年末が近づくと、職場の忘年会で「乾杯の挨拶をお願いします」「最後に中締めの一言を」と急に頼まれることがあります。
「何を話せばいいのかわからない」「どのくらいの長さで話せばいいのだろう」「そもそも乾杯と中締め、お開きは何が違うの?」と戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
忘年会の挨拶で大切なのは、立派な名演説をすることではありません。自分が担当する「場面(役割)」に合わせて、今年一年の感謝と労いを短く丁寧に伝えることです。
この記事では、乾杯・中締め・お開きの3つの場面別に、社内の仲間が中心の会と、取引先・来賓がいる会に分けた6つの文例をご紹介します。自分の場面に合う言葉を選び、【】の部分をご自身の言葉に差し替えれば、準備を進めやすくなります。
※司会の進行全体は新年会の司会台本、年明けの新年会の乾杯は新年会の乾杯の挨拶で紹介しています。この記事では、挨拶をする本人の言葉に絞ってお伝えします。
まずはこの形で|社内の仲間が中心の乾杯の挨拶
忘年会の乾杯は、社内の同僚やチームメンバーが集まる席を想像する方が多いと思います。まずは、その場面の基本の完成例です。
乾杯の役割は、「会の始まりを告げる合図」です。参加者はグラスを手にして待っているので、長々と語らず、短くまとめましょう。
【基本例文】社内の仲間が中心の乾杯の挨拶
「みなさん、今年一年間、本当にお疲れさまでした。【部署名・名前】です。
今年は【今年の出来事】など、チームみんなで力を合わせて乗り越える場面がたくさんありました。こうして全員で無事に年末を迎えられたこと、心から感謝しています。
今夜は仕事のことはいったん忘れて、おいしい料理とお好みのお飲み物を楽しみながら、一年の疲れをねぎらい合いましょう。
それでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。みなさま、グラスをお持ちください。
今年一年の頑張りと、来年のさらなる飛躍を祈念いたしまして――乾杯!」
この文例は、「①お礼と自己紹介 → ②一年の労い → ③今年の出来事への一言 → ④会への願い → ⑤乾杯の発声」という流れです。
【今年の出来事】には、その場にいる人が「あったね」とうなずける共通の話題を、短く入れます。さらに短くしたいときは、②と③をまとめて、「今年一年、本当にお疲れさまでした。今夜はゆっくり語り合いましょう。それでは、乾杯!」と発声へ進んでも、気持ちは十分に伝わります。
自分の役割が乾杯ではない方や、取引先が同席している会の方は、次の早見表と選択機能から合う挨拶を選んでください。
あなたの場面に合う挨拶を選ぶ|乾杯・中締め・お開きの早見表
忘年会の挨拶は、任された場面によって役割と話す内容が変わります。
| 場面 | 挨拶の主な役割 | 話す内容のポイント |
|---|---|---|
| 乾杯 | 会の始まりの合図 | 参加者がグラスを持って待っているので、一年の労いを手短に述べて発声する |
| 中締め(締めの挨拶) | 会をいったん一区切りつける | 感謝と来年への一言を述べ、手締めや拍手で区切りをつけて、二次会へつなぐ |
| お開き(幹事の閉会案内) | 会の終了と帰りの案内 | 閉会を伝え、参加へのお礼、二次会の案内、忘れ物への呼びかけを簡潔に伝える |
※会社によっては、「中締め」と「締め」を同じ意味で呼ぶこともあります。また、誰がどの挨拶を担当するか、順番をどうするかは、会社や部署の慣習によって異なります。事前に幹事へ確認しておくと安心です。
6つの文例は、次のリンクからも移動できます。
| 場面 | 社内の仲間が中心の会 | 取引先・来賓がいる会 |
|---|---|---|
| 乾杯 | 社内向けの乾杯 | 取引先・来賓がいる乾杯 |
| 中締め | 社内向けの中締め | 取引先・来賓がいる中締め |
| お開き | 社内向けのお開き | 取引先・来賓がいるお開き |
以下では、2つの質問を選ぶだけで、合う文例と確認事項を絞り込める選択機能を用意しました。選択機能が使えない場合も、上の表と、以下の6文例から選べます。
どの結果も、実際の担当や手締めの有無は、事前に幹事や周囲へ確認してから使ってください。選択した内容は保存も送信もされません。
乾杯の挨拶|始まりの合図を短く
乾杯の挨拶は、参加者がグラスを手にして待っている場面で行います。長くなると聞き手の負担になるので、お礼と労いを短く伝えて、発声へ進みましょう。発声のあとは、グラスを目の高さまで上げるのが一般的な流れです。
社内の仲間が中心の会
社内メンバーが中心の会では、冒頭の基本例文をそのままお使いいただけます。
ポイントは、かしこまりすぎずに、お互いの一年の頑張りを労う言葉を選ぶことです。チーム内の身近な出来事を一つだけ添えると、場の空気がやわらぎます。
取引先・来賓がいる会
取引先や協力会社、来賓の方が同席している忘年会では、ご臨席へのお礼と、日頃のお付き合いへの感謝をはっきり伝えます。
【例文】取引先・来賓がいる会の乾杯の挨拶
「本日はご多忙の折、当社の忘年会にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。【会社名・役職・名前】と申します。
平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。今年一年、【お取引の内容】を通じて、多大なるご支援とご協力をいただきました。
本日は日頃の感謝を込めて、ささやかな席をご用意いたしました。どうぞ最後までご歓談をお楽しみいただければ幸いです。
それでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。恐れ入りますが、みなさま、グラスをお持ちいただけますでしょうか。
ご臨席のみなさまの益々のご健勝とご発展、そして今後のよりよいお付き合いを祈念いたしまして――乾杯!」
取引先がいる場では、お招きしたことへのお礼を冒頭で述べ、具体的なお取引の内容に触れて感謝を伝えます。相手の役職や社名の呼び方は、普段の社内の慣習に合わせて、事前に確認しておきましょう。
さらに短くしたいときは、「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。今年一年の温かいご支援に、深く感謝申し上げます。どうぞごゆっくりお過ごしください。それでは、みなさまのご健勝とご発展を祈念いたしまして、乾杯!」とまとめても、礼儀は十分に伝わります。
中締めの挨拶|一区切りの感謝と二次会へのつなぎ
宴会などの終了前に、いったん区切りをつけて手締めなどを行うことを「中締め(なかじめ)」と呼びます(出典:小学館『デジタル大辞泉』(コトバンク))。
忘年会は歓談が盛り上がって長引きがちです。終電の都合や翌朝の予定がある人もいるので、中締めで一区切りをつけると、帰る人が抜けやすくなります。
社内の仲間が中心の会
社内中心の中締めでは、楽しい時間への感謝、一年の労い、来年への前向きな一言を伝えて、区切りをつけます。
【例文】社内の仲間が中心の中締めの挨拶
「宴もたけなわではございますが、予定のお時間となりましたので、ここでいったん中締めとさせていただきます。【役職・名前】です。
今日はいろいろな話ができて、とても楽しい時間になりました。今年一年、みんなそれぞれの持ち場で力を尽くしてくれたこと、改めて感謝します。来年も健康第一で、新しい目標に向かって、チームで進んでいきましょう。
【二次会がある場合】このあとの二次会は、【会場や店名】で【時間】から予定しています。お時間のある方は、ぜひご参加ください。ご都合のある方は、どうぞ無理のないようにお帰りください。
それでは、今年一年の締めくくりと、来年の健康と飛躍を祈念いたしまして、一本締めで一区切りとしたいと思います。みなさま、お手を拝借。
よーっ、(パパパン、パパパン、パパパン、パン)。
ありがとうございました!」
二次会がない場合は、【二次会がある場合】の段落を外してください。二次会がある場合は、帰る人が気兼ねなく帰れるよう、ひとこと配慮を添えます。
手締めを行わない職場なら、最後の部分を「それでは、今年一年の頑張りと来年への期待を込めて、拍手で締めたいと思います。みなさま、ありがとうございました!」に差し替えます。
取引先・来賓がいる会
取引先がいる会の中締めでは、最後まで同席いただいたことへのお礼と、来年のお付き合いへのお願いを伝えます。
【例文】取引先・来賓がいる会の中締めの挨拶
「宴もたけなわではございますが、ここで中締めの挨拶を申し上げます。【役職・名前】と申します。
本日はご多忙の中、最後まで温かいお時間をご一緒いただき、誠にありがとうございました。今年一年、【お取引先名】のみなさまには大変お世話になりました。改めて深く御礼申し上げます。
来年も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、ご参加いただきましたみなさまの益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、手締めを行いたいと存じます。みなさま、お手を拝借いただけますでしょうか。
よーっ、(パパパン、パパパン、パパパン、パン)。
ありがとうございました!」
取引先を二次会へお誘いするかどうかは、事前の取り決めや会社の方針によって異なります。同席をお願いする場合は、手締めの前にひとこと案内を添えます。お誘いしない場合は、このあとのお見送りへつなぎます。手締めを行わない場合は、社内向けと同じく拍手で締めくくります。
お開きの案内|幹事が閉会と帰り道を伝える
お開きは、会の終了を告げて、参加者の退席を促す場面です。会によっては、中締めのあとや終了時間になったときに、幹事が伝えます。司会が別にいる会では、司会が閉会を告げることもあります。
長く話す必要はありません。終了を伝える言葉、お礼、二次会や帰りの案内、忘れ物への呼びかけを、短くまとめます。
社内の仲間が中心の会
【例文】社内の仲間が中心のお開きの案内(幹事)
「みなさま、本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。名残惜しいですが、これにて本日の忘年会をお開きとさせていただきます。
【二次会がある場合】このあとの二次会にご参加いただける方は、【集合場所】にお集まりください。
寒い時期ですので、お帰りの際は、どうぞ足元にお気をつけください。上着やスマートフォンなど、お忘れ物のないよう、お席の周りを今一度ご確認ください。本日は本当にありがとうございました!」
二次会がない場合は、【二次会がある場合】の段落を外します。
司会が別にいる会は、閉会を誰が言うかを事前に打ち合わせておきましょう。司会の進行全体は、新年会の司会台本が参考になります。
取引先・来賓がいる会
【例文】取引先・来賓がいる会のお開きの案内(幹事)
「本日はご多忙の折、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。これにて本日の宴をお開きとさせていただきます。
【会場にクローク・タクシー手配などがある場合】お帰りのコートのお受け取りやタクシーのお手配は、【場所・担当者】で承っております。どうぞご利用ください。
お帰りの際は、どうぞお足元にお気をつけください。本日は誠にありがとうございました。」
会場に用意されているサービスだけを案内します。ない場合は、【】の段落を外して、出口までのご案内に差し替えてください。お見送りの担当は、幹事と事前に決めておくと、慌てずに済みます。
手締め(一本締めなど)を行う場合の確認
中締めで行われることが多い「手締め」は、掛け声とともに大勢で拍子を合わせて手を打つ慣習です。物事の決着や成就を祝う意味があります。
手締めを行う場合は、当日慌てないように、次の点を幹事や周囲と事前に確認しておくと安心です。
| 事前に確認すること | 確認する理由とポイント |
|---|---|
| 手締めを行うかどうか | 会社や部署によっては、手締めをせず、拍手で終えることがあるため |
| 誰が音頭を取るか | その場で突然指名されると混乱しやすいため、中締めの挨拶をする人が続けて行うのか、別の人が行うのかを決めておく |
| どの「型」で行うか | 一本締め、三本締め、一丁締めなど、いくつかの型があるため |
| 周囲への配慮 | 個室かオープンスペースか、時間帯などを考えて、声を控えめにするか、型を変えるかを決める |
代表的な手締めの種類
手締めにはいくつかの型があります(出典:ジャパンナレッジ連載『日本語、どうでしょう?』、Forbes JAPAN解説)。
- 一本締め(いっぽんじめ):最もよく知られた型です。「よーっ」の掛け声に続いて、「パパパン、パパパン、パパパン、パン」と手を打ちます。
- 三本締め(さんぼんじめ):一本締めを3回繰り返す型です。本式とする場や、格式の高い場で行われることがあります。
- 一丁締め(いっちょうじめ):「よーっ、ポン」と手を1回だけ打つ型です。簡単に区切りたいときや、声や音を控えたいときに選ばれることがあります。
地域や場によって、やり方や呼び方に違いがあります。打ち方は、音頭を取る人が最初に「今回は一本締めでいきます」と案内して、全員で合わせるとスムーズです。
居酒屋のオープンスペースなどでは、大きな声や激しい手拍子が周囲の迷惑になることもあります。場の状況に合わせて、拍手で締めくくる選択肢も持っておきましょう。
自分の言葉にする|具体的な一言の足し方と避けたい話
例文をそのまま読むだけでも挨拶として成り立ちますが、ご自身の言葉を少しだけ足すと、温かみが増します。
差し替える3つのポイント
次の3点を、ご自身が知っている事実に差し替えてみてください。
- 今年の出来事:その場にいる全員が共感できる出来事を一つだけ選びます。「春の繁忙期をみんなで乗り切ったこと」「新しい取り組みを始めたこと」など、身近なことで十分です。会社全体の業績や売上の数字など、大きな話を作る必要はありません。実際になかった出来事を、例文に合わせて作らないようにしましょう。
- 感謝を向ける相手:日頃支えてくれているチームの仲間、協力してくれた他部署、お世話になっているお取引先など、具体的な相手への感謝を言葉にします。
- 来年への一言:「健康第一で過ごしましょう」「また新しい挑戦を楽しみましょう」など、全員が気持ちよく新年を迎えられる前向きな言葉を添えます。
避けたい話題と代案
忘年会は、一年の労をねぎらう席です。次のような話題は、場が重くなったり、気まずくなったりしやすいので、別の言葉に言い換えるのがおすすめです。
- 特定の個人へのいじりやプライベートな話題:場を盛り上げようとして特定の人の失敗談や私生活にふれるのは避けます。代わりに、チーム全体への感謝や、支えてくれた全員への一言に置き換えます。
- 未公開の人事や業績の話、深刻な反省:忘年会は反省会ではありません。まだ公表されていない情報は避けて、「今日はお互いをねぎらい合いましょう」という会の趣旨に絞ります。
- お酒をあおるような言い方:「今夜はとことん飲み明かしましょう」などは控えて、「お好みのお飲み物で」「ご自身のペースで楽しんでください」とひとこと添えると、お酒が苦手な方にも配慮できます。
本番前に、声に出して確かめる
挨拶の文面が決まったら、本番の前に、一度声に出して読んでみましょう。
頭の中で読むと短く感じても、声に出すと意外と時間がかかったり、言いにくい言葉に気づいたりします。ストップウォッチなどで実際にかかる時間を計り、長いと感じたら削ります。特に乾杯は、聞き手がグラスを持って待っているので、短めにまとめると喜ばれます。
手元のメモを見ながら話してよいかどうかは、職場の雰囲気や慣習によります。幹事に確認しておくと安心です。
当日までの確認リスト
- 自分が担当する場面(乾杯・中締め・お開き)を確認しましたか。
- 挨拶の順番や前後の流れを、幹事に確認しましたか。
- 手締めを行うかどうか、行う場合はどの型かを、幹事とすり合わせましたか。
- マイクを使うのか、肉声で話す広さの会場なのかを確認しましたか。
- 二次会の場所や集合時間を把握していますか(中締め・お開きの場合)。
忘年会の挨拶で一番大切なのは、完璧に話すことではなく、「一年間ありがとう、お疲れさまでした」という気持ちが伝わることです。肩の力を抜いて、笑顔で本番に臨んでくださいね。
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- 幹事として司会進行の全体を知りたい方:新年会の司会台本(新年会向けですが、開会から乾杯、中締め、閉会までの流れの参考になります)
- 年明けの新年会の乾杯を準備したい方:新年会の乾杯の挨拶
- 忘年会の案内文を作る幹事の方:忘年会の案内文・メール例文
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