会社宛のお歳暮マナー【法人・個人別】宛名・相場・添え状例文

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会社宛てのお歳暮のマナー

年末が近づくと、お世話になった会社(取引先)へのお歳暮を考え始めますよね。

「今年もお世話になりました」という感謝の気持ちを伝えたいけれど、

  • 「会社宛の場合、宛名は『御中』でいいんだっけ?」
  • 「社長宛に送るべき? それとも部署宛?」
  • 「添え状(送り状)って、どんな文章を書けばいいんだろう…」

特に法人(会社)が相手となると、個人宛とは違うマナーが求められるため、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

また、最近は「虚礼廃止(ぎょれいはいし)」といって、儀礼的な贈り物を辞退する会社も増えています。 せっかくの感謝の気持ちが、かえって相手の負担になってしまっては悲しいですよね。

この記事では、編集者・ライターとして多くのビジネス文書やマナーに触れてきた経験から、会社宛のお歳暮に関する基本マナーを「中学生にもわかるように」丁寧に解説します。

「法人(自社)から取引先へ送るケース」と「個人からお世話になった会社へ送るケース」に分けて、具体的な宛名の書き方や添え状の例文もご紹介します。

この記事でわかること

  • 会社宛のお歳暮の基本的なマナー(時期、相場、品物)
  • 【ケース別】宛名の正しい書き方(社長宛、部署宛など)
  • 【例文あり】「法人から」と「個人から」送る場合の添え状の書き方
目次

お歳暮を会社に送る前に!知っておきたい基本マナー

会社宛のお歳暮は、個人宛とは少し異なる配慮が必要です。まずは基本的なマナーと、最近の傾向について押さえておきましょう。

そもそも会社宛のお歳暮は送るべき?近年の傾向

近年、コンプライアンス(法令順守)や経費削減の観点から、「虚礼廃止」としてお歳暮やお中元を全面的に辞退する会社が増えています。

「送るのが当たり前」ではなく、「相手の会社は受け取ってもらえるか?」をまず考えることが大切です。

  • 毎年やり取りしているか?
  • 相手の会社の方針(公式サイトなどに記載がないか)は?
  • 一方的に送ることで、相手(担当者)に「お返し」などの手間をかけてしまわないか?

これらを考慮し、送るかどうかを判断しましょう。無理に送る必要はありませんが、感謝を伝えたい場合は、マナーを守って送ることで、より良い関係性につながります。

お歳暮を送る時期はいつ?

お歳暮を送る時期は、地域によって少し異なります。

  • 関東地方: 12月初旬(1日頃)~12月20日頃
  • 関西地方: 12月13日(事始め)~12月20日頃

一般的には、12月20日頃までに届くように手配するのがベストです。 年末ギリギリ(クリスマス以降)になると、相手の会社が年末年始の休暇に入っていたり、業務が立て込んでいたりするため、避けるのがマナーです。

もし遅れてしまった場合は、年明けの「松の内(一般的に1月7日まで、関西では15日までの地域も)」が明けてから、「寒中御見舞(かんちゅうおみまい)」として送ります。

会社宛の相場はいくら?

会社宛のお歳暮の相場は、相手との関係性によって変わります。

  • 一般的な取引先(法人の場合): 5,000円~10,000円程度
  • 特にお世話になっている取引先の場合: 10,000円~30,000円程度
  • 個人から会社へ送る場合(元職場など): 3,000円~5,000円程度

高すぎるとかえって相手に気を遣わせてしまうため、相場の範囲内で選びましょう。 大切なのは金額よりも感謝の気持ちです。

【ポイント】送る前に確認!お歳暮辞退の会社も

前述の通り、お歳暮を辞退する会社が増えています。 せっかく送ったのに受け取ってもらえなかったり、返送の手間をかけさせたりしないよう、事前に確認できると安心です。

【確認方法の例】

  • 相手の会社のホームページを見る: 「お知らせ」や「CSR(企業の社会的責任)」のページに、「お中元・お歳暮等ご辞退のお知らせ」といった案内が掲載されていることがあります。
  • 日頃やり取りしている担当者に、さりげなく聞いてみる: 年末の挨拶などのタイミングで、「皆様でお歳暮などはどうされていますか?」と軽く尋ねてみるのも一つの方法です。
コトクマ

もし辞退された場合は、その意向を尊重しましょう。お歳暮という「モノ」でなくても、年賀状やメールなどで「今年一年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします」と感謝の言葉を伝えるだけで、気持ちは十分に伝わりますよ。

【ケース別】会社宛のお歳暮、宛名の書き方(のし・送り状)

会社宛のお歳暮で、一番迷うのが「宛名」の書き方ではないでしょうか。 ここでは「のし(熨斗)」や「送り状(宅急便の伝票)」に書く宛名について、ケース別に解説します。

宛名の基本:株式会社は(株)と略さない

大前提として、会社名は正式名称で書きます。 「(株)」「(有)」などの略字は失礼にあたるため、必ず「株式会社」「有限会社」と書きましょう。

ケース1:会社全体に送る場合(「御中」の使い方)

会社全体、あるいは特定の部署全体に送る場合、個人名がわからないときは「御中(おんちゅう)」を使います。

  • 例1(会社全体): 株式会社〇〇 営業部 御中
  • 例2(部署全体): 株式会社〇〇 人事部 採用ご担当者 (※「御中」と「様」は併用しません。「ご担当者」まで書くなら「様」を使います)

ケース2:社長(代表者)宛に送る場合

会社の代表者(社長やCEO)個人に送る場合は、役職と氏名を書きます。 「様」は氏名の後につけます。

  • 例: 株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇

ポイント: 役職名は氏名の上に、少し小さめに書くとバランスが良いです。

ケース3:特定の部署宛に送る場合

特定の部署に送りたい場合は、ケース1と同様に「御中」を使います。

  • 例: 株式会社〇〇 経理部 御中

ケース4:部署内の特定の人(部長など)に送る場合

部署に所属する特定の個人に送る場合は、部署名、役職、氏名の順に書きます。

  • 例: 株式会社〇〇 営業部 部長 〇〇 〇〇

ケース5:複数名宛(連名)にしたい場合

基本的には、部署宛(御中)や代表者宛にするのが一般的です。 もし部署内の複数名(例:担当者2名)に送りたい場合は、連名にすることもありますが、送り状のスペースには限りがあるため、代表者1名の氏名を書き、添え状(送り状)で「皆様で」と伝えるのがスマートです。

コトクマ

迷ったときは、「会社全体(〇〇株式会社 御中)」または「部署全体(〇〇部 御中)」にしておけば、失礼にはあたりません。社内で適切に振り分けてもらえますよ。

【パターン別】会社宛お歳暮の品物選びと添え状(送り状)

ここでは、「法人から」送る場合と「個人から」送る場合の2パターンに分けて、おすすめの品物と添え状(送り状)の例文をご紹介します。

会社宛のお歳暮に「何を」選ぶ?

会社宛の場合、個人宛とは違う視点で選ぶ必要があります。

  • ポイント1:みんなで分けやすい「個包装」 クッキー、おせんべい、チョコレートなど、一つひとつ包装されていて、大勢で分けやすいものが喜ばれます。
  • ポイント2:日持ちするものを選ぶ 年末年始の休暇を挟むため、賞味期限が短い生菓子や果物などは避けるのが無難です。
  • ポイント3:避けたほうが良い品物 ・刃物(縁が切れる) ・履物(踏みつける) ・重くてかさばるもの(持ち帰るのが大変) ・アルコール類(飲まない人や、社風に合わない場合がある)

(コラム)商品券やカタログギフトは失礼? 現金や商品券は「お金に困っている」という意味にも取られかねないため、目上の方や取引先には避けるのが一般的です。 カタログギフトも、選ぶ手間を相手にかけさせてしまうため、会社宛としては避けたほうが良いでしょう。

パターンA:「法人(自社)」から「取引先」へ送る場合

自社から取引先へ、日頃の感謝を込めて送るケースです。

  • おすすめの品物: 個包装の焼き菓子詰め合わせ、高級なコーヒー・紅茶のセット、有名店のおかきなど。
  • 相場: 5,000円~10,000円程度
  • 添え状(送り状)の役割: 品物と一緒に送る(または別送する)手紙のことです。日頃の感謝と、来年への変わらぬお付き合いをお願いする気持ちを伝えます。

【例文】法人から送る場合の添え状

件名:お歳暮の御挨拶(株式会社コトバノモリ)

株式会社〇〇 営業部 〇〇 〇〇 様

拝啓

師走の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、本年も残すところあとわずかとなりました。 〇〇様には、~(具体的なエピソードや感謝)~など、多大なるご尽力をいただき、心より感謝しております。

つきましては、日頃の感謝のしるしといたしまして、心ばかりの品を別送いたしました。ご笑納いただければ幸いに存じます。

寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。 略儀ながら書中をもちまして、歳末のご挨拶とさせていただきます。

明年も変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

令和〇年十二月〇日

株式会社コトバノモリ (自社の住所・電話番号) (自分の氏名)

パターンB:「個人」から「お世話になった会社(元職場など)」へ送る場合

退職した後も、お世話になった元職場や、個人的にお付き合いのある会社へ送るケースです。

  • おすすめの品物: パターンAと同様、個包装で分けやすいもの。
  • 相場: 3,000円~5,000円程度
  • 添え状: 法人からのものより、少しパーソナルな(個人的な)感謝の気持ちを込めても良いでしょう。

【例文】個人から送る場合の添え状

株式会社〇〇 〇〇部 御中 (または 部長 〇〇 〇〇 様)

拝啓

師走の候、皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと存じます。 在職中は、公私にわたり温かいご指導をいただき、誠にありがとうございました。

(ここで、近況報告や会社への感謝を簡潔に) 例:皆様のおかげで、私も新しい環境で元気に過ごしております。

つきましては、皆様への感謝の気持ちを込めまして、心ばかりの品をお送りいたしました。皆様でお召し上がり(お使い)いただければ幸いです。

年末ご多忙の折ではございますが、どうぞご自愛くださいませ。 皆様の益々のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。

敬具

令和〇年十二月〇日

(自分の氏名・住所)

会社宛にお歳暮を送る際の手順と注意点

マナーや品物が決まったら、いよいよ発送(または持参)の準備です。 抜け漏れがないよう、チェックリストで確認しましょう。

【チェックリスト】お歳暮発送までの簡単ステップ

お歳暮を会社に送る際の手順を、5つのステップにまとめました。

  1. [ ] 辞退の意向がないか確認する (相手の会社のホームページや、担当者への確認)
  2. [ ] 送る相手(宛名)を決める (会社全体か、部署か、特定の個人か)
  3. [ ] 品物と予算を決める (個包装・日持ちするものを選ぶ)
  4. [ ] のし・添え状(送り状)を準備する (のしは「紅白蝶結び」、表書きは「御歳暮」)
  5. [ ] 適切な時期に発送する (12月20日頃までに届くように手配する)

注意点1:持参する場合のマナー

取引先へ年末の挨拶を兼ねて、お歳暮を持参する場合もあります。 その際は、以下の点に注意しましょう。

  • アポイントメントを取る: 必ず事前にアポイントメントを取ります。「年末のご挨拶」として訪問の約束をし、その際にお歳暮を持参する旨を伝えても良いでしょう。
  • 渡すタイミング: 応接室などに通され、挨拶がひと段落したタイミングで渡します。紙袋(風呂敷)から取り出し、相手から見て正面になるように向きを変えて渡しましょう。
  • 紙袋は持ち帰る: 渡した後の紙袋は、たたんで持ち帰るのがマナーです。

注意点2:送るのが遅れてしまった場合の対応

もし手配が遅れ、年内に届けるのが難しくなった場合は、無理に送らず、年明けに対応します。

  • 松の内(1月7日頃)まで: 「御年賀(おねんが)」として送ります。
  • 松の内が明けてから(立春まで): 「寒中御見舞(かんちゅうおみまい)」として送ります。
コトクマ

お歳暮は「時期」も大切なマナーの一つです。バタバタする年末ですが、リストアップと手配は早め(11月中)に始めておくと安心ですね。

会社宛のお歳暮「こんな時どうする?」Q&A

最後に、会社宛のお歳暮でよくある疑問・お悩みをQ&A形式でまとめました。

Q. 会社からお歳暮が届いたら、お返しは必要ですか?

A. 基本的に「お返し(返礼品)」は不要です。 お歳暮は日頃の感謝を伝えるものであり、お互いに送り合うことが前提ではありません。 ただし、受け取ったらできるだけ早く(3日以内を目安に)「お礼状」を出すのがマナーです。電話やメールで取り急ぎお礼を伝え、後日改めて書状(お礼状)を送ると、より丁寧です。

Q. お歳暮ではなく、お中元だけ送るのはダメですか?

A. どちらか一方だけなら「お歳暮」を送るのが一般的です。 お中元は「半年間の感謝」、お歳暮は「一年間の感謝」という意味合いがあります。そのため、一年の締めくくりであるお歳暮のほうが、より重要視される傾向にあります。

Q. 会社(取引先)の慶事(上場や移転)とお歳暮が重なったら?

A. お歳暮とは別に「お祝い」を贈るのが正式なマナーです。 お歳暮はあくまで「感謝」を伝えるもの、お祝いは「おめでたい出来事」を祝うものです。 もし両方を贈るのが負担な場合は、お祝いを優先し、お歳暮の添え状で「お祝いの言葉」と「感謝の言葉」の両方を伝えても良いでしょう。

Q. 送り状(添え状)は、品物と別送するべきですか?

A. 本来は、品物が届くよりも「先に」添え状(送り状)が届くのが最も丁寧です。 「近々、このような品物をお送りします」という事前のお知らせになるからです。 しかし最近では、配送の手配と同時に、品物に添え状を同梱するケースも増えています。百貨店などから直送する場合は、添え状(メッセージカード)を同梱できるサービスを利用しましょう。

まとめ(会社宛のお歳暮は「相手への配慮」が一番大切です)

会社宛のお歳暮について、基本マナーから具体的な例文まで解説しました。

複雑に見える会社宛のマナーですが、一番大切なのは「相手の会社(担当者)に、余計な手間や気を遣わせない」という配慮の心です。

  • 送る前に「辞退していないか」を確認する。
  • 相手が分けやすい「個包装」で「日持ちする」品物を選ぶ。
  • 宛名を間違えず、適切な時期に送る。

これらのポイントを押さえて、一年間の感謝の気持ちをスマートに伝えてみてください。 この記事が、あなたの「伝える」お手伝いになれば幸いです。

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