「お歳暮の季節だけど、送り状やお礼状をメールで済ませても失礼じゃないかな?」 「取引先にメールを送りたいけど、どんな件名や文章にすればいいんだろう…」 「お礼のメールをもらったけど、返信は必要?」
師走の忙しい時期、お歳暮の手配や連絡もスマートに済ませたいですよね。 一昔前は手紙やはがきが当然でしたが、今ではビジネスシーンでもメールでの連絡は一般的になりつつあります。
とはいえ、感謝を伝える大切なお歳暮の連絡。マナー違反になって相手を不快にさせてしまっては本末転倒です。
この記事では、言葉のマナーを解説する「コトバノモリ」が、お歳暮に関するメールの「失礼にならない」マナーと、すぐに使える例文を、送るシーン別に徹底解説します。
この記事でわかること
- お歳暮の連絡をメールで送ることが失礼にあたるかどうかの判断基準
- シーン別(送付・お礼・返信・辞退)の基本構成とマナー
- 相手別(取引先・上司・親戚・友人)にそのまま使える例文集
そもそも、お歳暮の連絡をメールで送るのは失礼?
お歳暮の連絡をメールで送ることに、少しうしろめたさを感じる方もいるかもしれませんね。まず、基本的なマナーと考え方をおさえておきましょう。
この章のポイントは、「メール=失礼」ではなく、相手や状況によるということです。本来の形を知ったうえで、メールが許されるケースと、メールで送る際の必須マナーを解説します。
基本マナー:本来は「送り状」や「お礼状」が最も丁寧
まず知っておきたいのは、お歳暮のやり取りにおける最も丁寧な方法は、品物とは別に「送り状(送付状)」や「お礼状」を封書やはがきで送ることです。
特に、厳格なマナーを重んじる目上の方や、大切な取引先に対しては、この伝統的な形が今でも好まれます。
品物だけを送るのは「片手落ち」とされ、失礼にあたることも。まずは感謝の気持ちを正式に伝える、日本の美しい文化を理解しておくことが大切ですね。
メールが許容されるケースとは?
では、メールは絶対NGなのでしょうか? そんなことはありません。現代では、以下のようなケースでは、メールでの連絡も一般的に許容されています。
- 取り急ぎの連絡として(お礼など)
- 品物が届いたことを「まずはいち早く」伝えるお礼の連絡。
- この場合、後から正式なお礼状を送るとさらに丁寧です。
- 相手もメールでのやり取りを主としている場合
- 日頃からメールで密にコミュニケーションを取っている取引先や上司。
- 親しい間柄の場合
- 友人、親戚、同僚など、堅苦しい挨拶を抜きにできる相手。
- 相手の負担を減らしたい場合
- 「お礼状は不要です」と事前に言われている場合や、相手が多忙なことがわかっている場合。
メールで送る場合の「失礼にならない」5つの必須マナー
メールで送ると決めた場合でも、押さえておくべき「配慮」があります。これを守らないと、いくら親しい仲でも「常識がない」と思われてしまうかもしれません。
- 件名だけで「お歳暮」と「用件」がわかるようにする
- (例:お歳暮の御礼(株式会社〇〇) / お歳暮発送のお知らせ(〇〇より))
- 忙しい相手が他のメールに埋もれさせないための配慮です。
- 送るタイミングを逃さない
- 送付連絡:品物の発送と同時、または直前に送ります。
- お礼:品物を受け取ったら、当日中。遅くとも翌日までには送りましょう。
- 「略儀ながら」の一言を添える
- 「本来は直接(または書面で)お伝えすべきところを、メールという簡単な形で失礼します」という意味のクッション言葉を必ず入れましょう。
- 時候の挨拶を忘れずに
- 「師走の候、貴社におかれましては〜」「寒さ厳しき折、皆様いかがお過ごしですか」といった季節感のある挨拶は、メールでも大切です。
- 送信相手(To/Cc/Bcc)を間違えない
- 特に取引先に送る際は、担当者様(To)と、その上司の方(Cc)など、送り先に細心の注意を払いましょう。
コトクマ大切なのは「相手との関係性」と「感謝の気持ち」です。メールだから失礼、手紙だから丁寧、と一律に決まるわけではありません。相手がどう感じるかを想像することが一番のマナーですよ。
【シーン別】お歳暮メールの基本構成(書き方の型)
お歳暮メールには、シーンごとに基本となる「型」があります。この型さえ押さえれば、大きくマナーを外すことはありません。
まずは、メール作成時の基本チェックリストを確認しましょう。
お歳暮メール作成の基本チェックリスト
- 件名:用件(お歳暮の〇〇)と差出人名(会社名・氏名)
- 宛名:会社名、部署名、役職、氏名(様)
- 挨拶:時候の挨拶(師走の候、など)と、日頃の感謝
- 本題:「お歳暮を送ったこと」または「受け取ったこと」
- 結び:相手の健康や繁栄を祈る言葉、来年への挨拶
- 結語:「略儀ながらメールにて失礼いたします」というお詫び
- 署名:会社名、氏名、連絡先
この7つの要素を、送るシーンに合わせて組み立てていきましょう。
【シーン1:送付連絡】お歳暮を送る時のメール例文(送り状の代わり)
品物だけをいきなり送るのではなく、「今から送ります」という連絡(送り状)をメールで送る場合の例文です。
この章のポイントは、品物が届く前に相手の元へ届くように送ることです。いつ頃届くのか(発送日や到着予定日)を明記すると、相手も受け取りやすくなります。
1. 取引先(社外)向け
丁寧さを最優先し、日頃の感謝を伝えます。
件名:お歳暮の品発送のお知らせ(株式会社コトバノモリ)
株式会社〇〇
営業部 〇〇 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社コトバノモリの〇〇(自分の名前)でございます。
師走の候、貴社におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
本年も一方ならぬご尽力を賜り、誠にありがとうございました。
つきましては、日頃の感謝のしるしといたしまして、
心ばかりの品を別送いたしました。
本日〇月〇日発送(〇日到着予定)でございます。
ご笑納いただければ幸いに存じます。
寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
略儀ながらメールにて、歳末のご挨拶とさせていただきます。
引き続き、〇〇(来年)も変わらぬご愛顧のほど、
何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
2. 上司(社内)向け
社内とはいえ、礼儀は忘れずに。会社の慣習にもよりますが、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
件名:お歳暮の発送につきまして(営業部 〇〇)
〇〇部長
お疲れ様です。営業部の〇〇です。
本年も一年間、温かいご指導をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇部長には公私にわたりお力添えをいただき、心より感謝しております。
つきましては、日頃の感謝を込めまして、
心ばかりの品を本日発送いたしました。
ご笑納いただければ幸いです。
年末ご多忙の折ではございますが、どうぞご自愛くださいませ。
略儀ながらメールにて失礼いたします。
来年も引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
(署名)
3. 親戚・友人向け
少し柔らかい表現で、到着日などを伝えると親切です。
件名:お歳暮を送りました(〇〇より)
〇〇(おじ様・おば様など / 〇〇さん)
寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今年も一年、本当にお世話になりました。
日頃の感謝を込めて、心ばかりの品を送りました。
(本日発送したので、〇日頃に届くと思います)
皆様でお召し上がり(お使い)いただけたら嬉しいです。
忙しい年末ですが、どうぞご無理なさらないように。
良いお年をお迎えください。
(署名)



送付連絡は「今から送ります」というお知らせであると同時に、「今年一年ありがとうございました」という感謝を先に伝える大切な挨拶です。品物より先に「気持ち」を届けましょう。
【シーン2:お礼】お歳暮を受け取った時のメール例文
お歳暮メールの中で、最も検索ニーズが高く、重要なシーンです。
この章のポイントは、品物を受け取ったら、できるだけ早く(当日〜翌日)送ることです。感謝の気持ちが冷めないうちに、スピーディーに連絡するのが最大の誠意です。
1. 取引先(社外)向け
感謝の気持ちと、品物を受け取った具体的な感想(「社員一同で喜んでおります」「いつもお心遣いいただき恐縮です」など)を一言添えると喜ばれます。
件名:お歳暮の御礼(株式会社コトバノモリ)
株式会社〇〇
営業部 〇〇 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社コトバノモリの〇〇でございます。
本日、貴社より結構なお歳暮の品を拝受いたしました。
皆様の温かいお心遣いに、心より感謝申し上げます。
(※可能なら:〇〇(品物)は社員一同大好きで、皆で大変喜んでおります。)
師走ご多忙の折ではございますが、
皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
略儀ながらメールにて、御礼かたがたご挨拶申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
(署名)
2. 上司(社内)向け
感謝に加え、今後の指導をお願いする言葉などを添えます。
件名:お歳暮の御礼(〇〇(自分の名前))
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇です。
この度は、ご丁寧にお歳暮の品をお送りいただき、誠にありがとうございました。
(※可能なら:家族(妻/夫)も大変喜んでおりました。)
いつも細やかなお心遣いをいただき、恐縮しております。
本年も〇〇部長には大変お世話になりました。
来年も引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
略儀ながらメールにて、取り急ぎ御礼申し上げます。
(署名)
3. 親戚・友人向け
堅苦しい挨拶(拝啓・敬具など)は不要ですが、感謝の気持ちはしっかり伝えましょう。品物の感想を具体的に書くと喜ばれます。
件名:お歳暮ありがとうございました!(〇〇より)
〇〇さん
今日、素敵なお歳暮が届きました!
(※具体的に:美味しそうな〇〇(品物)をありがとう!)
家族みんなで喜んでいます。
いつも気にかけてくれて、本当にありがとう。
忙しい年末ですが、体に気をつけて。
来年もどうぞよろしくお願いします!
良いお年を。
(署名)



お礼は「スピードが命」です。受け取ったその日に「無事届きました、ありがとうございます!」と伝えることで、送った相手も安心します。具体的な感想を一言添えると、喜びも倍増しますよ。
【シーン3:返信】お礼メールをもらった時のメール例文
これは意外と見落としがちなシーン。「お歳暮届きました、ありがとう」というお礼メールをもらった側(=送った側)の返信です。
この章のポイントは、返信は必須ではないが、送るとより丁寧だということです。特に取引先や目上の方からお礼メールが来たら、「メール確認しました」という意味も込めて返信するのがビジネスマナーとして無難です。
1. 取引先・上司向け
「ご丁寧に恐れ入ります」という謙虚な姿勢で返信します。
件名:Re: お歳暮の御礼(株式会社コトバノモリ)
株式会社〇〇
営業部 〇〇 〇〇様
お世話になっております。
株式会社コトバノモリの〇〇です。
この度は、ご丁寧にご連絡をいただき、恐れ入ります。
(※もし感想が書かれていたら:皆様にお喜びいただけたようで、何よりでございます。)
心ばかりの品でございますので、どうぞご笑納くださいませ。
取り急ぎ、メール拝読の御礼まで申し上げます。
引き続きよろしくお願いいたします。
(署名)
2. 親戚・友人向け
「無事届いてよかった!」「喜んでもらえて嬉しい」と素直な気持ちを伝えます。
件名:Re: お歳暮ありがとうございました!
〇〇さん
ご連絡ありがとう!
無事に届いてよかったです。
喜んでもらえて(気に入ってもらえて)嬉しいです。
こちらこそ、来年もよろしくお願いします!
(署名)



お礼への返信は、ラリーを終わらせる意味もあります。「ご丁寧にありがとうございます。今後ともよろしく」と簡潔に締めくくるのがスマートです。
【シーン4:辞退】お歳暮を断りたい時のメール例文
「会社(個人)の方針で、今後は辞退したい…」という場合です。お礼を言いつつも、角が立たないように「今後のご配慮は不要です」と丁寧にお断りする必要があります。
- 注意点:メールで辞退を伝えるのは、すでにある程度の関係性がある相手(毎年メールでやり取りしているなど)に留めるのが無難です。重要な取引先や目上の方には、電話や正式な書面で伝えることをおすすめします。
1. 取引先(会社として辞退する)向け
「コンプライアンス(法令遵守)のため」など、会社の規定を理由にすると角が立ちにくいです。品物を受け取った後のお礼メールの中で、今後に触れる形で伝えます。
件名:お歳暮の御礼(株式会社コトバノモリ)
株式会社〇〇
営業部 〇〇 〇〇様
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社コトバノモリの〇〇でございます。
この度は、結構なお品を拝受し、誠にありがとうございました。
皆様のお心遣いに心より感謝申し上げます。
さて、誠に恐縮ではございますが、
弊社ではコンプライアンスの観点から、
皆様からのお心遣いを辞退させていただく方針となりました。
つきましては、〇〇様(貴社)の温かいお気持ちは
大変ありがたく拝受いたしますが、
今後はこのようなお気遣いはなさいませんよう、
何卒お願い申し上げます。
誠に勝手なお願いではございますが、
事情をご賢察いただけますと幸いです。
略儀ながらメールにて、御礼かたがたお願い申し上げます。
今後とも変わらぬご高配を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
(署名)
2. 個人(親戚・上司など)向け
相手の厚意に深く感謝しつつ、「今後はどうぞお気遣いなく」と柔らかく伝えます。こちらも、お礼とセットで伝えるのがスムーズです。
件名:お歳暮の御礼(〇〇(自分の名前))
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇です。
この度は、ご丁寧なお品を頂戴し、誠にありがとうございました。
(※お礼の言葉)
ところで、誠に申し上げにくいのですが、
今後はどうぞこのようなお気遣いはなさらないでください。
〇〇部長のお気持ちだけで十分ありがたく頂戴しております。
これからも変わらずご指導いただけますと幸いです。
勝手なお願いで恐縮ですが、
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
略儀ながらメールにて、御礼かたがたお願い申し上げます。
(署名)



辞退を伝えるのは勇気がいりますよね。大切なのは「あなたの厚意は嬉しいです」という感謝をしっかり伝えた上で、「でも、事情があって今後は…」と丁寧にお願いすることです。
お歳暮メールに関するよくある質問(FAQ)
お歳暮メールに関して、読者の皆様からよくいただく質問をまとめました。
Q1. お歳暮メールの件名は、どうすればいいですか?
A1. 「お歳暮の御礼(株式会社〇〇)」「お歳暮発送のお知らせ(氏名)」のように、【用件】と【差出人】がひと目でわかるようにするのがベストです。忙しい相手が他のメールに埋もれないようにする配慮です。
Q2. お歳暮のお礼メールは、いつまでに送ればいいですか?
A2. 品物を受け取ったら、できるだけ早く送るのがマナーです。当日中、または遅くとも翌日中には送りましょう。万が一遅れた場合は、「ご連絡が遅くなり申し訳ありません」と一言お詫びを添えましょう。
Q3. お礼メールに「お返しは不要です」と書いてもいいですか?
A3. お礼メールの段階で「お返しは不要」と書くのは、相手が「お返しをすべきか?」と考えている前提になってしまうため、あまり適切ではありません。相手に余計な気を遣わせないよう、この表現は避けるのが無難です。
Q4. お歳暮の送り状をメールで送る場合、いつ送ればいいですか?
A4. 「送り状」の役割ですので、品物を発送する直前、または発送と同時に送りましょう。品物よりも先にメールが届くようにするのが理想です。
Q5. 会社宛ての場合、宛名は「御中」ですか?「様」ですか?
A5. 会社や部署全体に送る場合は「〇〇株式会社 御中」ですが、お歳暮の連絡は特定の担当者(窓口の方や上司)に送るのが一般的です。その場合は「〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様」と、個人名を宛先にします。
まとめ
お歳暮の連絡をメールで送ることは、マナー違反ではありません。しかし、それは「相手との関係性」や「正しい型(マナー)」を守ってこそ。
せっかくの感謝の気持ちが、マナー一つで台無しになっては悲しいですよね。
お歳暮メールで大切な3つの心
- タイミング(お礼はすぐに!)
- 配慮の言葉(「略儀ながら」を忘れずに)
- 感謝の気持ち(具体的な感想を一言)
この記事でご紹介した例文は、あくまで「型」です。 一番大切なのは、あなたの「今年一年ありがとうございました」「来年もよろしくお願いします」という素直な気持ち。
ぜひ、あなたの言葉を添えて、心のこもったメールを送ってみてくださいね。

