挨拶として使えます。



退職の挨拶などで、特にお世話になった上司(個人)に送る場合は、ビジネスライクな「ご高配」よりも、感情の籠もった「ご厚情(ごこうじょう)」を使うと、より感謝の気持ちが伝わりますよ。
相手から「ご高配」と言われたら?返信のマナー
取引先から「平素は格別のご高配を賜り……」というメールが来たら、どう返せばいいのでしょうか?
オウム返しはOK?それともNG?
「こちらこそ、ご高配を賜り……」と返すのは、間違いではありませんが、少し芸がありません。 「ご高配」は相手を敬う言葉なので、お互いに敬い合って「ご高配合戦」になると、慇懃無礼(丁寧すぎてよそよそしい)な印象になりがちです。
好印象を与える返信フレーズ実例
相手の言葉を受け止めつつ、別の言葉で感謝を伝えるのが「大人のマナー」です。
おすすめの返信例
「とんでもないことでございます。 こちらこそ、日頃より多大なるご支援(お力添え) をいただき、感謝しております。」
- ご支援:ビジネスパートナーとして助けてもらっている時。
- お引き立て:商品を買ってもらっている時。
- ご愛顧(ごあいこ):お店やサービスを愛用してもらっている時。
このように、相手との関係に合わせて言葉を選べるとベストです!
ここだけは注意!「ご高配」の失敗あるある(NG集)
最後に、これをやると恥ずかしい!という失敗例を紹介します。
1. 初めての相手に使ってしまう
「ご高配」は「(すでに)配慮してもらっている」という意味です。 まだ会ったことも取引したこともない相手への「初めての営業メール」で使うと、「まだ何もしてないけど?」と違和感を持たれてしまいます。
- NG:初めてご連絡します。平素は格別のご高配を……
- OK:初めてご連絡いたします。突然のメール失礼いたします。
2. 会話(話し言葉)で使ってしまう
基本的に「書き言葉」です。商談の席や電話で「いつもご高配いただき〜」と言うと、時代劇のような大げさな響きになってしまいます。
- 会話では:「いつもお気遣いいただき」「いつもよくしていただき」などでOKです。
- ※ただし、式典のスピーチなど、原稿を読むような場面では使っても構いません。
3. 二重敬語や過剰な装飾
「ご高配」自体が強い敬語なので、さらに敬語を重ねるとくどくなります。
- × ご高配をお受けする(「賜る」がセットなので不要)
- × ご高配なされる(「ご〜なされる」は過剰になりやすい)
よくある質問(FAQ)
Q1. 「ご高配」と「ご高名(こうめい)」は違いますか?
A. 全く違います! 「ご高名」は「有名であること、お名前」という意味です。「ご高名をかねがね伺っております(お名前はよく聞いています)」のように使います。字面が似ているので注意しましょう。
Q2. 就活生が企業に対して使ってもいいですか?
A. 使わないほうが無難です。 学生が使うと「背伸びしている」と思われがちです。「選考の機会をいただき、ありがとうございます」など、自分の言葉で伝えたほうが好印象です。
Q3. 年賀状で「ご高配」を使ってもいいですか?
A. はい、ピッタリです! ビジネス関係の年賀状では定型文としてよく使われます。「旧年中は格別のご高配を賜り~」と印刷されているものも多いですね。
Q4. 英語で「ご高配」にあたる表現は?
A. 直訳はありませんが、以下のように感謝を伝えます。
- Thank you for your continued support.(継続的なサポートに感謝します)
- We appreciate your cooperation.(ご協力に感謝します) 英語では「高い配慮」という抽象的な表現よりも、「サポート」や「協力」と具体的に言うのが一般的です。
まとめ
いかがでしたか?「ご高配」という言葉のハードルが、少し下がったのではないでしょうか。
- 意味:目上の人からの「高い所からの気配り」への感謝。
- 相手:取引先や社外の人(上司には使わない)。
- 場面:メールや挨拶状などの「書き言葉」で使う。
この3つさえ覚えておけば、もう迷うことはありません。 「ご高配」をさらっと使いこなして、「おっ、この人は言葉を知っているな」と信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう!

