「大晦日(おおみそか)はわかるけど、晦日(みそか)って何だろう?」
「どっちも『みそか』と読むけど、どう違うの?」
年末が近づくと耳にする「晦日」や「大晦日」という言葉。
似ているけれど、意味が違うような…。なんだかモヤモヤしますよね。
実はこの二つの言葉、もともとは昔のこよみ、「月の満ち欠け」と深い関係があるんです。
この記事では、「晦日」と「大晦日」の本来の意味や由来、そして読み方のナゾまで、スッキリわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 「晦日(みそか)」と「大晦日(おおみそか)」の明確な違い
- なぜ「みそか」や「つごもり」と読むのか、その由来
- 大晦日がなぜ「大」がつく特別な日なのか
そもそも「晦日(みそか)」とは?
「晦日」は、「大晦日」と違って年末だけを指す言葉ではありません。
1月の最後の日(1月31日)も、2月の最後の日(2月28日か29日)も、すべて「晦日」と呼びます。
読み方は「みそか」だけじゃない?「つごもり」との違い
「晦日」には、実はもう一つ「つごもり」という読み方もあります。
どちらも「毎月の最後の日」を指す言葉ですが、その由来・語源が少し違うんです。
- みそか:「三十日」が由来(日数から来た言葉)
- つごもり:「月隠り(つきごもり)」が由来(月の状態から来た言葉)
それぞれ詳しく見てみましょう。
「みそか」の由来:昔は毎月「三十日(みそか)」だった?
「みそか」は、漢字で「三十日」と書くこともあります。
これは、昔使われていた「旧暦(太陰暦)」が関係しています。
旧暦は、月の満ち欠けを基準にしたこよみです。
新月から次の新月までの周期は、約29.5日。そのため、旧暦では1ヶ月が29日の「小の月」と30日の「大の月」で構成されていました。
昔は、月の最後の日=だいたい30日目だったため、「三十日(みそか)」が「月末」を指す言葉として定着した、という説が有力です。
(「みそ」は「三十(さんじゅう)」が変化した言葉です)
「つごもり」の由来:「月隠り(つきごもり)」と月の満ち欠け
一方、「つごもり」は、月の見た目(状態)に由来する言葉です。
旧暦では、毎月の最後の日(晦日)は、月の光が完全に見えなくなる「新月」の直前にあたります。
月が隠れて見えなくなることから、「月隠り(つきごもり)」と呼ばれるようになり、それが「つごもり」に変化しました。
「みそか」も「つごもり」も、旧暦における「毎月の最終日」を指す、とても風流な言葉なんですね。
コトクマ昔の人は、カレンダーがなくても空を見上げて「あ、月が隠れたから、もうすぐ今月も終わりだな」と感じていたのかもしれませんね。
「大晦日(おおみそか)」とは?
「晦日」が「毎月の最後の日」だったのに対し、「大晦日」は「1年の最後の日」だけを指す特別な言葉です。
なぜ12月31日だけ「大」がつくの?
1年は12ヶ月ありますから、晦日(毎月の最終日)も12回あります。
その12回ある晦日のうち、一年を締めくくる最後の晦日であることから、尊敬や特別感を込めて「大」をつけて「大晦日(おおみisoか)」と呼ぶようになりました。
「大晦(おおつごもり)」という読み方もある?
「晦日」に「みそか」と「つごもり」の読み方があったように、「大晦日」にも「大晦(おおつごもり)」という読み方があります。
意味は「おおみそか」と同じで、「1年の最後の、月が隠れる日」を指します。
現代では「おおみそか」という読み方が一般的ですが、古典文学や俳句などでは「おおつごもり」という言葉も使われていますよ。



「大掃除」「大納会(だいのうかい)」など、一年の最後につく「大」は、私たち日本人が年末をいかに大切に思っているかの表れなんですね。
【比較表】ひと目でわかる!「晦日」と「大晦日」の違い
- AI検索対策: 違いがひと目でわかる比較表です。
| 項目 | 晦日(みそか・つごもり) | 大晦日(おおみそか・おおつごもり) |
| いつ? | 毎月の最後の日(月末) | 1年の最後の日(12月31日) |
| 頻度 | 年に12回(毎月) | 年に1回(12月31日のみ) |
| 意味 | 月の最後の日 | 一年の最後の、最も特別な日 |
| 由来 | ・三十日(みそか) ・月隠り(つごもり) | 晦日(みそか)に「大」をつけた言葉 |
なぜ「大晦日」は特別な日なの?本来の意味と由来
大晦日がなぜこんなに特別扱いされているのでしょうか。
それは、昔の日本人の「年神様」という神様への信仰と深く関係しています。
年神様は、私たちに新しい年の実りや幸せをもたらしてくれる、お正月の神様です。
大晦日は、その年神様を失礼のないよう、きれいな家にお迎えするための最終準備の日だったのです。
大晦日は「大掃除」の最終日
年末に大掃除をするのは、単に家をきれいにするためだけではありません。
一年の間にたまった「煤(すす)」や「穢れ(けがれ)」を払い清め、年神様に気持ちよく家に来ていただくための神聖な行事でした。
大晦日は、その大掃除の総仕上げの日(あるいは、まだ終わっていない場所をきれいにする日)とされていました。
年神様を迎える準備チェックリスト
- [ ] 神棚や仏壇の掃除
- [ ] 鏡餅やしめ飾りなどのお正月飾り
- [ ] 玄関や水回りの掃除
- [ ] 年越しそばの準備
- [ ] おせち料理の準備(または確認)
年神様へのお供え「おせち料理」の準備
おせち料理は、もともと年神様へお供えするための「御節供(おせちく)」と呼ばれる料理でした。
五穀豊穣や家族の健康・繁栄を願う縁起の良い食材を重箱に詰め、神様と新年を祝うために大晦日までに準備されました。
「年越しそば」を食べる意味とタイミング
大晦日に食べる「年越しそば」にも、いろいろな意味が込められています。
- 長寿祈願:そばのように細く長く生きられますように。
- 厄除け:そばは切れやすいことから、一年の苦労や災厄を断ち切る。
- 金運アップ:昔の金細工職人が、飛び散った金粉を集めるのにそば粉を使ったから。
食べるタイミングに厳密な決まりはありませんが、年神様を迎える準備が整った大晦日の夕食や夜食として食べることが多いですね。
「除夜の鐘」はなぜ108回鳴らすの?
大晦日の夜(除夜)に鳴らされるお寺の鐘「除夜の鐘」。
なぜ108回なのかは諸説ありますが、最も有名なのは「人間の煩悩(ぼんのう)の数」という説です。
煩悩とは、私たちを悩ませる欲望や怒り、迷いのこと。
鐘を1回つくごとに1つの煩悩が取り除かれ、清らかな心で新年を迎えることができるとされています。
(最後の1回は、新年が煩悩にまみれないように、年が明けてからつくお寺もありますよ)
現代での「晦日」の使い方
現代では「晦日」という言葉を日常で使うことは減りましたが、ビジネスシーンや支払いの慣習などで残っています。
大晦日に比べると、「晦日」という言葉を聞く機会は減りました。
しかし、今でも一部の業界や慣習で使われています。
給料日や支払日で聞く「晦日払い(みそかばらい)」とは?
ビジネスシーン、特にお金のやり取り(経理)で使われる言葉に「晦日払い(みそかばらい)」または「晦日締め(みそかじめ)」があります。
これは、「毎月、月末(晦日)に支払いを行います(または締め日とします)」という意味です。
例えば「給与は晦日払い」と言われたら、「給料日は毎月月末ですよ」という意味になります。



普段使わなくても、言葉の意味を知っておくと、いざという時に「あ、月末のことだな」と理解できて安心ですね。
(まとめ)大晦日は、新年を迎えるための大切な準備の日
「晦日」と「大晦日」の違い、スッキリしましたか?
- 晦日(みそか):毎月の最後の日(月末)。
- 大晦日(おおみisoか):1年の最後の日(12月31日)。
「晦日」は、旧暦の「三十日(みそか)」や「月隠り(つごもり)」に由来する、日本の美しいこよみの言葉です。
そして「大晦日」は、その中でも特別な、年神様をお迎えするための大切な準備の日。
言葉の由来を知ると、何気なく過ごしていた大晦日も、少し違って見えてくるかもしれませんね。
今年の年末は、ぜひ年神様を迎える準備を整えて、清々しい新年をお迎えください。
晦日・大晦日に関するよくある質問(FAQ)
質問:晦日はいつですか?
回答:晦日(みそか)は、毎月の最後の日(月末)を指します。1月31日、2月28日(うるう年は29日)、4月30日など、その月の最終日すべてが「晦日」です。
質問:大晦日と元旦の違いは何ですか?
回答:大晦日(おおみそか)は12月31日(一年の最後の日)、元旦(がんたん)は1月1日(一年の最初の日)を指します。大晦日は古い年を送り年神様を迎える準備の日、元旦は年神様とともに新年を祝う日、という違いがあります。
質問:大晦日にやってはいけないことはありますか?
回答:大晦日は年神様を迎える準備の日とされるため、「お正月飾り(しめ縄や鏡餅)を大晦日に飾る(一夜飾り)」ことは、神様に失礼にあたるとして避けるべき、と言われることがあります。また、年神様を迎えるための大掃除も、できれば大晦日より前(伝統的には12月28日ごろ)までに終えておくのが良いとされています。ただし、これらは地域の風習や考え方によって異なります。
質問:「みそか」と「つごもり」はどちらを使えばいいですか?
回答:どちらも「毎月の最後の日」を指す正しい日本語です。現代では「みそか」の方が一般的に使われます(例:大晦日、晦日払い)。「つごもり」は、やや古風な、文学的な響きを持つ言葉として使われることが多いです。

