今さら聞けない年賀状の意味。なぜ出すの?基本マナーと歴史

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年賀状の意味と由来

新しい年が明けるとポストに届く「年賀状」。

「最近はSNSやメールで済ませちゃうことも多いけど、やっぱり届くと嬉しいな」

「でも、そもそも年賀状って何のために送るんだろう?」

「いつから始まった習慣なの?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?

年賀状は、ただの「新年の挨拶」というだけではなく、日本の大切な文化であり、人と人とのつながりを温めてくれる素敵な習慣です。

この記事では、編集者・ライターとして言葉に携わってきた筆者が、年賀状の「意味」や「由来」を、中学生にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 年賀状が持つ本当の意味と目的
  • 年賀状がいつ、どのようにして始まったのか(歴史)
  • SNS時代にあえて年賀状を送る価値
  • 恥をかかないための基本マナー(時期や書き方)
目次

年賀状ってなに? 今さら聞けない「意味」と「目的」

年賀状は「新しい年を一緒にお祝いしましょう!」「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いします」という3つの気持ちを伝える大切な挨拶状です。

年賀状は、日本に古くからある「新年の挨拶」の習慣が形になったものです。

昔は、お世話になった人や親戚の家を一件一件訪ねて、直接新年の挨拶をして回るのが普通でした。

でも、遠くに住んでいる人や、忙しくてなかなか会えない人もいますよね。

そんな人たちにもきちんと感謝と新年の気持ちを伝えたい、という思いから「手紙(はがき)」を送るようになったのが、年賀状の始まりです。

主な目的は、大きく分けて次の3つです。

  1. 旧年中の感謝を伝える「昨年はいろいろとお世話になり、ありがとうございました」
  2. 新年のお祝いを伝える「新しい年、おめでとうございます!」
  3. 新しい年も良い関係でいたいと願う「今年もどうぞよろしくお願いします」

つまり年賀状は、「感謝」「お祝い」「お願い」の3つの気持ちを込めた、とっても大切な「ごあいさつ状」なんですね。

コトクマ

ちなみに「年賀(ねんが)」という言葉は、文字通り「新年のお祝い」という意味なんですよ。

年賀状はいつから始まったの? 歴史と由来をたどってみよう

年賀状のルーツは、平安時代の貴族が年始の挨拶に回れなかった遠くの人へ送った「手紙」にあります。その後、郵便制度ができて、今のような「はがき」の形が広まりました。

私たちが今、当たり前のように書いている年賀状。その歴史は、なんと1000年以上も前にさかのぼります。

始まりは平安時代? 貴族の「年始回り」

年賀状の「もと」になった習慣は、平安時代(794年~)に始まったとされています。

当時、貴族たちは「年始回り(ねんしまわり)」といって、新年に天皇や目上の人のところへ直接挨拶に行くのがマナーでした。

しかし、遠くに住んでいたり、病気だったりして直接行けない人もいます。

そんな人たちが、挨拶の代わりに「手紙」を送ったのが、年賀状のルーツだと言われています。当時はまだ「はがき」はなかったので、巻物のような立派な手紙だったようです。

江戸時代に庶民へ普及! 「飛脚」の活躍

時代は進み、江戸時代(1603年~)。

「飛脚(ひきゃく)」という、手紙や荷物を運ぶ専門の職業(今でいう宅配便や郵便屋さん)が登場しました。

また、寺子屋(てらこや)などで読み書きを習う人が増え、貴族や武士だけでなく、一般の庶民にも手紙を送る文化が広まりました。

この頃から、新年の挨拶を手紙で送ることが、少しずつ一般的になっていったようです。

明治時代に「お年玉付き年賀はがき」が登場!

そして、年賀状が一気に全国へ広まるキッカケとなったのが、明治時代(1868年~)です。

1871年(明治4年)に、今の郵便局のもとになる「郵便制度」がスタート。

1873年(明治6年)には、今と同じような「はがき(郵便葉書)」が誕生しました。

手紙(封書)よりもずっと安くて手軽に送れる「はがき」の登場で、年賀状を送る人の数は爆発的に増えました。

さらに、1949年(昭和24年)には、新年の楽しみの定番**「お年玉付き年賀はがき」**が発売! これが大ヒットし、年賀状は日本のお正月に欠かせない文化として定着したのです。

【年賀状の歴史まとめ表】

スクロールできます
時代主な出来事年賀状のカタチ
平安時代年始回りの代わり貴族間の手紙(巻物など)
江戸時代飛脚制度の発達庶民にも手紙が普及
明治時代郵便制度の開始「はがき」の誕生
1949年(昭和24年)お年玉付き年賀はがき今の形が定着
コトクマ

明治時代、年賀状があまりに多すぎて郵便局の仕事がパンクしそうになったため、「年賀状は12月20日以降に出してくださいね」というルールができたそうです。今と似ていますね!

SNSやメールじゃダメなの? 年賀状を送る現代の「価値」

すぐに送れるSNSやメールと違い、年賀状は「手間」をかけるからこそ伝わる「特別感」や「温かみ」があります。形として手元に残るのも大きな魅力です。

「新年の挨拶なら、LINEやメールで十分じゃない?」

確かに、SNSやメールは、早くて、手軽で、お金もかかりません。特に若い世代にとっては、そちらの方が普通かもしれませんね。

では、なぜ今でも年賀状を送る人がいるのでしょうか?

それは、デジタルにはない「アナログ(年賀状)」ならではの良さがあるからです。

年賀状(アナログ)ならではのメリット

  • 手元に残る「モノ」としての嬉しさデータと違って、実物がポストに届くのは特別な嬉しさがあります。お気に入りの年賀状を飾っておくこともできます。
  • 手書きの文字やデザインに人柄が伝わる「あの人らしいデザインだな」「丁寧に字を書いてくれたんだな」と、相手の温かみが伝わってきます。
  • 「わざわざ自分のために」という特別感デザインを選び、一言を考え、宛名を書き、ポストに投函する…。その「手間」をかけてくれたことが、何より嬉しいものです。
  • お正月の「風物詩」として気分が盛り上がる年賀状が届くと「ああ、お正月だなあ」と実感できますよね。

もちろん、デジタルがダメというわけではありません。

すぐに連絡を取りたい相手や、普段からSNSで頻繁にやり取りしている友達には、メールやスタンプの方が気軽で良い場合もあるでしょう。

大切なのは、どちらが良い・悪いではなく、相手やシチュエーションに合わせて使い分けることです。

コトクマ

恩師や遠くに住む親戚など、普段なかなか連絡を取らない相手にこそ、年に一度の年賀状が「元気ですよ」という大切なメッセージになりますよ。

これだけは押さえよう! 年賀状の基本マナーとルール

年賀状には、相手に失礼がないように守りたいルールがあります。特に「時期」と「書き方(賀詞・忌み言葉)」の基本を覚えましょう。

年に一度だからこそ、うっかりマナー違反をして相手を不快にさせたくないですよね。

中学生でも知っておきたい、年賀状の基本マナーをご紹介します。

年賀状はいつからいつまでに出す?

一番大切なのが「時期」です。

  • 投函(ポストに入れる): 12月15日~12月25日元日(1月1日)に相手に届けるためには、この期間に出すのがベストです。郵便局が「この期間に出してくれれば元旦に届けますよ」と約束してくれている期間です。
  • 遅くともいつまで: 1月7日(松の内)まで1月1日を過ぎてしまっても、1月7日までに届けば年賀状として送ってOKです。「松の内(まつのうち)」と呼ばれる、お正月の飾り(門松など)を飾っておく期間です。
  • 1月8日以降になったら?1月8日を過ぎてしまった場合は、年賀状ではなく「寒中見舞い(かんちゅうみまい)」として送ります。「あけましておめでとう」は使わず、「寒中お見舞い申し上げます」と書き始めます。

年賀状の書き方 基本の「き」

年賀状には、だいたい決まった構成があります。

  1. 賀詞(がし)「あけましておめでとう」などのお祝いの言葉です。【注意!】送る相手によって使い分けが必要です。
    • 目上の人(先生、先輩、上司)へ:「謹賀新年(きんがしんねん)」「恭賀新年(きょうがしんねん)」など、漢字4文字の丁寧な言葉を使います。「賀正」「迎春」などの1~2文字のものは、相手への敬意が足りないとされるためNGです。
    • 友達や親しい人へ:「賀正(がしょう)」「迎春(げいしゅん)」「あけましておめでとうございます」「Happy New Year!」など、自由でOKです。
  2. 本文「昨年はお世話になりました」という感謝の言葉や、「今年もよろしくお願いします」という挨拶、自分の近況報告(部活を頑張った、など)、相手の健康や幸せを願う言葉などを書きます。
  3. 日付「令和〇年 元旦(がんたん)」と書くのが一般的です。(※元旦=1月1日の朝、という意味なので、「令和〇年 一月 元旦」と書くのは間違いです)
  4. 宛名(あてな)住所や名前は、省略せず正確に書きましょう。相手の名前の下につける敬称は「様」が基本です。(※学校の先生宛でも「〇〇 先生 様」ではなく「〇〇 先生」または「〇〇 様」とします。「先生」自体が敬称だからです)

【要チェック】知っておきたい注意点

  • 句読点(「、」や「。」)は使わない?昔からの慣習で、年賀状には句読点を使わないのが正式とされています。理由は「お祝い事に区切りをつけない(縁起が悪いから)」「相手が読みやすいように句読点を打つのは失礼にあたる(昔の考え方)」など諸説あります。ただし、最近は読みやすさ優先で、気にしない人も増えています。
  • 「忌み言葉(いみことば)」を避けるお祝い事なので、縁起が悪いとされる言葉は使いません。例:「去年」 → 「昨年(さくねん)」または「旧年中(きゅうねんちゅう)」(「去る」が別れを連想させるため)
  • 書き損じたら?修正テープや修正液を使うのはマナー違反です。間違えてしまったはがきは、郵便局に持っていくと、少ない手数料で新しいはがきや切手と交換してもらえます。
コトクマ

マナーと聞くと難しく感じるかもしれませんが、基本は「相手がどう思うかな?」と想像する「思いやり」です。丁寧に書けば、きっと気持ちは伝わりますよ。

最近よく聞く「年賀状じまい」って?

「年賀状じまい」とは、高齢や生活の変化などを理由に、「今年で年賀状のやり取りを終わりにします」と宣言することです。

最近、「終活(しゅうかつ)」という言葉と一緒に、「年賀状じまい」という言葉も聞くようになりました。

これは、

「高齢になって、年賀状を書くのが体力的に大変になってきた」

「退職して、仕事関係の付き合いが一段落した」

「SNSなどで十分つながっているから」

といった理由で、年賀状のやり取りを終わりにすること(やめること)を指します。

もし、年賀状じまいをしたい場合は、何も言わずにパッとやめてしまうと、相手は「何かあったのかな?」「嫌われたのかな?」と心配してしまいます。

最後の年賀状に、「誠に勝手ながら、皆様への年賀状は今年限りとさせていただきます」といった一言を添えたり、年明けに「寒中見舞い」として挨拶状を送ったりするのが一般的です。

コトクマ

年賀状は「出す・出さない」が自由なものです。もしやめる時も、これまでの感謝をきちんと伝えて、相手を不安にさせない配慮ができると素敵ですね。

まとめ

今回は、年賀状の「意味」や「由来」、そして「マナー」について解説しました。

  • 年賀状は、「感謝」「お祝い」「今年もよろしく」を伝える大切な挨拶状。
  • 始まりは平安時代の貴族の手紙で、明治時代の郵便制度で「はがき」として広まった。
  • SNS時代でも、手書きの温かさ手元に残る特別感が年賀状の価値。
  • マナーで大事なのは「時期(12/25までに投函)」「賀詞の使い分け」「忌み言葉」。

メールやSNSが当たり前の今だからこそ、年に一度、大切な人のことを思い浮かべながらペンを取る時間は、とても貴重なものかもしれません。

今年は、お世話になったあの人へ、心を込めて年賀状を書いてみませんか?

年賀状に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 年賀状はなぜ出す必要があるのですか?

A1. 必ず出さなければいけないものではありません。ですが、年賀状は「昨年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いします」という感謝と挨拶の気持ちを、新年の始まりという節目に伝えるための日本の大切な文化です。SNSやメールとは違い、形として相手の手元に届く「特別感」があります。

Q2. 年賀状の「賀詞」って何ですか? 使い分けは?

A2. 「賀詞(がし)」とは、「あけましておめでとう」といった新年のお祝いの言葉のことです。送る相手によって使い分けるマナーがあります。

  • 目上の人(先生・先輩): 「謹賀新年」「恭賀新年」など4文字の丁寧なもの。
  • 友達・親しい人: 「賀正」「迎春」「Happy New Year!」など自由なもの。(目上の人に「賀正」など短い賀詞を使うのは失礼にあたるので注意しましょう)

Q3. 年賀状に句読点(「、」や「。」)を使ってはいけないのはなぜですか?

A3. 「お祝い事に区切りをつけない」という縁起を担ぐ意味や、「相手が読みやすいように補助する句読点は、相手を見下している」という昔の考え方から来ている慣習です。ただし、最近では読みやすさを優先して句読点を使う人も増えており、厳密なマナー違反とまでは言われなくなってきています。

Q4. 年賀状を出すのが遅れたらどうすればいいですか?

A4. 1月7日(松の内)までに相手に届くようであれば、年賀状として送って大丈夫です。もし1月8日以降になってしまう場合は、年賀状ではなく「寒中見舞い(かんちゅうみまい)」として送りましょう。

Q5. 喪中の人(家族が亡くなった人)に年賀状は送ってもいいですか?

A5. いいえ、送ってはいけません。家族が亡くなってから1年間(喪中)は、お祝い事である年賀状のやり取りを控えるのがマナーです。

通常、11月~12月上旬ごろに「喪中はがき(年賀欠礼状)」が届いたら、こちらからも年賀状は送らないようにします。新年の挨拶をしたい場合は、松の内(1月7日)が明けてから「寒中見舞い」として、相手を気遣う言葉を送りましょう。

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