年末が近づくと、日頃お世話になっている方から心のこもった「お歳暮」が届くことがあります。とてもありがたい一方、「お礼は電話?メール?それとも手紙?」「いつまでに、どんな言葉で伝えたらいいんだろう?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
特にビジネスシーンや目上の方へのお礼は、マナー違反にならないか心配になりますよね。
この記事では、そんなお歳暮のお礼に関するお悩みをまるっと解決します!
この記事でわかること
- お礼を伝えるべき時期と、最適な手段(電話・メール・LINE・手紙)の選び方
- ビジネス(取引先・上司)からプライベート(親戚・友人)まで、相手別の例文集
- 「取り急ぎ」と「正式」の2ステップで好印象を与えるコツ
マナーを守りつつ、心からの感謝が伝わる方法を、例文たっぷりでわかりやすく解説します。
お歳暮が届いたら。まず知りたいお礼の基本マナー
そもそも、お歳暮にお礼は必要?お返しは?
結論から言うと、お歳暮をいただいたら「お礼」は必須です。
お歳暮は「一年間の感謝」を伝える贈り物。それに対して「無事に受け取りました。ありがとうございます」と伝えるのは、人として、また社会人としての基本的なマナーです。
一方、「お返し(返礼品)」は基本的に不要とされています。
お歳暮は感謝の気持ちを表すものであり、見返りを求めているものではないからです。
ただし、状況によっては(例えば、明らかに高価すぎるものをいただいた場合や、今後のお付き合いをより深めたい場合など)、「寒中見舞い」や「お年賀」として、時期をずらして品物を送るケースもあります。
コトクマお礼とお返しは別物、と覚えておきましょう。まず大切なのは、品物ではなく「感謝の言葉」をしっかり伝えることです。
お礼を伝える最適な時期は?いつまでに送るべき?
お礼は、品物が届いてからできるだけ早く、遅くとも3日以内に伝えるのが理想です。
なぜなら、送り主は「無事に届いただろうか?」「喜んでもらえただろうか?」と気にしているからです。すぐに連絡をすることで、相手を安心させることができます。
もし3日以内に連絡するのが難しい場合でも、少なくとも1週間以内には何らかの形で感謝を伝えましょう。
お礼を伝える手段の選び方【早見表】
どの手段でお礼を伝えるかは、相手との関係性とスピードで決まります。
| 手段 | スピード | 丁寧さ | 主な相手 |
| 電話 | ◎(最速) | 〇 | 親しい親戚、上司、特にお世話になっている取引先 |
| メール | 〇(早い) | △ | ビジネス(取引先)、友人 |
| LINE | 〇(早い) | × | 親しい友人、家族(義実家は注意) |
| 手紙・はがき | ×(遅い) | ◎(最重要) | 目上の方、恩師、重要な取引先 |
基本的には、電話やメールで「取り急ぎ」のお礼を伝え、後日改めて「手紙(お礼状)」を送るのが最も丁寧な対応です。
【重要】お礼は「取り急ぎの連絡」と「正式なお礼」の2ステップで
お歳暮のお礼で失敗しないための重要なコツは、2ステップで対応することです。
- ステップ1:取り急ぎの連絡(到着当日〜3日以内)
- 目的:無事に品物が届いたことの報告と、迅速な感謝の表明。
- 手段:電話、メール、LINE(相手による)
- ステップ2:正式なお礼(1週間以内〜)
- 目的:改めて、丁寧な言葉で感謝を伝える。
- 手段:手紙、はがき(お礼状)
特に目上の方やビジネス関係の方には、メールだけで済ませてしまうと「略式すぎる」と感じさせてしまう可能性があります。
まずはスピード重視で到着を報告し、その後、時間をかけて丁寧なお礼状を書く。この2段階の対応が、相手への敬意と感謝の気持ちを最もよく伝える方法です。
【手段別】お歳暮のお礼の伝え方と基本マナー
電話、メール、手紙、LINE。それぞれの手段ごとに、お礼を伝える際のマナーや注意点、基本的な構成を解説します。
1. 電話:最も早く感謝が伝わる方法
声で直接感謝を伝えられるため、気持ちが伝わりやすい方法です。
- メリット:最も早く、確実に感謝を伝えられる。相手を安心させられる。
- デメリット:相手の時間を奪ってしまう可能性がある。営業時間や早朝・深夜は避ける。
- ポイント:
- まず「お歳暮のお礼で」と要件を伝える。
- 無事に届いたことを報告し、感謝を述べる。
- 品物への具体的な感想を添える。(例:「家族みんなで喜んでいます」)
- 相手の健康を気遣う言葉を添える。
- 長電話にならないよう、手短に済ませる。
2. メール:ビジネスシーンや、取り急ぎの連絡に
ビジネスシーンでは、取り急ぎのお礼として最も一般的に使われる手段です。
- メリット:相手の都合の良い時に読んでもらえる。履歴が残る。
- デメリット:手紙に比べると略式と捉えられる場合がある。
- ポイント:
- 件名は「お歳暮の御礼(自分の氏名または会社名)」とし、一目でわかるようにする。
- まずは感謝の言葉を述べる。
- 品物への具体的な感想を添える。
- メールでの連絡となったことへのお詫び(略儀ながら)を一言添えると丁寧。
- 末尾に来年も変わらぬお付き合いをお願いする言葉や、相手の健康・発展を祈る言葉を入れる。
3. 手紙・はがき(お礼状):最も丁寧な方法
最も丁寧で、心が伝わる正式なお礼の方法です。目上の方や大切な取引先には、できるだけ手紙(お礼状)を送りましょう。
- メリット:最も丁寧で、感謝の気持ちが伝わる。形として残る。
- デメリット:届くまでに時間がかかる。書く手間がかかる。
- ポイント:
- 白無地や季節の柄が入った便箋・はがきを使う。
- 筆記用具は、万年筆や毛筆(筆ペン)がベスト。最低でも黒のボールペンを使う。(青インクや消せるボールペンはNG)
- 基本的な構成(後述)に沿って書く。
- 誤字脱字に細心の注意を払う。
4. LINE(ライン):親しい間柄ならOK?
LINEでのお礼は、相手を選ぶため注意が必要です。
- 使ってOK:親しい友人、気心の知れた同僚、家族など。
- 避けるべき:取引先、上司、恩師、目上の方全般。
- 義実家・親戚は?:普段からLINEで頻繁にやり取りしている関係性ならOKな場合もありますが、失礼にあたる可能性もゼロではありません。迷ったらメールや電話、手紙を選ぶのが無難です。
LINEで送る場合も、スタンプだけ送るなどはせず、きちんと言葉で感謝を伝えましょう。



どの手段を選ぶか迷ったら、「相手がどう感じるか」を想像してみましょう。ビジネスや目上の方には「丁寧すぎる」くらいが丁度良い、と覚えておくと安心ですよ。
【相手別・例文集】お歳暮のお礼(取り急ぎの連絡編)
ここでは、電話やメール、LINEを使った「取り急ぎのお礼」の例文を、相手別に紹介します。品物が届いたら、まずはこちらで迅速に連絡をしましょう。
ビジネス(取引先・上司)向けのメール例文
対 取引先
件名:お歳暮の御礼(株式会社〇〇 鈴木)
株式会社△△
営業部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の鈴木でございます。
本日、貴社より心温まるお歳暮の品を拝受いたしました。
いつもながらのお心遣い、誠にありがとうございます。
いただきました〇〇(品物名)は、部署の皆で大変喜んでおります。
まずは略儀ながら、メールにて御礼申し上げます。
寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
[署名]
対 上司(社内)
件名:お歳暮のお礼(〇〇(自分の名前))
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇です。
本日、ご自宅からお歳暮の品をいただきました。
誠にありがとうございます。
〇〇(品物名)が大好きなので、家族みんなで大喜びしております。
いつも細やかなお心遣いをいただき、心より感謝申し上げます。
まずはメールにて、お礼まで申し上げます。
引き続き業務に邁進してまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
親戚・義実家向けのメール・LINE例文
対 義実家(メール)
件名:お歳暮ありがとうございました!
お義父様、お義母様
こんにちは。〇〇(自分の名前)です。
本日、〇〇(品物名)が届きました。
いつも美味しいものを送っていただき、本当にありがとうございます!
さっそく今夜、〇〇(夫/妻の名前)さんと一緒にいただきますね。
子どもたちも大好物なので、大喜びしています。
年末年始は寒くなるようですが、お二人ともどうぞご自愛ください。
まずは取り急ぎ、お礼まで。
〇〇より
対 親戚(LINE)
〇〇おじ様、おば様
こんにちは、〇〇です。
今日、送っていただいた〇〇(品物名)が届きました!
いつもお気遣いありがとうございます。
家族みんなで「美味しそう!」と大喜びしています。
これから寒くなりますが、お二人も風邪などひかれませんよう、お気をつけください。
まずはお礼まで。
友人・知人向けのメール・LINE例文
対 友人(LINE)
〇〇ちゃん、こんにちは!
さっき、〇〇(品物名)が届いたよ!
まさか送ってくれるなんて、びっくり&すごく嬉しい!ありがとう!
〇〇(品物名)、大好きだから本当に嬉しい!
さっそく今晩いただきます🙏
年末で忙しいと思うけど、体に気をつけてね。
良いお年を!



「取り急ぎ」のお礼では、「①感謝」「②無事に届いた報告」「③品物へのポジティブな感想」の3点を入れるのがポイントです。
【相手別・例文集】お歳暮のお礼(正式な手紙・はがき編)
取り急ぎの連絡を済ませたら、特に目上の方や大切な方へは、改めて手紙やはがきで正式なお礼を伝えましょう。
お礼状(手紙・はがき)の基本構成
お礼状は、以下の流れで書くとスムーズです。
- 頭語(とうご):
- 手紙の「こんにちは」。(例:拝啓、謹啓)
- 時候の挨拶(じこうのあいさつ):
- 季節感を表す言葉。(例:師走の候、寒さもひとしお身にしみるころとなりましたが)
- 安否の確認・日頃の感謝:
- 相手の健康を気遣ったり、お世話になっている感謝を述べたりします。(例:皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。)
- お歳暮へのお礼:
- 品物を受け取った報告と、感謝の言葉。(例:さて、このたびは結構なお歳暮の品をご恵贈賜り、誠にありがとうございました。)
- 品物への感想:
- 具体的でポジティブな感想を述べます。(例:いつもながらのお心遣いに、家族一同、大変喜んでおります。)
- 相手への気遣い・結びの挨拶:
- 相手の健康や繁栄を祈る言葉。(例:年末ご多忙の折ではございますが、皆様どうぞご自愛くださいませ。良いお年をお迎えになられますよう、心よりお祈り申し上げます。)
- 結語(けつご):
- 手紙の「さようなら」。頭語とセットで使います。(例:敬具、謹白)
- 日付・署名
- 宛名
ビジネス(取引先・上司)向けの例文
対 取引先(封書・縦書き)
謹啓
師走の候、貴社におかれましては益々ご隆盛のことと、心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびは結構なお歳暮の品をご恵贈賜り、誠にありがとうございました。
いつもながらの温かいお心遣いに、恐縮しつつも大変ありがたく拝受いたしました。
寒さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして、御礼申し上げます。
謹白
令和〇年十二月〇日
[自分の会社名・氏名]
[相手の会社名・氏名]
親戚・義実家向けの例文
対 義実家(はがき・横書き)
拝啓
寒い日が続いておりますが、お義父様、お義母様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
さて、このたびは美味しい〇〇(品物名)をお送りいただき、誠にありがとうございました。
家族みんなの大好物で、さっそく食卓に並べたところ、子どもたちも大喜びでいただきました。
いつも細やかなお心遣いに、心より感謝しております。
年末に向けて慌ただしくなりますが、どうぞご無理なさらないようご自愛ください。
まずは書中にて、お礼まで申し上げます。
敬具
令和〇年十二月〇日
〒XXX-XXXX
[自分の住所]
[自分の氏名]
[相手の住所]
[相手の氏名] 様
恩師・目上の方への例文
対 恩師(封書・縦書き)
拝啓
寒さもひとしお身にしみるころとなりましたが、〇〇先生におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと、お慶び申し上げます。
このたびは、ご丁寧なお歳暮の品をお送りいただき、誠にありがとうございました。
先生にはいつもお心にかけていただき、恐縮に存じます。
いただきました〇〇(品物名)は、有り難く味わわせていただきます。
ご無沙汰ばかりしておりますが、先生からのお便りを拝見し、懐かしく学生時代を思い出しておりました。
これからが冬本番となります。
〇〇先生もどうぞご自愛の上、よいお年をお迎えください。
まずは書中をもちまして、御礼申し上げます。
敬具
令和〇年十二月〇日
[自分の氏名]
[相手の氏名] 様



手紙やはがきは、手間がかかる分、最も気持ちが伝わる方法です。特に目上の方には、印刷ではなく手書きで一言添えると、より喜ばれますよ。
お礼の時期を逃したら?年明けの対応
「忙しくてお礼を忘れていた!」「年末に届いて、気づけば年が明けていた…」
そんな時でも大丈夫。年明けに「寒中見舞い」としてお礼を伝えましょう。
寒中見舞いとしてお礼を伝える(例文付き)
寒中見舞いとは?
「松の内」(一般的に1月7日まで、地域によっては15日まで)が明けてから、立春(2月4日ごろ)までに送るご挨拶状です。
お礼が年明けになってしまった場合は、「お歳暮のお礼」と「新年のご挨拶」「寒中見舞い」を兼ねて送ります。
寒中見舞い 例文(はがき)
寒中お見舞い申し上げます。
寒さが身に染みる季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このたびは、年末に心のこもったお品をお送りいただき、誠にありがとうございました。
ご連絡が遅くなり、大変失礼いたしました。
家族ともども、大変美味しくいただきました。
厳寒の折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和〇年一月〇日
[自分の氏名・住所]


お歳暮のお礼に関する よくある質問(FAQ)
お歳暮のお礼に関して、多くの方が疑問に思う点をまとめました。
Q. お歳暮のお礼状に、頭語・結語(拝啓・敬具など)は必要ですか?
A. はい、必要です。
手紙やはがき(お礼状)は、正式な文書です。
「拝啓」で始まり「敬具」で終わる(または「謹啓」と「謹白」など)のが基本マナーです。親しい間柄でも、丁寧な印象を与えるためには省略しない方が良いでしょう。
Q. お礼状は「はがき」と「封書(手紙)」どちらが良いですか?
A. どちらでも構いませんが、使い分けるのがベストです。
- 封書(手紙):
- 最も丁寧な形式です。
- 目上の方、大切な取引先、高価な品物をいただいた場合など。
- 「お礼以外のことも書きたい(近況報告など)」場合にも適しています。
- はがき:
- 封書よりは略式ですが、丁寧なお礼として十分通用します。
- 親戚、友人、一般的な取引先など。
- (注意点)はがきは誰でも内容を見られるため、プライベートな内容や、品物の具体的な金額などは書かないようにしましょう。
Q. お歳暮のお礼が相手から来ない場合、確認しても良いですか?
A. 基本的に、送り主から確認するのは避けた方が無難です。
お歳暮はあくまで「感謝の気持ち」であり、見返り(お礼)を催促するような行動は、せっかくの贈り物の意図と反してしまいます。
「届いていないのでは?」と心配な場合は、宅配業者の追跡サービスなどで配送状況を確認するに留めましょう。
Q. 会社宛に届いたお歳暮は、誰がお礼をすべきですか?
A. 会社の代表者(社長)名義で送るのが基本です。
ただし、品物が「部署宛」や「担当者個人宛」に届いた場合は、その部署の責任者や担当者本人がお礼状を出すのが自然です。
- 会社(社長)宛 → 社長名義(または秘書室や総務部が代筆)
- 部署宛 → 部署の責任者(部長など)名義
- 担当者個人宛 → 担当者本人
誰が出すにせよ、会社としてのお礼であるため、社内で「誰が、いつ、誰に」お礼状を出したか情報を共有しておくと重複や漏れを防げます。
Q. お礼の際、いただいた品物への感想は具体的に書くべきですか?
A. はい、ぜひ具体的に書きましょう。
「お品物ありがとうございました」だけでは、事務的な印象を与えてしまいます。
- 「いただいたお菓子、社員一同で美味しくいただきました」
- 「あの珍しいジュース、子どもたちが大喜びしておりました」
- 「〇〇(品物名)は妻(夫)の大好物でして、二人で喜んでおります」
このように、「誰が」「どのように喜んでいるか」を具体的に添えることで、相手も「選んで良かった」と嬉しくなり、感謝の気持ちがより深く伝わります。
まとめ:お歳暮のお礼は「スピード」と「丁寧さ」がカギ
お歳暮のお礼は、難しく考える必要はありません。大切なのは、「①すぐに(3日以内)」「②丁寧に(感謝の言葉と具体的な感想を添えて)」伝えることです。
- 基本は2ステップ:
- まずは電話やメールで「取り急ぎ」の到着報告。
- 目上の方や大切な方には、後日改めて「手紙・はがき」で正式なお礼。
- 相手に合わせる:
- ビジネスや目上には「メール+手紙」
- 親戚や義実家には「電話 or メール +(必要なら)手紙」
- 友人には「LINE or メール」
この記事でご紹介した例文を参考に、あなたらしい言葉を添えて、心のこもった感謝を伝えてみてくださいね。

