「ねぇ、ママ、どうしてお雛様を飾るの?」
「このお菓子(ひなあられ)にはどういう意味があるの?」
3月3日が近づき、かわいらしいお雛様を飾っていると、お子さんからこんな質問をされることはありませんか?
なんとなく「女の子のお祭りだよ」とは答えられても、「なぜ飾るのか」「なぜ桃なのか」を、子供が納得できるように説明するのは意外と難しいものです。
実は、ひな祭りは単なるお祭りではなく、親が子供を想う「愛情」そのものが形になった行事なんです。
この記事では、「ひな祭りの本当の意味」を、今日からすぐに使えるやさしい言葉で解説します。
この記事でわかること
- ひな祭りの由来:「厄払い」と「おままごと」が合体した意外な歴史
- 食べ物の意味:ひなあられや菱餅に込められた「色」の秘密
- 飾る時期・片付ける時期:2026年のカレンダーに合わせたベストなタイミング
これを読めば、今年のひな祭りがもっと温かく、思い出深いものになりますよ。それでは、ひな祭りの不思議な物語を一緒に紐解いていきましょう!
ひな祭りの由来を「超」わかりやすく解説!


ひな祭りのルーツは、古代中国の「水辺で体を清める行事」です。そこに日本の貴族の子供たちの「お人形遊び」が混ざり合って生まれました。
最初は川に流していた人形が、時代とともに立派になり、家の中に「飾る」スタイルへと変化していったのです。
もともとは「厄払い」の儀式だった(上巳の節句)
ひな祭りの歴史はとても古く、平安時代(約1000年前)よりもっと昔にさかのぼります。
もともとは、古代中国で行われていた「上巳(じょうし)の節句」という行事がルーツです。「上巳」とは、3月の最初の「巳(み)の日」のこと。季節の変わり目であるこの時期は、邪気(悪い気)が入り込みやすいと考えられていました。
そこで人々は、川のほとりで水を浴びて身を清め、悪いものを追い払う儀式を行っていたのです。
これが日本に伝わると、「紙や草で作った人形(ひとがた)で体をなでて、自分の代わりの悪いものを移し、川に流す」というスタイルに変わりました。これが、今でも一部の地域に残る「流し雛(ながしびな)」の始まりです。
つまり、最初のお雛様は、キラキラしたお姫様ではなく、「悪いことを背負って流れていってくれる身代わり」だったのです。
貴族のおままごと「ひいな遊び」との合体
一方で、平安時代の日本の宮廷では、貴族のお姫様たちの間で「ひいな遊び」という遊びが大流行していました。
「ひいな」とは、「小さくてかわいいもの」という意味。今でいうところの、リカちゃん人形やシルバニアファミリーを使った「おままごと」です。『源氏物語』などの有名な物語にも、この「ひいな遊び」を楽しむ様子が描かれています。
そして、長い時間をかけて、
- 「悪いものを払う儀式」(シリアスな行事)
- 「ひいな遊び」(楽しい遊び)
この2つが徐々に結びつき、「3月3日に人形を作って子供の健康と幸せを願う」という、現在のひな祭りの原型ができあがりました。
「流す」から「飾る」へ(江戸時代の変化)
時代が江戸時代に進むと、人形作りの技術がぐっと上がり、お雛様はどんどん豪華で立派なものになっていきました。
「こんなに綺麗で高価な人形を、川に流してしまうのはもったいない!」
「家の中に飾って、みんなでゆっくりお祝いしたい!」
そんな風に人々の気持ちが変化し、「流す」ものから「飾る」ものへと変わっていったのです。
また、江戸幕府が3月3日を正式に「祝日」と定めたことで、武士や貴族だけでなく、一般の家庭にも一気に広まりました。
こうして、「女の子が健やかに育ちますように」「幸せな結婚ができますように」という願いを込めて、毎年3月3日にお祝いをする文化が定着したのです。
【編集部より】子供に説明する時の魔法のフレーズ集
難しい歴史の話は、子供にはちょっと退屈かもしれません。そんな時は、こんな風に伝えてみてはいかがでしょうか?
- 小さなお子さんへ(2〜4歳)「お雛様はね、〇〇ちゃんがニコニコ元気でいられるように、魔法をかけて見守ってくれているんだよ。」
- 少し大きくなったお子さんへ(5歳〜小学生)「昔の人は、お人形に『病気や怪我をしないでね』ってお願いをして、川に流していたの。それが今は、お家の中でずっと〇〇ちゃんを守ってくれるナイト(騎士)になったんだよ。」
なぜ「桃」の節句というの?


要点まとめ
- 桃には「悪い鬼を追い払う」強力なパワーがあると言われているから。
- 昔のカレンダー(旧暦)の3月3日は、ちょうど桃の花が満開になる季節だったから。
ひな祭りの別名は「桃の節句」。でも、どうして桜や梅ではなく、「桃」なのでしょうか?
そこには、2つの大きな理由があります。
桃は最強の魔除けアイテム?
昔話の『桃太郎』を思い出してみてください。桃から生まれた桃太郎が、鬼(=悪いもの)を退治しに行きますよね。
実はこれ、偶然ではないんです。
中国では古くから、桃の木は「邪気(悪いもの)を払う神聖な木」、桃の実は「不老長寿(長生きできる)の仙人の食べ物」として信じられてきました。
「百歳(ももとせ)」まで生きられるように、という言葉遊びにも通じます。
つまり、桃の花を飾るのは、「かわいいから」という理由だけでなく、「子供に悪い虫がつかないように」「悪い病気を追い払ってくれるように」という、最強のバリアを張る意味があったのです。
旧暦と新暦の季節感
もう一つの理由は、季節のズレです。
明治時代に今のカレンダー(新暦)になる前、日本は「旧暦」を使っていました。
旧暦の3月3日は、現在のカレンダーでいうと4月の上旬ごろにあたります。
今の3月3日はまだ寒くて梅の花が咲いている時期ですが、昔の3月3日は、まさに桃の花が満開になり、春爛漫の美しい季節でした。
その名残で、季節が少し早まった現代でも、変わらず「桃の節句」と呼ばれ続けているのです。
桃の花のピンク色は、見ているだけで心を明るくし、春の訪れを感じさせてくれますよね。
ひな人形を飾る意味と役割
「お姉ちゃんのがあるから、妹はいらないよね?」
「私のお古を使ってもいいのかな?」
ひな人形を用意するとき、多くのご家庭でこのような悩みが生まれます。
結論から言うと、ひな人形は「一人に一つ」が本来の姿です。でも、現代の住宅事情では難しいこともありますよね。ここでは、その「理由」と「現代の解決策」を見ていきましょう。
人形は子供を守る「身代わり」
先ほどお話ししたように、ひな人形のルーツは「流し雛」。つまり、自分の厄(悪いこと)を引き受けてくれる「身代わり(お守り)」です。
お守りを誰かと共有したり、使い回したりしないのと同じように、ひな人形も「その子だけの災厄を引き受けるもの」として、一人一人に用意するのが本来の考え方とされています。
「ママのお下がり」だと、ママの厄を引き受けた人形を娘に渡すことになってしまう…と考える専門家もいます。
一人一人に用意するもの?(姉妹のお下がり問題)
とはいえ、姉妹全員に立派な段飾りを用意するのは、スペース的にも予算的にも大変です。
最近では、愛情のこもった柔軟な考え方が広がっています。
【編集部のおすすめ】現代の賢い解決策
- 次女・三女には「つるし雛」や「市松人形」をお姉ちゃんには段飾り、妹にはかわいらしい「つるし雛」や、名前旗を用意してあげる方法です。「あなたのために用意したよ」という気持ちが伝われば、形が違っても大丈夫です。
- お古を使うなら「厄払い」をどうしてもお母さんのお雛様を受け継ぎたい場合は、神社で一度お祓いをして「厄」をリセットしてから、新しいお守りとして迎えるという方法もあります。
- 小道具だけ買い足す人形本体は共有でも、お道具の一部や名前札だけを新しくして特別感を出すのも素敵ですね。
ひな祭りの食べ物には「願い」が込められている


ひな祭りの食卓はカラフルでとても綺麗ですよね。
実は、あの色とりどりの食材一つ一つに、親から子への「こう育ってほしい」という切実な願いが込められているんです。
菱餅(ひしもち)・ひなあられの3色
菱餅やひなあられに使われる「ピンク・白・緑」。これには、春の訪れを表す素敵な意味があります。
- ピンク(桃の花): 魔除け。悪い気を払う。
- 白(雪): 清浄。純白の雪のように清らかな心。
- 緑(新緑): 健康。大地に芽吹く草のように元気に育つ。
「雪(白)の下から草(緑)が芽吹き、桃の花(ピンク)が咲く」という、春の情景そのものを表しています。「自然のエネルギーを取り込んで、健やかに育ってね」というメッセージなんですね。
ちらし寿司(縁起物のオールスター)
ひな祭りの定番、ちらし寿司。具材には縁起物がたっぷり入っています。
- エビ: 腰が曲がるまで長生きできますように。
- レンコン: 穴が空いているので、「将来の見通し」が良くなりますように。
- 豆: 健康でマメに働けますように。
蛤(はまぐり)のお吸い物
はまぐりの貝殻は、対になっているもの以外とは絶対に形が合いません。
このことから、「一生一人の人と仲良く添い遂げられますように」という、夫婦円満や良縁への願いが込められています。
白酒と甘酒(実は別物!)
「うれしいひなまつり」の歌にも出てくる白酒(しろざけ)。
実はこれ、アルコールが入ったお酒(リキュールの一種)なので、子供は飲めません!
子供が飲むのは、ノンアルコールの「甘酒(あまざけ)」です。
昔は、桃の花を漬け込んだ「桃花酒(とうかしゅ)」というお酒を飲んで邪気を払っていましたが、江戸時代から白酒が人気になり、定着しました。
【2026年版】いつ飾って、いつ片付ける?
「早く飾りすぎると良くない?」「しまい忘れるとお嫁に行けない?」
そんな不安を解消するために、2026年のカレンダーに合わせたベストなスケジュールをご紹介します。
飾るのにベストな日(立春・雨水)
ひな人形は、節分(2月3日)で鬼を追い払ったあと、「立春(りっしゅん)」から飾るのが一般的です。
- 飾り始めの目安: 2026年2月4日(水)以降
特におすすめなのが、二十四節気の一つ「雨水(うすい)」の日です。
雪が雨に変わり、草木が芽吹き始めるこの日に飾ると、「良縁に恵まれる」と言われています。
- 2026年の雨水:2月19日(木)
この日を狙って飾ってみてはいかがでしょうか?
片付けるタイミング(啓蟄・晴れた日)
3月3日が終わったら、なるべく早めに片付けましょう。目安は「啓蟄(けいちつ)」の日までです。
- 片付けの目安: 2026年3月5日(木)ごろまで
【超重要ポイント】
日付よりも大事なのは「天気」です!
雨の日に片付けると、人形に湿気が残ってしまい、カビやシミの原因になります。3月3日を過ぎてから、カラッと晴れた乾燥した日を選んで片付けてください。数日遅れても、人形を痛めるよりずっと良いですよ。
「片付けが遅れると婚期が遅れる」って本当?
「早くしまわないとお嫁に行き遅れる」という話、よく聞きますよね。
ご安心ください。これは迷信です。
昭和の時代に、「片付けもできないようでは、素敵な大人の女性になれませんよ」「だらしないとお嫁に行けませんよ」という、しつけの意味を込めて作られた脅し文句だと言われています。
「きちんとした生活習慣を身につけてほしい」という親心の裏返しですね。
現代のひな祭りの楽しみ方
コンパクトでも大丈夫!多様化するお雛様
「うちはマンションだから7段飾りなんて無理!」という方も多いはず。
最近は、現代の暮らしに合わせたおしゃれなお雛様がたくさんあります。
- 親王飾り(しんのうかざり): お殿様とお雛様の二人だけのセット。省スペースで人気No.1。
- 収納飾り: 飾り台がそのまま収納箱になるタイプ。
- 立ち雛(たちびな): 立った姿の人形。実は座っているものより歴史が古いスタイルです。
大きさや豪華さよりも、「飾ってあげたい」「お祝いしたい」という気持ちが一番大切です。
お祝いに呼ばれたら?簡単なマナー
祖父母や親戚から「ひな祭りパーティー」に呼ばれたら。
基本的には、子供が主役のカジュアルな会が多いですが、以下のポイントを押さえておくと安心です。
- 手土産: ケーキや桃の形のお菓子、ひなあられなどが喜ばれます。
- 服装: 子供はちょっとおしゃれなワンピースなどで。大人は清潔感のある服装なら普段着でもOK。
- お返し(内祝い): お祝いをいただいた場合、食事会に招待するのが一番のお返しになります。
まとめ:ひな祭りは「愛を伝える日」
ひな祭りの由来や意味、いかがでしたか?
- もともとは「子供の災厄を払う」儀式だった。
- 桃や人形には「元気に幸せに育ってほしい」という強力なバリアの意味がある。
- 飾る時期は立春(2/4)から、片付けは晴れた日に。
こうして意味を知ると、いつものひな祭りが、もっと愛おしい時間に感じられるのではないでしょうか。
豪華な人形やご馳走がなくても大丈夫。「あなたが大切だよ」「元気に育ってくれてありがとう」という言葉をかけてあげるだけで、最高のお祝いになります。
今年の3月3日が、ご家族みなさんにとって温かい笑顔あふれる一日になりますように。
よくある質問(FAQ)
Q. お内裏様とお雛様、左右どっちが正しい?
A. 現在は「向かって左が男雛(お殿様)」が一般的です(関東風)。
国際的なマナー(右上位)に合わせて、昭和天皇の即位の礼の際にこの並びになりました。ただし、京都など関西の一部では、昔ながらの「向かって右が男雛」の伝統を守っている地域もあります。どちらも間違いではありません。
Q. 桃の花がない時はどうする?
A. 造花やイラストでも気持ちは伝わります。
生花が一番ですが、手に入らない場合は造花でも構いません。また、桜や菜の花など、春らしいお花を一緒に飾るのも華やかで素敵ですよ。
Q. ひな人形は何歳まで飾るの?
A. 決まりはありませんが、大人の女性になっても飾ってOKです。
一般的には「成人するまで」「結婚するまで」と言われますが、お守りとしての役割はずっと続きます。結婚後も自分のために飾ったり、季節のインテリアとして楽しんだりする方も増えています。一生のパートナーとして大切にしてあげてください。

