「旧正月」と「春節(しゅんせつ)」、どちらもニュースなどで耳にする言葉ですが、「何が違うの?」「結局同じこと?」と迷ってしまうことはありませんか?
とくに2月ごろになると、横浜中華街のイベントや、アジアの国々がお休みに入るという話題も増えてきますよね。
結論から言うと、「旧正月」と「春節」は、ほぼ同じ「旧暦のお正月」を指す言葉です。
- 旧正月:旧暦の正月のこと(広い意味)
- 春節:中国(や中華圏)での旧正月の呼び方
つまり、「春節」は「旧正月」という大きなカテゴリの中の一つ、とイメージすると分かりやすいかもしれません。
この記事では、「旧正月」と「春節」の言葉の意味の違いから、2025年・2026年の日付、中国・韓国・ベトナムなど国ごとの過ごし方や食べ物の違いまで、中学生にも分かるようにやさしく解説します。
この記事でわかること
- 「旧正月」と「春節」の言葉の使い分け
- 2025年、2026年の旧正月(春節)がいつか
- 中国、韓国、ベトナムなどアジアの国々の祝い方や食べ物の違い
旧正月とは?【広い意味】
旧正月とは、読んで字のごとく「旧暦(きゅうれき)のお正月」のことを指す、広い意味の言葉です。
「旧正月」は旧暦のお正月のこと
今、私たちが使っているカレンダー(新暦、太陽暦)とは別のルールで作られた「旧暦」の1月1日を、「旧正月」と呼んでいます。
主に中国、韓国、ベトナム、モンゴルなど、多くのアジアの国々で今でも大切にされており、一年で最も盛大にお祝いされる祝日の一つです。
旧暦ってなに?(太陰太陽暦を分かりやすく解説)
ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、とってもシンプルです。
- 新暦(今のカレンダー):太陽の動き(地球が太陽を1周する期間)を基準にしている(=太陽暦)
- 旧暦(昔のカレンダー):月の満ち欠けを基準に、太陽の動きも取り入れて調整したもの(=太陰太陽暦)
昔の人は、月の形が変わる様子を見て「今日は○日だ」と判断していました。そのルールで決めたお正月が「旧正月」なんです。
月の満ち欠けを基準にすると、新暦のカレンダーとは日付がズレていきます。だから、旧正月は毎年日付が変わるのが特徴です。(詳しくは後ほど解説しますね)
なぜ「旧」正月と呼ぶの?(新暦との対比)
私たちが1月1日にお祝いするお正月を「新正月(しんしょうがつ)」と呼ぶのに対して、それよりも古い暦(旧暦)のお正月だから「旧正月」と呼んで区別しています。
日本では明治時代に新暦が採用されてから、1月1日を「お正月」とするのが一般的になりましたが、アジアの多くの国では旧暦の文化が今も強く根付いています。
コトクマ「旧暦」と聞くと難しそうですが、「月の満ち欠けがベース」と知ると、ちょっとロマンチックに感じませんか? 昔の人が月を見上げながら日を数えていた様子が目に浮かぶようです。
春節(しゅんせつ)とは?【中国の呼び方】
春節とは、主に「中国」や、台湾、シンガポールなど中華圏の国々で使われる「旧正月」の呼び方です。
「春節」は中国での呼び名
「旧正月」が「旧暦のお正月(全般)」を指すのに対し、「春節」は特に中国文化圏でのお祝いを指す言葉として使われます。
中国では「春節」が一年で最も大切な祝日です。都市部へ働きに出ている人たちも、この時期は一斉に故郷へ帰るため、「春節」の前後数週間は「民族大移動」と呼ばれるほどの大きな帰省ラッシュが起こります。
春節の由来と意味
「春節」という言葉には、「春節」は文字通り**「春を迎える節句(季節の変わり目)」**という意味が込められています。
旧暦では、旧正月(1月1日)が「立春(りっしゅん)」(暦の上での春の始まり、だいたい2月4日ごろ)に最も近い新月の日と定められているため、春の訪れを祝うお祭りという意味合いが強いのです。
【コラム】「春節」と呼ぶのは中国だけ?
「春節」という呼び方は、中国本土だけでなく、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど、中国系の人々(華僑・華人)が多く住む地域でも広く使われています。
ただし、国によっては独自の呼び方をする場合もあります。



「春節」=「チャイニーズ・ニューイヤー(Chinese New Year)」と呼ばれることも多いですね。爆竹の音や龍の舞など、エネルギッシュなお祝いのイメージが強いです。
一目でわかる!「旧正月」と「春節」の違いまとめ
旧正月と春節の違いは、指し示す「範囲」の違いです。どちらも「旧暦の1月1日」を祝う点では同じです。
言葉の「範囲」が違うのがポイント
- 旧正月:旧暦のお正月全般を指す**【広い言葉】**。(例:韓国の旧正月、ベトナムの旧正月)
- 春節:主に中国(中華圏)での旧正月の呼び方**【特定の地域の言葉】**。
料理に例えるなら、「旧正月」が「麺類」だとしたら、「春節」は「ラーメン(中国)」、「ソルラル」は「冷麺(韓国)」、「テト」は「フォー(ベトナム)」といったイメージでしょうか。(※各国のお正月に食べるものとは違いますが、あくまでイメージです!)
【チェックリスト】旧正月と春節の使い分け
どちらを使えばいいか迷ったときは、このチェックリストを参考にしてみてください。
- [ ] アジア全体の「旧暦の正月」の話をしたい → 旧正月
- [ ] 中国や中華街のお正月の話題をしたい → 春節
- [ ] 韓国のお正月について話したい → ソルラル
- [ ] ベトナムのお正月について話したい → テト



ニュースで「春節の連休で多くの中国人観光客が……」と聞くのは、中国のお正月(春節)のお休みだから、ということですね。使い分けが分かるとスッキリします!
2025年・2026年の旧正月(春節)はいつ?
旧正月(春節)の日付は、毎年変わります。2025年は1月29日(水)です。
旧正月の日付は毎年変わる理由
先ほど「旧暦は月の満ち欠けが基準」と説明したのを覚えていますか?
月の満ち欠けのサイクル(新月から次の新月まで)は、約29.5日です。これを12回繰り返すと、約354日となります。
私たちが使っている新暦(太陽暦)の1年(約365日)と比べると、約11日短いのです。
このズレが毎年積み重なっていくため、旧正月(旧暦の1月1日)は、新暦で見ると「だいたい1月下旬から2月中旬の間」を毎年移動するように変わっていきます。
【一覧】旧正月(春節)はいつ?
近年の旧正月(春節)の日付(新暦)はこちらです。
- 2024年:2月10日(土)
- 2025年:1月29日(水)
- 2026年:2月17日(火)
- 2027年:2月6日(土)
2025年は1月下旬、2026年は2月中旬と、日付が大きく違いますね。



手帳やカレンダーに「2025年の春節は1月29日」とメモしておくと、中華街のイベントや海外旅行の計画を立てるときに役立つかもしれません。
国によってどう違う? アジアの旧正月の過ごし方・食べ物
「旧正月」はアジアの多くの国で祝われていますが、その呼び方、過ごし方、食べるものは国によって様々です。
旧正月を祝う国はたくさんある
中国(春節)だけでなく、韓国、ベトナム、台湾、モンゴル、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど、多くの国や地域で祝われています。
ここでは、代表的な国・地域の「旧正月」を見てみましょう。
【比較表】アジア各国の旧正月
| 国・地域 | 呼び方 | 期間(目安) | 代表的な風習・食べ物 |
| 中国 | 春節(しゅんせつ) | 約1週間~ | 餃子(北方は餃子、南方はお餅や魚料理など地域差あり)、爆竹、紅包(ホンバオ:赤い袋のお年玉)、赤色の飾り付け、龍や獅子の舞 |
| 韓国 | ソルラル | 約3日~ | トックク(お餅の入ったスープ。食べると1歳年をとるとされる)、セベ(目上の人への新年の挨拶)、韓服(チマチョゴリ)を着る |
| ベトナム | テト | 約1週間~ | バインチュン(豚肉や豆入りの四角いちまき)、桃や金柑の木を飾る(縁起物)、アオザイ(民族衣装)を着る |
| 台湾 | 春節(しゅんせつ) | 約1週間~ | 佛跳牆(ぶっちょうしょう:高級乾物を煮込んだスープ)など豪華な料理、紅包(ホンバオ)、大掃除 |
| シンガポール | Chinese New Year | 約2日(祝日) | ユーシェン(魚や野菜のサラダ。高く持ち上げて混ぜるほど幸運が来るとされる)、パイナップルタルト、紅包 |
このように、同じ「旧正月」でも、国や地域によって特色豊かな文化があることが分かります。



韓国の「トックク」は、日本のお雑煮に似ていて親しみがわきますね。ベトナムの「バインチュン」も美味しそうです! 国ごとの違いを知ると、旅行したときに一層楽しめそうですね。
日本と旧正月の関係は? 沖縄や中華街ではどう祝う?
現在の日本では、旧正月を全国的にお祝いする風習はありませんが、一部の地域やコミュニティでは今も大切にされています。
昔の日本も旧正月を祝っていた
日本は、明治6年(1873年)に新暦(太陽暦)を採用するまで、中国などと同じように旧暦(太陰太陽暦)を使っていました。
そのため、昔の日本でも「旧正月」が本当のお正月でした。
しかし、政府の方針で新暦に切り替わってからは、1月1日(新正月)を「お正月」として祝う文化が急速に広まり、旧正月を祝う習慣は薄れていきました。
今でも旧正月文化が残る地域(沖縄、奄美など)
全国的には珍しくなりましたが、沖縄県や鹿児島県の奄美群島など、一部の地域では今でも旧正月の風習が残っています。
沖縄では旧正月を「ソーグヮチ(お正月)」と呼び、家族で集まってごちそうを食べたり、仏壇にお供え物をしたりする家庭も多いです。
横浜・神戸・長崎の中華街イベント
日本で「旧正月」や「春節」を身近に感じられる場所といえば、中華街です。
- 横浜中華街
- 神戸南京町
- 長崎新地中華街
これらの地域では、旧正月(春節)の時期になると、盛大なお祝いイベントが開催されます。
龍の舞(龍舞)や獅子の舞(獅子舞)、パレード、中国の伝統芸能などが披露され、爆竹が鳴り響き、非常に華やかな雰囲気になります。日本にいながら、本場の「春節」の熱気を体験できる貴重な機会です。



私も一度、横浜中華街の春節イベントに行ったことがありますが、ものすごい熱気と迫力でした! まるで別世界に来たような感覚で、とても楽しかったのを覚えています。
旧正月(春節)についてよくある質問(FAQ)
ここでは、「旧正月」や「春節」について、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 旧正月と春節は、結局のところ同じものと考えてよいですか?
A1. はい、基本的には「旧暦の1月1日(お正月)」を指す、同じものと考えて大丈夫です。
ただし、厳密には「旧正月」が広い意味(アジア全般)の言葉であるのに対し、「春節」は主に中国(中華圏)での呼び方、という違いがあります。話す相手や文脈によって使い分けると、より正確です。
Q2. 旧正月に「おめでとう」と伝えるには、何と言えばいいですか?
A2. 相手の国や文化によって異なりますが、代表的な挨拶(あいさつ)を紹介します。
- 中国(春節):「新年好(シンニエンハオ)」や「新春快乐(シンチュンクァイラー)」(新年おめでとう)が一般的です。「恭喜发财(ゴンシーファーツァイ)」(お金が儲かりますように)という挨拶もよく使われます。
- 韓国(ソルラル):「새해 복 많이 받으세요(セヘ ポン マニ パドゥセヨ)」(新年の福をたくさん受け取ってください)が定番の挨拶です。
- ベトナム(テト):「Chúc mừng năm mới(チュックムンナムモイ)」(明けましておめでとうございます)と言います。
Q3. 旧正月の休み(春節休み)は、いつからいつまでですか?
A3. 国や地域によって大きく異なります。
- 中国(春節):旧正月(春節)当日を含めて、**国が定める祝日は7連休(約1週間)**となることが多いです。しかし、多くの人がその前後に有給休暇などをつなげて、2〜3週間ほどの大型連休にすることもあります。
- 韓国(ソルラル):旧正月当日とその前後、合わせて3日間程度が一般的です。
- ベトナム(テト):春節と同様に、約1週間の連休になることが多いです。
Q4. なぜ日本は旧正月を祝わなくなったのですか?
A4. 明治6年(1873年)に、政府が「西洋諸国(欧米)と暦を合わせる」ために、旧暦から新暦(太陽暦)への切り替え(改暦)を決定したからです。
当時、政府は「新正月(1月1日)」を祝うことを国民に推奨し、役所や学校も新暦で動くようになったため、徐々に旧正月を祝う習慣が薄れていきました。
Q5. 旧正月にやってはいけないこと(タブー)はありますか?
A5. 国や地域によって様々な迷信やタブーがあります。一例として、中国(春節)では以下のようなことが避けられる傾向にあります。
- お正月の期間中(特に元旦)に掃除や洗濯をしない(福を掃き出してしまう、洗い流してしまうと考えられるため)
- 髪を切らない(「髪」と「発財(財産を得る)」の発音が似ているため)
- ハサミや刃物を使わない(縁起が悪いとされる)
- 縁起の悪い言葉(「死」など)を口にしない
これらはあくまで伝統的な風習や迷信ですが、文化として知っておくと面白いですね。
まとめ|「旧正月」は広い意味、「春節」は中国の呼び方
今回は、「旧正月」と「春節」の違いについて、アジア各国の文化も交えながら解説しました。
【今日のポイント】
- 旧正月:旧暦のお正月全般を指す【広い言葉】。
- 春節:主に中国や中華圏で使われる【特定の呼び方】。
- どちらも「旧暦の1月1日」を祝う点では同じ。
- 韓国は「ソルラル」、ベトナムは「テト」と呼ぶ。
- 旧正月の日付は毎年変わり、2025年は1月29日(水)。
「旧正月」と「春節」。
この二つの言葉の違いが分かると、アジアのニュースがより深く理解できたり、中華街のイベントをさらに楽しめたりするかもしれません。

