「ビジネスで年賀状を送らなきゃいけないけれど、マナー違反をしていないか不安……」
「印刷しただけの年賀状だと味気ないけど、何を書けばいいかわからない」
年末が近づくと、こんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
メールやチャットが主流になった今だからこそ、年に一度届く「年賀状」は、相手との関係を深める大切なコミュニケーションツールになります。
この記事では、社会人として知っておきたいビジネス年賀状の基本から、相手の心に響く一言メッセージまで、以下のポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 上司や取引先に送っても失礼にならない「宛名・賀詞」のルール
- コピペOK!相手別にそのまま使える気の利いた「一言添え書き」文例
- 角を立てずに年賀状をやめる「年賀状じまい」のスマートな伝え方
ビジネス年賀状を送る前に確認!基本の「き」
そもそもビジネス年賀状は必要?送る相手の選び方
かつては「全員に送るのが当たり前」だった年賀状ですが、最近は環境配慮や業務効率化(働き方改革)の観点から、「虚礼廃止(形式的なやり取りをやめること)」を宣言する企業が増えています。
まずは、自社の方針を確認することが最優先です。「会社として禁止している」場合は、個人の判断で送るとかえって迷惑になることもあるので注意しましょう。
送る相手を選ぶ際は、以下の基準を参考にリストアップしてみてください。
- 年賀状を送るべき相手の目安
- 直近1年でお世話になった社外の取引先・お客様
- 特にお世話になっている直属の上司や恩師
- 過去に年賀状をいただき、やり取りが続いている相手
元旦に届けるためのスケジュール
ビジネス年賀状は、できる限り元旦(1月1日)に届くように手配するのが基本のマナーです。郵便局の引受開始日を確認し、余裕を持って投函しましょう。
投函期間の目安(2026年用)
- 12月15日〜12月25日頃まで: 元旦に届く可能性が高い
- 12月26日〜12月28日頃: 近隣なら元旦に届く可能性があるが確実ではない
- 1月7日(松の内)まで: 年賀状として出してOK
もし松の内(1月7日※地域によっては15日)を過ぎてしまった場合は、「年賀状」ではなく「寒中見舞い」として送るのがマナーです。
コトクマ12月は師走の名の通り、あっという間に過ぎてしまいます。リスト作りだけでも11月中に終わらせておくと、年末に慌てずに済みますよ!
失敗しない!表面(宛名面)の書き方マナー【図解あり】
年賀状を手に取ったとき、最初に見られるのが「表面(宛名面)」です。ここで誤字脱字や配置ミスがあると、せっかくの中身も台無しになりかねません。ビジネスでは縦書きが基本です。
住所・社名・役職名の正しい配置バランス
ビジネス年賀状の宛名は、バランスが命です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 住所: 郵便番号の枠に合わせて右側から書きます。都道府県は省略せず書きましょう。ビル名や階数も正確に記載します。数字は漢数字(一、二、三)を使うのが正式です(例:丸の内一丁目二番三号)。
- 会社名: 住所より少し下げて書き始めます。「(株)」などと略さず、「株式会社」と正式名称で書きましょう。
- 役職名: お名前の上に小さく書くか、お名前の右上に書きます。4文字以上など長い役職名は、お名前の右上に小さく行を変えて書くとバランスが良いです。
- お名前: 中央に大きく書きます。ここが一番目立つように配置しましょう。
「様」と「御中」の使い分けチェックリスト
意外と迷いやすい敬称の使い分け。間違えると失礼にあたるので、しっかり確認しておきましょう。
| 送る相手 | 使う敬称 | 記入例 |
| 個人(担当者) | 様 | 〇〇株式会社 営業部 山田 太郎 様 |
| 会社・部署全体 | 御中 | 〇〇株式会社 営業部 御中 |
| 役職者(個人) | 様 | 〇〇株式会社 代表取締役 鈴木 一郎 様 |
| 恩師・先生 | 先生 | (※ビジネスでは「様」が無難ですが、恩師には「先生」でもOK) |
注意: 「部長様」「社長様」のように、役職名に「様」をつけるのは二重敬語になり間違いです。「営業部長 佐藤様」のように書きましょう。



宛名書きソフトを使う場合も、旧字体の漢字(髙、﨑など)が正しく変換されているか、必ず最後は人の目でチェックしてくださいね。
裏面(通信面)の構成と「賀詞」の選び方
上司・取引先に「賀正」「迎春」はNG!その理由
年賀状のデザインを選ぶ際、「賀正」や「迎春」といった2文字の賀詞が入ったものを選んでいませんか?
実は、1文字や2文字の賀詞は、目下の人へ向けた簡略化された言葉とされています。上司や取引先に送ると失礼にあたるため、4文字の賀詞を選びましょう。
- 目上の人(上司・取引先)におすすめの賀詞
- 謹賀新年(きんがしんねん):謹んで新年をお祝いいたします
- 恭賀新年(きょうがしんねん):うやうやしく新年をお祝いいたします
- 謹んで新春のお慶びを申し上げます(文章形式でもOK)
- 目下の人(部下・友人)や全体向けに使われる賀詞
- 寿、春、賀正、迎春、Happy New Year(英語はカジュアルな印象になります)
- 明けましておめでとうございます(誰にでも使える万能な言葉です)
忌み言葉と句読点のルール
お祝いの文章には、終わりや区切りを連想させる表現を避けるという日本独自の美しいマナーがあります。
- 句読点(、。)は打たない:「お祝いごとは区切りをつけずに続いてほしい」という願いから、句読点は使わず、代わりに改行やスペースで読みやすくします。
- × 旧年中は、大変お世話になりました。
- ○ 旧年中は大変お世話になりました
- 忌み言葉(NGワード)を避ける:「去る」「失う」「滅びる」「暗い」「病む」などの言葉は使いません。特に注意したいのが「去年」です。「去」が含まれるため、「昨年」や「旧年」と言い換えましょう。



市販のデザイン済み年賀状を買うときは、「謹賀新年」と書かれているものを選べば、誰に出しても間違いがないので安心ですよ!
【相手別】そのまま使える!ビジネス年賀状の文例&一言集
印刷された定型文だけでは、どうしても事務的な印象を与えてしまいます。空いているスペースに手書きで一言添えるだけで、あなたの「温度」が伝わり、印象がグッと良くなります。
取引先・お客様向け:感謝と繁栄を願うフレーズ
ビジネスライクな丁寧さを保ちつつ、具体的なエピソードを交えると効果的です。
【基本の添え書き】
- 旧年中は多大なるご支援をいただき 厚く御礼申し上げます
- 本年も変わらぬご愛顧のほど お願い申し上げます
【一歩差がつく一言】
- 昨年は〇〇のプロジェクトで大変お世話になりました
- 〇〇様のアドバイスのおかげで 無事企画を通すことができました
- 貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます
上司・先輩向け:指導への感謝と抱負
日頃の指導への感謝と、新年の仕事に対する前向きな姿勢(決意)を伝えましょう。
【基本の添え書き】
- 旧年中は公私にわたり温かいご指導をいただき ありがとうございました
- 未熟者ではございますが 本年もご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます
【一歩差がつく一言】
- 昨年ご指導いただいた〇〇の件 自身の成長につながりました
- 本年は〇〇の業務で成果を出せるよう 一層精進いたします
- 本年は飛躍の年となるよう 仕事に邁進する所存です
同僚・部下向け:親しみを込めたメッセージ
関係性にもよりますが、少し崩した表現で親近感を出すのも良いでしょう。労いの言葉を入れると喜ばれます。
【基本の添え書き】
- 昨年は一緒に仕事ができて楽しかったです 本年もよろしく!
- 新しい部署での活躍を期待しています
【一歩差がつく一言】
- 〇〇プロジェクトでのサポート いつも本当に助かっています
- また近いうちにランチでも行きましょう!
- お互い体調には気をつけて 良い一年にしましょう



手書きの一言は、長く書く必要はありません。相手の顔を思い浮かべて、一番伝えたい「ありがとう」や「決意」を短く記すだけで十分伝わります。
これからの時代の「年賀状じまい」とメールのマナー
「SDGsへの配慮」や「デジタル化」の流れで、年賀状を今年で最後にしたい(年賀状じまい)と考える方も増えています。角を立てずに辞退するマナーを紹介します。
年賀状をやめたい時の「じまい」の挨拶文例
年賀状をやめる場合、最後の年賀状に「来年からは書きません」という旨を丁寧に書き添えます。ポイントは「全員に対して一律にやめる」と伝えることです。
【年賀状じまいの文例】
誠に勝手ながら 本年をもちまして
どなた様へも年賀状によるご挨拶を控えさせていただくことといたしました
今後はメールやSNSにて 近況をお伝えできればと存じます
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
【理由を添える場合】
- 「時代の流れに鑑み……」
- 「ペーパーレス化の観点から……」
- 「還暦を迎え 寄る年波を感じるに至り……」(個人的な理由の場合)
年賀状の代わりにメールを送る場合の注意点
年賀状の代わりに新年の挨拶メールを送る場合は、以下の点に注意しましょう。
- 件名: 【新年のご挨拶】〇〇株式会社 氏名(ひと目で内容と差出人がわかるようにします)
- 送信形式: 一斉送信する場合は、必ずBCCを使いましょう。TOやCCに入れると、他人のメールアドレスが流出してしまい、重大なマナー違反(セキュリティ事故)になります。
- タイミング: 会社の営業開始日(仕事始め)の午前中に送るのが一般的です。元旦に個人のスマホ等へ送るのは、相手の休日を邪魔する可能性があるので控えましょう。
ビジネス年賀状に関するよくある質問(FAQ)
最後に、ビジネス年賀状についてよく検索される疑問にお答えします。
Q1. 喪中の会社や相手に年賀状を出してしまったら?
もし投函後に相手が喪中だと知った場合は、年が明けてから「寒中見舞い」を送りましょう。「お悔やみを知らずに年賀状を出してしまったことへのお詫び」と「お悔やみの言葉」を書き添えます。
なお、会社(法人)には喪中という概念がないため、社長が喪中であっても会社宛に年賀状を出して問題ありません。
Q2. 年賀状が来ていない相手から届いた場合はどうする?
すぐに返信の年賀状を作成して出しましょう。元旦に届かなかったことへの言い訳(「出し遅れました」など)は書かず、「早々に年賀状をいただきありがとうございました」と感謝を伝えて返信するのがスマートです。1月7日を過ぎるようなら「寒中見舞い」として出します。
Q3. 手書きは黒ペンでいい?筆ペンじゃないとダメ?
理想は毛筆や筆ペンですが、使い慣れていない場合は無理をする必要はありません。書き慣れた黒のボールペンや万年筆で丁寧に書けば大丈夫です。ただし、消せるボールペンはNGです。また、グレーや薄墨は「弔事(お悔やみ)」の色なので絶対に使わないようにしましょう。
Q4. 会社宛の年賀状に、個人の自宅住所を書いてもいい?
ビジネス上の付き合いであれば、基本的には会社宛の住所を書きます。ただし、退職した元上司や、個人的にも親しくしている相手であれば、自宅住所を聞いて送っても構いません。その場合は、個人情報の取り扱いに十分配慮しましょう。
まとめ:年賀状は「心」を届けるコミュニケーション
ビジネス年賀状で一番大切なのは、形式を完璧に守ることよりも、「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いします」という感謝の気持ちを伝えることです。
今回のポイントおさらい
- 上司・取引先には「4文字の賀詞(謹賀新年など)」を選ぶ。
- 宛名は(株)と略さず、バランス良く配置する。
- 印刷だけでなく、必ず手書きで「一言」を添える。
たった一言の手書きメッセージが、デジタルの時代には温かく響きます。まずは送る相手のリストアップから始めて、余裕を持って準備を進めましょう。あなたの真心が伝わる年賀状になりますように!

