年の瀬が近づくと、スーパーや商店街で「歳末大売出し!」といったポスターをよく見かけますね。
「歳末(さいまつ)」という言葉、なんとなく「年の終わりかな?」とはわかっていても、「年末と何が違うの?」「いつからいつまでを指すの?」と聞かれると、はっきり答えられないかもしれません。
この記事では、「歳末」という言葉の正しい意味や由来、年末・年の瀬との違い、具体的な使い方まで、わかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 「歳末」の正しい意味と、いつからいつまでを指すのか
- 「年末」「年の瀬」「師走」との微妙なニュアンスの違い
- ビジネスや挨拶で使える「歳末」の例文
この記事を読めば、「歳末」という言葉の意味がスッキリわかりますよ。
📖「歳末(さいまつ)」とは? まずは基本的な意味を知ろう
「歳末」は「年の終わり」のこと
「歳末」とは、文字通り「歳(とし)の末(すえ)」、つまり「年の終わり」「年の暮れ」を意味する言葉です。
「年末(ねんまつ)」とほぼ同じ意味で使われますが、「歳末」のほうが少し改まった、伝統的な響きを持つのが特徴です。そのため、日常会話で「歳末は忙しいね」と言うよりは、「年末は忙しいね」と言うことのほうが多いかもしれません。
どんな場面で使われる?(歳末セール、歳末たすけあい)
では、具体的にどんな場面で「歳末」という言葉が使われるのでしょうか。
よく見かけるのは、以下のようなケースです。
- 歳末セール(歳末大売出し):デパートやスーパー、商店街などで、年末に行われるセールのことです。お正月の準備用品や冬物衣料などが安くなることが多いですね。
- 歳末たすけあい運動:共同募金会などが主催する、支援が必要な方々のために寄付を募る活動です。年末に助け合いの精神を呼びかける、社会的な取り組みでよく使われます。
- 時候の挨拶:手紙やビジネスメールの結びの言葉として、「歳末ご多忙の折ではございますが」のように使われることもあります。
このように、「歳末」は個人間の日常会話よりも、商業的なイベントや公的な活動、改まった挨拶で使われることが多い言葉です。
コトクマ「歳末」と聞くと、なんだか慌ただしくも、新年を迎えるワクワク感が混じった特別な響きを感じませんか? スーパーのBGMやポスターでこの言葉を見ると、「ああ、今年ももう終わりかぁ」と実感しますよね。
🗓️「歳末」はいつからいつまで? 具体的な時期
明確な決まりはない?
「歳末」が具体的に「何月何日から何月何日まで」を指すのか、実は法律や辞書で明確に決められているわけではありません。
これは「年末」や「年の瀬」といった言葉にも共通しています。人によって「年末」と感じ始める時期が少しずつ違うのと同じですね。
一般的には「12月中旬~大晦日」を指すことが多い
明確な定義はないものの、一般的には12月の中旬(15日頃)から大晦日(12月31日)までの期間を「歳末」と呼ぶことが多いようです。
特に、官公庁や多くの企業が仕事納めを迎える12月下旬(クリスマス以降)は、誰もが「歳末」と実感する時期でしょう。
「歳末セール」はいつから始まる?
「歳末セール」に関しては、お店によって様々です。
早いところでは12月の上旬や中旬から始まりますし、クリスマスが終わった12月26日頃から大晦日にかけて、本格的な「歳末大売出し」を行うお店も多くあります。



時期に厳密な決まりがないからこそ、便利な言葉でもあります。「12月に入ったら、そろそろ歳末だなぁ」くらいの、ふんわりとした感覚で捉えておくと良いかもしれませんね。
🕰️「歳末」の由来は? なぜ「年」ではなく「歳」を使うの?
「歳」という漢字の成り立ち(一年の巡り)
「年末」ではなく、なぜ「歳末」という言葉があるのでしょうか。それは「年」と「歳」という漢字の成り立ちにヒントがあります。
- 年(ねん):元々は、穀物が実る様子を表した漢字でした。「一年」という時間を指します。
- 歳(さい):元々は、農作物を収穫するための道具(斧のようなもの)と、足(進む)を組み合わせた漢字だったという説があります(※諸説あり)。そこから「穀物の収穫の周期」、つまり「一年」を意味するようになりました。
どちらも「とし」を意味しますが、「歳」には「一年間の巡り」や「積み重ねてきた時の重み」といった、少し改まった、かしこまったニュアンスが含まれています。
「歳末」はいつから使われている言葉?
「歳末」という言葉がいつから使われ始めたのか、はっきりとした記録を見つけるのは難しいですが、「歳」という漢字が古くから使われていることからも、かなり昔から「年の終わり」を指す言葉として存在していたと考えられます。
「年末」という言葉が一般的に広く使われる一方で、「歳末」は、その漢字の持つ重みから、公的な行事や商習慣、挨拶など、少しカチッとした場面で伝統的に使われ続けてきた言葉だと言えるでしょう。
【コラム】「歳末セール」はなぜ行われるの?
年末になると、どうしてあちこちで「歳末セール」が行われるのでしょうか?
これには、大きく分けて2つの理由があると考えられています。
- お正月の準備のため(需要)年末は、おせち料理の材料、お餅、お酒、新しい服、大掃除の道具など、新年を迎えるための準備で買い物が増える時期です。お店側は、その「お正月需要」に合わせて商品をアピールします。
- 在庫処分の「売り切り」のため(供給)お店にとっても、年末は「今年のうちに在庫を整理したい」という時期です。年を越す前に商品を売り切りたいため、価格を下げてセールを行うのです。
私たち消費者にとっては、お正月の準備品をお得に買える嬉しい機会であり、お店にとっては在庫を整理する大事な時期。それが「歳末セール」なんですね。



「歳」の字にそんな意味があったなんて、面白いですよね。単なる「年の終わり」ではなく、「この一年も無事に巡ってきたなぁ」という感謝や感慨深さが、「歳末」という言葉には込められているのかもしれません。
🔄「歳末」と「年末」「年の瀬」はどう違う? 類語を徹底比較!
意味はほぼ同じ!でもニュアンスが違う?
「歳末」には、「年末」「年の瀬」「師走(しわす)」など、似たような言葉がたくさんあります。
どれも「12月の終わり頃」を指す言葉ですが、使われる場面やニュアンスが少しずつ異なります。
- 歳末(さいまつ):「年末」とほぼ同じ。やや改まった響きがあり、書き言葉や「歳末セール」など決まったフレーズで使われることが多い。
- 年末(ねんまつ):最も一般的に使われる言葉。「年末年始」「年末の挨拶」など、会話でも書き言葉でも幅広く使われる。
- 年の瀬(としのせ):「年が差し迫った」という意味で、年末の中でも特に忙しさが増す時期(12月下旬頃)を指すことが多い。「年の瀬も迫り」のように、慌ただしさを伴うニュアンスがある。
- 師走(しわす):12月の別名(旧暦)。「師(先生)も走り回るほど忙しい」という由来が有名で、主に「忙しさ」を強調したい時に使われる。
比較表でスッキリ!「歳末」「年末」「年の瀬」「師走」の違い
それぞれの違いを表にまとめると、以下のようになります。
| 言葉 | 主な意味 | 時期(目安) | よく使われる場面 |
| 歳末 | 年の終わり。 | 12月中旬~末 | セール、募金、改まった挨拶 |
| 年末 | 年の終わり。 | 12月全般(特に中旬~末) | 最も一般的。挨拶、予定、特番 |
| 年の瀬 | 年の終わりが迫った時期。 | 12月下旬(特に20日以降) | 忙しさを伴う。挨拶、報道 |
| 師走 | 12月の別名。 | 12月1日~31日 | 忙しさを強調する時、旧暦由来 |
「歳暮(せいぼ)」との違いは?
「歳末」と字面が似ている言葉に「歳暮(せいぼ)」があります。
これは「お歳暮(おせいぼ)」のことですね。
- 歳末(さいまつ): 年の終わりという「時期」を指す言葉。
- 歳暮(せいぼ): 年の暮れにお世話になった方へ贈る「品物」や、その「習慣」を指す言葉。
「歳末に歳暮を贈る」のように使います。全く意味が違うので、間違えないようにしましょう。



たくさんあって難しく感じるかもしれませんが、基本は「年末」でOKです! 「歳末」はセールや挨拶状で使う、ちょっとカチッとした言葉。「年の瀬」は「あ~忙しい!」という時に使う言葉、と覚えておくと便利ですよ。
✍️「歳末」の正しい使い方と例文
挨拶で使う場合(ビジネス・プライベート)
日常会話で「歳末ですね」と使うことはあまりありませんが、ビジネスシーンや少し改まった場面での挨拶としては使うことができます。
- 「歳末ご多忙の折とは存じますが、どうぞご自愛ください。」
- 「歳末を迎え、何かと慌ただしい時期かと存じます。」
- 「歳末のお忙しい中、お時間をいただき恐縮です。」
書き言葉(時候の挨拶)で使う場合
「歳末」が最も活躍するのは、手紙やメールの「時候の挨拶」です。12月中旬~下旬に出す書面に使えます。
<12月(中旬~下旬)の挨拶例>
- (書き出し) 拝啓 歳末の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
- (結び) 歳末ご多端の折ではございますが、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。 敬具
「年末」を使っても間違いではありませんが、「歳末」を使うことで、より丁寧で季節感のある文章になります。
「歳末」を使うときのちょっとした注意点
「歳末」は「年の終わり」を指す言葉です。
そのため、年が明けた1月1日以降(新年)に使うのは間違いです。
年が明けてからは「年始(ねんし)」や「新春(しんしゅん)」といった言葉を使うようにしましょう。



時候の挨拶は難しく感じますが、パターンを覚えてしまえば簡単です。12月に入ったら「歳末の候(さいまつのこう)」が使える、と覚えておきましょう。メールや手紙に添えるだけで、グッと丁寧な印象になりますよ。
❓「歳末」に関するよくある質問(FAQ)
「歳末」に関して、読者の方が疑問に思いやすい点をQ&A形式でまとめました。
Q1. 「歳末」と「年末」は、どちらを使うのが正しいですか?
A1. どちらも正しいです。意味はほぼ同じなので、使い分けて問題ありません。
ただし、前述の通り、「年末」のほうが日常会話で広く使われ、「歳末」はセールや挨拶状など、やや改まった場面で使われる傾向があります。
Q2. 「歳末」の読み方は「さいまつ」以外にありますか?
A2. 「さいまつ」と読みます。
「歳の(としの)すえ」と訓読みすることはありますが、音読みとしては「さいまつ」が一般的です。
Q3. 「歳末セール」と「年末セール」に違いはありますか?
A3. 意味や内容に大きな違いはありません。
どちらも「年の終わりに行うセール」のことです。「歳末」を使ったほうが、伝統的で本格的な大売出し、といった雰囲気が出るかもしれません。お店の好みやイメージ戦略で使い分けられていると考えられます。
Q4. 1月に入ったら「歳末」という言葉は使えませんか?
A4. 使えません。
「歳末」は、あくまで「その年の終わり(12月)」を指す言葉です。年が明けた1月1日以降は、「年始(ねんし)」「新春(しんしゅん)」「年明け(としあけ)」などの言葉を使いましょう。
😊まとめ:意味を知って「歳末」を正しく使おう
今回は、「歳末」という言葉の意味や由来、時期、類語との違いについて解説しました。
- 歳末とは「年の終わり」のこと。
- 時期は12月中旬~大晦日を指すことが多いが、厳密な決まりはない。
- 「年末」とほぼ同じ意味だが、「歳末」のほうが少し改まった響きを持つ。
- 「歳」の字の由来から、「一年間の巡り」という重みが感じられる言葉。
- 「歳末セール」や「歳末たすけあい」、時候の挨拶などでよく使われる。
意味がわかると、「歳末」という言葉にも親しみが湧いてきますね。
慌ただしい時期ではありますが、言葉の意味を感じながら、良い新年を迎える準備をしていきましょう。

