年末が近づくと考える「お歳暮」。
大切なあの人へ、一年の感謝を込めて品物を選ぶのは楽しい時間ですよね。
でも、
「品物だけ送るのは、なんだか味気ない気がする…」
「メッセージカードを添えたいけど、何を書けばいいの?」
「マナー違反になったらどうしよう?」
と、ペンが止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
たった一言でも、心のこもったメッセージが添えられているだけで、お歳暮はより特別な贈り物になります。
この記事では、言葉のプロである「コトバノモリライティング」が、お歳暮に添えるメッセージカードの書き方を、基本マナーから相手別の文例まで、中学生でもわかるように丁寧に解説します。
この記事でわかること
- 「メッセージカード」と「添え状(送り状)」の正しい使い分け
- 失敗しない、心の伝わるメッセージの基本構成とマナー
- ビジネス、親戚、友人など、相手別にそのまま使える文例集
- 手書きとPC(アプリ)、どちらで準備するのが良いか
この記事を読めば、あなたの「ありがとう」の気持ちがまっすぐ伝わる、素敵なメッセージカードが書けるようになりますよ。
お歳暮のメッセージカード、そもそも必要?「添え状」との違いは?
お歳暮に添える書面には、実は「メッセージカード」と「添え状(送り状)」の2種類があります。「どっちを使えばいいの?」と迷う方も多いですが、役割がまったく違います。
まずはそれぞれの役割とマナーの違いを知って、あなたが送る相手にどちらがふさわしいか、判断しましょう。
「メッセージカード」と「添え状」の役割の違い【早見表】
2つの違いを、わかりやすく表にまとめました。
| 項目 | メッセージカード | 添え状(送り状) |
| 目的 | 親しみを込めて感謝を伝える | 送付の挨拶と内容物の明記(丁寧・儀礼的) |
| 形式 | 比較的自由(ハガキ、二つ折りカードなど) | 便箋(白無地・縦書き)が基本 |
| 同封 | 品物と一緒(同封) が一般的 | 品物とは別(別送) が最も丁寧 |
| 適した相手 | 親戚、友人、親しい取引先 | 目上の方、改まったビジネス、別送する場合 |
| ポイント | 心のこもった一言が喜ばれる | 「拝啓」「敬具」など頭語・結語が必要 |
お歳暮に「添え状(送り状)」が必須なケースとは?
「添え状(送り状)」は、本来、品物よりも先に相手の手元に届くように「別送」するのが正式なマナーです。
- 「〇月〇日頃、〇〇(デパート名など)からお品物が届きます」
- 「心ばかりの品ですが、皆様でお受け取りください」
といった内容を、品物が届く前に知らせるためのものです。
特に、目上の方や大切な取引先へ送る場合、また**生もの(賞味期限が短いもの)**を送る場合は、相手が確実に受け取れるように、丁寧な「添え状」を別送するのが安心です。
結論:親しい相手なら「メッセージカード」で温かさをプラス!
「添え状」はとても丁寧ですが、少し堅苦しい印象もありますよね。
もし、あなたが送る相手が、気心の知れた親戚や友人、日頃から親しくしている取引先であれば、堅苦しい「添え状」よりも、温かみのある「メッセージカード」を品物に同封するほうが、気持ちが伝わって喜ばれるケースが多いです。
コトクマ難しく考えず、「添え状=丁寧な事前報告」「メッセージカード=品物に添える感謝の気持ち」と覚えておくと分かりやすいですよ。
失敗しない!お歳暮メッセージカードの基本マナーと構成
親しい相手へのカードとはいえ、お歳暮はフォーマルな贈り物。失礼にあたらないよう、最低限のマナーは守りたいものです。
ここでは、心の伝わるメッセージの「基本構成」と「3つの注意点」をご紹介します。
心が伝わるメッセージの基本構成(5ステップ)
基本はこの流れで書けば間違いありません。
- 【宛名】 「〇〇様」「〇〇様ご家族様」など(※ビジネスなら「〇〇株式会社 〇〇様」)
- 【挨拶】 時候の挨拶(「寒くなってまいりましたが」など)と、日頃の感謝(「いつもお世話になっております」など)
- 【本題】 お歳暮の品を送ったことを伝える(「心ばかりの品をお送りいたしました」など)
- 【結び】 相手の健康や活躍、家族の幸せを願う言葉(「皆様の健康を心よりお祈りしております」など)
- 【日付・署名】 送る日付(「令和〇年十二月吉日」など)と、自分の名前(会社名・氏名)
【要チェック】これだけは守りたい!3つのマナー
1. 忌み言葉(いみことば)は避ける
お祝い事や季節の挨拶では、縁起の悪い言葉は使いません。
例えば、「切れる」「失う」「終わる」「病む」「枯れる」などは、別の言葉に言い換えましょう。
2. 句読点(「、」や「。」)は使わない?
「え、句読点って使っちゃダメなの?」と驚かれるかもしれません。
古くからの習わしでは、「お祝い事には区切りをつけない」という意味を込めて、句読点を使わないのが正式なマナーとされてきました。特に、伝統を重んじる方や目上の方へ送る場合は、句読点を省く(またはスペースで代用する)のが無難です。
ただし、最近では「読みやすさ」を優先して、句読点を使うことも一般的になっています。親しい友人や家族宛てなら、神経質にならなくても大丈夫ですよ。
3. 宛名は「様」を忘れずに
基本的なことですが、宛名の「様」は絶対に忘れないようにしましょう。
連名の場合は、それぞれのお名前に「様」をつけます。
時期を逃したら?「寒中見舞い」としてのメッセージ
「忙しくてお歳暮の時期(12月13日~20日頃)を逃してしまった!」
そんな時は、年明けの「寒中見舞い」(1月7日~2月4日頃)として送ります。
その際のメッセージは、「お歳暮」という言葉は使わず、
「寒中お見舞い申し上げます。寒さ厳しき折、皆様いかがお過ごしでしょうか。」
といった書き出しに変えましょう。



句読点問題は悩みどころですよね。私の場合は、送る相手の「人柄」や「関係性」で使い分けています。迷ったら、使わない(スペースで対応する)のが一番安心です。
【相手別】そのまま使える!お歳暮メッセージカード文例集
ここからは、送る相手別に、そのまま使えるメッセージ文例をご紹介します。
「しっかり丁寧」な文例と、「親しみを込めて」の文例に分けていますので、あなたにぴったりのものを見つけてくださいね。
1. ビジネス・取引先向け(しっかり丁寧)
【文例1:日頃の感謝を伝える(基本)】
拝啓
師走の候、貴社におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
つきましては、日頃の感謝のしるしといたしまして、心ばかりの品を別送いたしました。
ご笑納いただければ幸いです。
寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
略儀ながら書中をもちまして、歳末のご挨拶とさせていただきます。
敬具
令和〇年十二月吉日
(自分の会社名・氏名)
(相手の会社名・氏名)
【文例2:今年特に協力してもらったお礼を伝える】
〇〇様
師走に入り、ご多忙の日々をお過ごしのことと存じます。
本年も〇〇様には、〇〇プロジェクトの件で多大なるお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。
ささやかではございますが、感謝の気持ちを込めてお品物をお送りいたしました。
来年も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。
令和〇年十二月
(自分の氏名)
2. 上司・目上の方・恩師向け(しっかり丁寧)
【文例3:健康を気遣う言葉を添える】
〇〇先生
寒い日が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
平素は公私にわたり温かいご指導をいただき、心より感謝しております。
日頃の感謝を込めまして、心ばかりの品をお送りいたしました。
年の瀬を迎えご多忙とは存じますが、どうぞご自愛くださいませ。
輝かしい新年を迎えられますよう、お祈り申し上げます。
令和〇年十二月
(自分の氏名)
3. 親戚・両親・義両親向け(親しみを込めて)
【文例4:家族の近況を報告する】
お父さん、お母さん(お義父様、お義母様)
寒い毎日ですが、お元気でお過ごしですか?
こちらは家族一同、元気に過ごしております。
(例:〇〇もすっかり大きくなり、毎日元気に走り回っています。)
いつも温かく見守ってくださり、本当にありがとうございます。
ささやかですが、感謝の気持ちを贈ります。
年末年始は寒くなるようですので、どうぞお体を大切に。
良いお年をお迎えください。
(自分の氏名)
4. 友人・知人向け(親しみを込めて)
【文例5:気軽に感謝を伝える】
〇〇さんへ
寒い日が続きますが、お元気ですか?
今年も一年、本当にお世話になりました!
日頃のありがとうを込めて、心ばかりの品を贈ります。
(例:〇〇さんが好きだと言っていた〇〇を選んでみました!)
忙しい年末ですが、体に気をつけて。
来年もどうぞよろしくお願いします!
(自分の氏名)
【一言添えたい時に】気の利いたフレーズ集
文例にプラスして、こんな一言を添えると、さらに気持ちが伝わります。
- 皆様でお召し上がりください
- お口に合いましたら幸いです
- ご家族皆様で、楽しいお正月をお迎えください
- お忙しい年の瀬ですが、どうぞご自愛ください
- 来年も(変わらぬ)お付き合いのほど、よろしくお願いいたします



文例はあくまで「土台」です。一番大切なのは、あなたの言葉で伝えること。
「今年は〇〇で助かりました」「あの時の一言が嬉しかったです」など、具体的なエピソードをたった一言添えるだけで、世界に一つだけのメッセージになりますよ。
手書き vs PC(アプリ)? メッセージカードの準備と作成術
「文面は決まったけど、カードはどうしよう?」
「やっぱり手書きじゃなきゃ失礼?」
と悩む方も多いですよね。
結論から言えば、大切なのは「心がこもっていること」 です。手書きにもPC作成にも、それぞれ良い点があります。自分に合った方法を選びましょう。
1. 「手書き」で温かみを伝える
- メリット: やはり手書きは、温かみや人柄が一番伝わります。心がこもっていると感じてもらいやすいです。
- デメリット: 手間がかかること、字に自信がないと少し恥ずかしいと感じてしまうことも。
- おすすめ: 万年筆や筆ペンを使うと、グッとフォーマルな印象になります。親しい友人なら、カラフルなペンを使っても楽しいですね。カードは、シンプルな無地や、季節感のある(雪の結晶、椿など)デザインがおすすめです。
2. 「PC(パソコン)」で美しく作成する
- メリット: 誰が読んでも読みやすい、美しいカードが作れます。デザインテンプレートを使えば、見栄えも良く、複数枚作成するのも簡単です。
- デメリット: どうしても画一的になりやすく、手書きに比べると「冷たい」印象を与えてしまう可能性も。
- ポイント: 全てをPCで完結させず、最後に「自分の名前」や「〇〇様へ」という宛名だけを手書きするのがおすすめです! たったそれだけで、温かみが格段にアップします。
3. 「スマホアプリ」で手軽におしゃれに
- メリット: デザインが豊富で、写真を入れるなど、おしゃれなカードが隙間時間で簡単に作れます。
- デメリット: デザインによってはカジュアルすぎるため、ビジネスや目上の方へ送るのには不向きな場合があります。
- ポイント: 親戚や友人など、ごく親しい間柄での使用に留めておくのが無難です。
4. どこで買う? メッセージカードの購入場所
- 文具店(ロフト、伊東屋など): デザインや紙質にこだわりたいなら。種類が豊富です。
- 100円ショップ: コストを抑えたい、シンプルなもので良いなら。十分な品質のものが揃っています。
- ネット通販: たくさんのデザインから選びたい、名入れサービスなどを利用したい場合に便利です。



私のおすすめは、「PCで本文を作成し、宛名と署名だけ手書きする」ハイブリッド方式です。
これなら、字に自信がなくてもキレイに仕上がりますし、手書きの一言があるだけで「あなたのために書きました」という気持ちがしっかり伝わりますよ。
お歳暮メッセージカードに関するよくある質問(FAQ)
お歳暮のメッセージカードについて、読者の方からよくいただく質問をまとめました。
- Q1. お歳暮のメッセージカードに、句読点(「、」や「。」)は使わない方がいいですか?
- A1. 伝統的には「お祝い事や季節の挨拶に区切りをつけない」という理由から、使わないのが正式なマナーとされています。特に目上の方や伝統を重んじる方へは、句読点を使わないか、スペースで代用するのが無難です。
- ただし、最近は読みやすさを優先して使うことも増えており、親しい間柄であれば使っても問題ありません。
- Q2. メッセージカードは、品物と一緒(同封)に送っても失礼になりませんか?
- A2. 問題ありません。親戚や友人、親しい取引先であれば、品物に「メッセージカード」を同封するほうが、気持ちが伝わりやすく喜ばれます。
- ただし、非常に格式を重んじる相手や、品物が届く前に到着を知らせたい場合は、品物とは別に「添え状(送り状)」を郵送するのが最も丁寧です。
- Q3. 会社(法人)として送る場合、メッセージカードの差出人名はどうすればいいですか?
- A3. 2つのパターンがあります。
- 「会社名+代表者(社長)名」:会社として公式に送る場合。
- 「会社名+代表者名+(担当者名)」:日頃やり取りをしている担当者からも一言添えたい場合。
- 日頃の窓口が担当者(あなた)であれば、代表者名のカードに加えて、あなた個人の名刺サイズの一言カード(「本年も大変お世話になりました。 担当:〇〇」など)を添えると、より丁寧です。
- A3. 2つのパターンがあります。
- Q4. メッセージカードを入れ忘れてしまいました。どうすればいいですか?
- A4. 品物が届く頃合いを見計らって、電話やメール、またはハガキ(寒中見舞い時期なら寒中見舞いとして)で、「先日お品物をお送りいたしましたが、ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」と、一言連絡を入れると丁寧です。品物だけが届くよりも、ずっと印象が良くなります。
- Q5. 相手が喪中の場合、お歳暮やメッセージカードはどうすればいいですか?
- A5. 相手が喪中(四十九日を過ぎていない忌中)の場合、お歳暮を送るのは避けるのがマナーです。
- 四十九日を過ぎていれば、「寒中見舞い」として、年明け(1月7日以降)に送ります。
- その際のメッセージカードでは、「おめでとう」などの言葉は使わず、紅白の水引も避け、無地のカードや短冊で「寒中御見舞」として送ります。「お元気でお過ごしかと案じておりました」など、相手を気遣う言葉を添えましょう。
まとめ:心のこもったメッセージカードで、お歳暮をもっと特別なものに
今回は、お歳暮に添えるメッセージカードの書き方やマナー、文例について解説しました。
- 親しい相手には「添え状」より「メッセージカード」がおすすめ
- 基本構成(宛名・挨拶・本題・結び・署名)を守ればOK
- マナー(忌み言葉・句読点)は、相手との関係性で判断
- 手書きでもPCでも、最後に「一言手書き」を加えると温かみUP
お歳暮は、品物そのものよりも「あなたを大切に思っています」という感謝の気持ちを伝えることが、一番の目的です。
高価なカードや、難しい言葉は必要ありません。
「今年もお世話になりました」
「お体に気をつけてくださいね」
そんな、あなたの温かい一言が添えられているだけで、受け取った方の心は、寒い冬でもぽかぽかになるはずです。
この記事を参考に、ぜひあなたらしい素敵なメッセージカードを添えてみてくださいね。

